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(回答先: (本文)[ 田中宇:北朝鮮6カ国合意の深層 ] 投稿者 ODA ウォッチャーズ 日時 2005 年 9 月 22 日 23:36:35)
共同声明の「ポイントはアメリカの不可侵宣言」という田中宇さんの指摘は、日本の主要メディアが北朝鮮の核兵器放棄・拉致問題を含む日朝交渉の進展可能性・軽水炉提供問題を取り上げる程度の現状に照らせばまともな視点だと言える。
しかし、「米国の不可侵」よりも「朝鮮半島の非核化」のほうがより重要な意義を有する合意だと考えている。
日本政府に日朝交渉を働きかけ、その行き詰まりが見えるなかで6ヶ国協議という枠組みを設定した米国に北朝鮮に対する軍事行動という選択肢があったとは思えない。
米国が北朝鮮に軍事侵攻を行っても、得られる成果は皆無どころか政治的にも経済的にも負荷でしかない。
「民主化」や「大量破壊兵器」は、成果を期待できる軍事行動を正当化するためのキャッチコピーでしかないのである。
米国支配層が時として北朝鮮問題をめぐって「軍事的手段の行使も辞さない」と叫ぶのは、北朝鮮問題の処理を円滑に進めるために周辺諸国を動かすプロパガンダであり“強い米国”の誇示でしかないと考えている。
「朝鮮半島の非核化」は、北朝鮮が核兵器を放棄するだけではなく、米国も韓国領内駐留軍の手足が縛られるという相互主義的合意である。
9・19共同声明は、「検証可能な方法で朝鮮半島非核化を平和的に実現することが、6ヶ国会談の目標であることを一致して再確認」し、「北朝鮮はすべての核兵器と現存する核計画を放棄し、遠くない時期に核拡散防止条約(NPT)に復帰し国際原子力機関(IAEA)との核保障措置協定を履行することを約束」するとともに、「米国は朝鮮半島に自己の核兵器がなく、核または通常兵器で朝鮮民主主義人民共和国を攻撃したり侵攻する意思がないことを確認」し、「韓国は自己の領土内に核兵器が存在しないことを確認しながら、1992年の朝鮮半島非核化に関する共同宣言に沿って核兵器を搬入したり配備しないという約束を再確認」している。
北朝鮮の核兵器計画の放棄が検証対象であると同時に、米軍保管のものを含めて韓国領域での核兵器不在も検証対象なのである。
このような合意は、米軍が将来において朝鮮半島から撤退することを予測させるものである。
軍事的世界戦略の基軸に核兵器を置いている米国が、その保管についてまで縛りが掛けられている領域を軍事拠点とし続けるとは考えにくいからである。
その一方で、米国がアジアにおける軍事的プレゼンスを減少させていくことも当面は考えにくい。
韓国から手を引いた米国がアジアにおける軍事拠点の再構築場所として目を付けるのは、経済的にも厚遇され政治的にも追従してくれる日本ということになるのだろう。
日本で量的な強化が行われることはあまりないだろうが(その必要も余裕もない)、司令部の移転構想に見られるような質的強化が今後目指され日米政府間の主要テーマになると予測する。
アジア大陸部からは米軍が撤退し、それでもアジア大陸諸国に睨みを利かせたい米国のために機能が強化された軍事拠点を提供する日本(列島)という図式が生まれかねないのである。