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(回答先: 小説 結城純一郎の演説 (1) 投稿者 愚民党 日時 2005 年 8 月 24 日 01:57:59)
小説 結城純一郎の演説 (2)
水を打ったように沈黙が重力となって支配する会場に
悲しみの泣き声は広がっていった。
突然、シュプレヒコールがあがる。
おにちくしょう アメリカ つぶせ つぶせ
おにちくしょう アメリカ つぶせ つぶせ
おにちくしょう 自民党 つぶせ つぶせ
おにちくしょう 自民党を処刑せよ 処刑せよ
暗転の会場に轟くシュプレヒコールは外に陣取る報道スッタフにも聞こえた・・・
「はじまったわね」とフジテレビのアナウンサー伊藤ゆかりがカメラマン小泉に準備起動をうながした。
「なかには報道2001の白岩さんがおるけん、大丈夫だんべよ」カメラマン小泉はリラックスしなよ、と
あいさつがわりに伊藤ゆかりの乳房をコチョコチョと愛撫した。すけべ!と伊藤ゆかりは小泉の手を払いのけた。
結城総裁を刺す政治少年テロリスト山口音矢が会場に侵入している情報は警視庁から産経新聞にリークされていた。
伊藤ゆかりたちスッタフの仕事は、会場が混乱し、警視庁機動隊が会場に突入する場面をしっかりとカメラで捉え
伊藤ゆかりが実況中継することだった。
国家生活党は昨年の6月に政権を獲得したが、いまだ権力機構の掃討作戦はなしきれていなかった。
東京地検はアメリカCIAの下請け機関だった。そして警視庁もアメリカCIAの下請け機関だった。
これらの権力機構を民族主義によって更新するためには、壮大な時間がかかると英国フィナンシャルタイムズが報じていた。
「揺らぎ」「不均衡」「衝動」・・・政治ニュースは祭りのように興奮し、日々更新されていた。
スクリーンはすでに舞台上のたっぱに上がっていた。国家生活党大会代議員たちのシュプレヒコールもおさまり、再び
照明が明るくなったときである。正面通路を会場の奥から走ってくる男がいた。
政治少年山口音矢だった。音矢は学生服にアイボリーのコートを着ていた。そのコートが翼のようにひるがえっている。
音矢の疾走はまっしぐらに舞台階段を上がっていた。彼はズボンのバンドに手をやり、そこにあったドスを抜いた。
「天誅!」と叫びながら結城純一郎の腹をめざしていった。そのとき、木刀が音矢の背に衝撃を与えた。会場前列に陣取って
いた国家生活党の防衛隊であった。音矢がよろけたとき、防衛隊の先頭が音矢の足を両腕でタックルした。音矢は倒れこみ
そこに何人もの防衛隊が飛びこみ、政治少年音矢は羽交い絞めされ舞台袖へと連れ去られていった。
すでに結城純一郎総裁は舞台袖にいた。その周りを防衛隊が囲んでいた。
会場は騒然となった。自民党が送り込んだテロリストだ! 誰かが怒鳴った。静かにしろ!と防衛隊の隊長が両手を広げ制動
する。会場の外と中はわれわれ大会防衛隊がしっかりと防備している、安心して大会を続行していただきたい!隊長は演壇の
マイクを握り、代議員たちに訴えた。やがて舞台袖から再度、結城総裁が登場した。彼は代議員に手をふっている。会場から
うなる拍手。
舞台中央の演壇、隊長は小泉総裁と大会代議員たちに礼をし、舞台袖へと去っていった。隊長、演壇を舞台奥のほうに設定して
いてよかったですね、と防衛隊員が袖でいった。隊長がうなずいた。自民党と警視庁はまだつながっているからな、機動隊が
会場に押し寄せ、大会ができなくなるようにするのが敵の狙い、最後まで防備戦争の貫徹だ! 隊長が防衛隊に喝を入れた。
隊長は戦争の基本は防備だとあらためて思った。
同士諸君! 満腔1年国家生活党運動方針の基調を続行します。(九段会館が割れんばかりの拍手)
結城純一郎総裁の演説は再開された。
政治少年山口音矢による暗殺が失敗したことは、報道2001の白岩から外に陣取っていた伊藤ゆかりに携帯メールで
知らされた。「失敗だって!」伊藤ゆかりがカメラマン小泉にいった。
「ケ!なんてざまだ、失敗かよ、最高の場面にみんな準備していたのによ!ちくしょうめ」小泉は呪詛した。
報道クルーキャプテンの中村平蔵が「警視庁機動隊にいって次に何が起こるか聞いてくるよ」といって
機動隊の車両へと歩いていった。
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