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08/25 07:29 30万戸が強制移転か 焼身自殺図り抗議も
北京市は一九九〇年、再開発のため「老朽化住宅」の取り壊しに
着手、二〇〇〇年までに家屋面積で約四百九十九万平方メートル分
を撤去、約十八万四千戸を移転させた。夏季五輪の開催決定後には
移転対象が急増、〇二年から今年末までの移転は約三十四万戸に上
る見通しだ。
老朽化だけでなく、道路拡張などを含めると移転戸数はさらに拡
大。このうち、住民の意向を無視した強制移転は約三十万戸との見
方もある。
北京市の陳情受付窓口には連日、住居や農地を強制収用された住
民らが訪れ「原状回復」や「移転に見合った補償」を要求。しかし
解決は難しく、〇三年九、十月には強制立ち退きを迫られた住民ら
が相次ぎ天安門広場で抗議の焼身自殺を図った。今年七月にも北京
市郊外で、五輪のボート競技施設建設のため農地を収用された農民
約百人が抗議活動を行い、約十人が拘束された。
中国の研究機関によると、中国の労働者や農民ら社会的弱者が抱
えている代表的な不満は/(1)/都市部での立ち退き問題/(2
)/官僚や司法の腐敗/(3)/農地の強制収用など農村問題/(
4)/失業/(5)/環境破壊。背景には高度経済成長に伴う貧富
の格差拡大と、不当な手段で豊かになった富裕層に対する怒りがあ
る。
北京市内の北京南駅周辺には、中央政府に陳情するため地方から
上京した約五千人が一泊三元(約四十円)の簡易宿舎に常時滞在。
駅近くの国務院(政府)や全国人民代表大会(国会)の受付窓口な
どを訪れている。
胡錦濤指導部はこうした不満が反政府活動に発展し、社会の安定
を揺るがすことを最も警戒。弱者重視の「親民政策」を掲げて諸政
策を打ち出しているが、地方の官僚や司法、開発業者が「地方ボス
化」して中央政府の指示を実行に移さないケースも多い。
庶民の怒りは高まっており、公安省によると、昨年全国で発生し
た騒乱・暴動を含む抗議行動は七万四千件を超え、一九九四年の約
七・四倍に上った。(北京、共同=松岡誠)
20050825 0729
[2005-08-25-07:29]
08/25 07:28 取り壊し相次ぐ「胡同」 強制収用に怒りとあきらめ
二〇〇八年夏季五輪を三年後に控え、建設ラッシュに沸く北京。
市内各所でクレーンが立ち並び、高層ビルや商業施設が威容を誇る
一方、庶民が住む伝統的な横町「胡同(フートン)」は次々に取り
壊され、住民は強制立ち退きにおびえる。急速な経済成長の陰で、
過酷な扱いに憤る一部住民の怒りとあきらめのうめき声は高まる一
方だ。
▽一瞬
「明朝から代々住み続けてきた家が、一瞬のうちにたたき壊され
た」
北京市中心部の天安門広場から南東約四キロにあった王継淳さん
(70)=仮名=の平屋建て家屋は昨年末のある早朝、地元政府の
許可を得た開発業者の重機で家財ごと押しつぶされた。
就寝中だった王さん一家は、ドアをけ破り侵入してきた男たちに
ベッドから引きずり落とされ、外に放り出された。その際に骨折し
た右腕の治療費はおろか、補償金や引っ越し代もいまだに一切支払
われていない。
中国では経済発展に伴い全国で都市建設が活発に進み、北京でも
〇一年に五輪開催が決まって以降、再開発に拍車が掛かった。関係
者によると、北京で強制立ち退きとなった家屋は約三十万戸。「職
場や子どもの学校などあらゆるルートを通じた圧力に泣く泣く屈し
た」ケースも多いという。
「私は定年退職者。立ち退きを一貫して拒否したため、(業者は
)最も野蛮な手段を取ったのだろう」と王さん。朝出勤して夕方戻
ると、自宅がさら地にされていた友人もいる。跡地では高級マンシ
ョンの建設が進む。
「抗議しないのか」との問いに、王さんは「(民主化運動を武力
弾圧した一九八九年の)天安門事件で学生が撃ち殺されるのをこの
目で見た。政府に盾突くのは怖すぎる」と声をひそめた。
▽癒着
「北京では『五輪』を名目に掲げて土地や家屋を収用するのが常
とう手段だ」。元開発関係者によると、狙われるのは大通りに近い
胡同。マンション、商業施設ともに需要が高く、市政府にとっては
税収増、役人にとってはリベートにつながるため「開発許可を得る
のはたやすい」と明かす。
中国は二〇〇一年の世界貿易機関(WTO)加盟後、「法治の徹
底」を打ち出し、行政や司法の透明性確保を強調しているが、行政
や司法の幹部は議会の代表を兼任、三権分立は事実上存在しない。
