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著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐野 真一
1947(昭和22)年、東京生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。1997年、民俗学者・宮本常一とパトロン・渋谷敬三の生涯を描き上げた『旅する巨人』(文芸春秋)で第28回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞
「下半身が昭和の闇に溶けかけている」満州の阿片王、里見甫の生涯を、丹念な取材で浮かび上がらせた本。
戦前・戦時・戦後を舞台にした影の昭和史はぞくぞくするほど面白く、次の日は会社だというのに3時まで読み耽ってしまった。読書の愉しみを満喫した気分。
満州、昭和史、魔都、といった言葉に惹かれてしまう方におすすめ。李香蘭や甘粕正彦の方がメジャーではあるが、里見甫の生涯は彼らほどは知られていないがゆえに、著者と一緒に一枚一枚ベールをはがして、真相に近づいているような興奮がある。
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最良のサスペンス, 2005/08/18
レビュアー: 我善坊 (プロフィールを見る) 神奈川県 Japan
満州の阿片王・里見甫を、晩年に得た遺児の育英資金の奉加帳を手掛かりに関係者に一人一人当たり、謎の多かった人物像を再構成してみせる。戦後半世紀余が過ぎ、殆どの関係者が鬼籍に入り調査は難航するが、それでも筆者は諦めず、関係者から縁者へと手掛かりを広げて行く。正に最良のサスペンス・ドラマを見るようで、分厚いハード・カバーも一気に最後まで読んでしまった。
著者の調査能力には脱帽の他はない。
佐野には珍しく無頼の里見に対して思い入れが強いが、筆一本で世に立ち向かっている自身を投影しているのであろうか?決して嫌味にはなっていない。
阿片を道具に満州支配を謀った東條英機、岸信介たちは、いまその子孫によって必死の再評価が試みられているが、そういう世相に冷水を浴びせる一冊でもある。