このため「裁判所が行政の決定を覆したり、開発業者を罰する事
案はゼロ」(消息筋)に等しいのが現状で「開発業者と政府の癒着
」や「役人の腐敗」を非難する庶民の訴えは門前払いされているの
が実情。残された道は上級機関への陳情だけだが、解決に至るケー
スはほとんどない。
▽「機密」
「八人の屈強な警官に十五時間にわたって殴られ、けられた」。
元弁護士、倪玉蘭さん(45)は〇二年夏、自宅近くの住居の強制
収用現場で「証拠写真」を撮ったことを理由に、公安当局に計七十
五日間拘束された。
連日の暴行で腰の骨が曲がり、足の筋も切れ、今も松葉づえで歩
く。「警察署にはさまざまな拷問器具があった。それを公言するこ
とも『国家機密漏えい』といわれた」
倪さんの知人で強制収用に抵抗した男性(50)は社会治安を乱
した罪などに問われ、事実上の非公開裁判の末、実刑判決を受け収
監中。立ち退き問題の調査で一時帰国した日本在住の中国人女性(
44)も令状なしで約一カ月拘束されるなど、当局の対応は強引だ
。
倪さんの自宅はがれきの山と化した空き地にポツンと立つ。かつ
て約七千戸の人々が生活していた胡同は、警察署建設などのため壊
され、住民はちりぢりに移転。あくまで抵抗する倪さんの家が強制
収用されるのも時間の問題だ。
胡錦濤国家主席は「五輪に向けた準備作業を極めて重視している
」と述べ、国家を挙げた五輪成功への決意を強調。一層の経済発展
やインフラ整備などを歓迎する声は経済界や知識人の間で少なくな
い。これに対して倪さんは「五輪開催の名目で、当局と開発業者が
つるんで庶民からすべてを収奪している。私たちに五輪はいらない
」と怒りを込めた。(北京、共同=松岡誠)
20050825 0728
[2005-08-25-07:28]
08/25 07:30 悪化する業者と行政の結託 一党独裁では解決不可能
中国各地で住宅を取り壊されたり、農地を奪われるなどした庶民
の弁護と支援を続けている高智晟・弁護士に、強制収用の実態と背
景を聞いた。(北京、共同=松岡誠)
―立ち退きの現状は。
「北京は全国で最悪だ。開発業者と(行政など)権力者が結託し
た利益集団が、潤沢な資金を蓄え、個人の権利を奪う能力に一段と
たけてきている。強制収用は激しさを増しており、対象も貧困層か
ら中産階級に拡大している」
「中央政府の権威低下が著しく、地方政府がやりたい放題の状態
だ。特に北京では、開発業者のバックに(高級幹部関係者など)巨
大な権力集団が控えているため、中央もメディアも一切手出しがで
きない」
―司法の対応は。
「最高人民法院(最高裁)がこのほど、強制収用をめぐる提訴基
準を厳格化したため、利益集団が裁かれる可能性は限りなく小さく
なった。仮に訴訟に持ち込めても、業者側の勝訴は確実だ。抗議し
た庶民が逆に(治安を乱した罪などで)実刑判決を受けるケースも
相次いでいる」
―国民による監督は。
「当局は『陳情条例』を改正して取り締まりを強めており、共産
党が掲げる(当局に対する)『大衆の監視』は有名無実化した。メ
ディア規制も強化されている」
―五輪はどう影響しているのか。
「五輪開催を口実に強制収用するケースが少なくない。人類文明
の繁栄と平和の象徴である五輪が、不公正がまかり通っている北京
で開催されるのは残念だ」
―解決策は。
「共産党独裁下では解決できない。社会問題を制度的に解決する
機能がなく、権力が利益集団と化しているからだ。中国は人民のも
ので、党の所有物ではない。ただ、(改善に向けて)自覚的に行動
を起こす人々が徐々に増えている。むなしさを感じることはあるが
、悲観はしていない」
× ×
こう・ちせい 1964年、山西省出身。元出稼ぎ労働者。大学
卒業資格試験と司法試験に独学で合格、96年から弁護士。
20050825 0730
[2005-08-25-07:30]
08/25 07:30 北京夏季五輪
北京夏季五輪 中国で初めて開催される五輪で、中国語で縁起が
良いとされる「8」を並べ、2008年8月8日午後8時(日本時
間同9時)に北京で開幕する。五輪開催は中国の悲願で、00年夏
季五輪の招致には失敗したが、01年7月の国際オリンピック委員
会(IOC)総会で大阪市などの他候補地に圧勝した。03年12
月に、メーンスタジアムとなる「国家体育場」や競泳会場「国家水
泳センター」が着工。選手村や競技場などが含まれるオリンピック
公園の面積は約1215ヘクタールに及ぶ。(共同)
20050825 0730
[2005-08-25-07:30]