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元日朝交渉担当大使の驚くべき発言 (五十嵐仁の転成仁語 7月21日(木))
http://www.asyura2.com/0505/asia2/msg/389.html
投稿者 i^i 日時 2005 年 7 月 22 日 00:26:45: uYCM.EuCxbqec
 

神浦氏は7月19日朝のニッポン放送「森永総研」で、北朝鮮は、ソウルや在韓米軍に
照準を合わせた大量の化学砲弾(長射程砲、対地ミサイル、ロケット砲)を非武装
地帯に沿って地下陣地に大量に配備しており、ボタン一つで毎時50万発発射できる
ようになっているので、米軍は(というより、米軍でさえも?)絶対に攻撃できないと
断言していたのだが。

----- ここから -----
http://sp.mt.tama.hosei.ac.jp/users/igajin/home2.htm

7月21日(木)

元日朝交渉担当大使の驚くべき発言

驚きましたね。こんな人が「交渉担当」だなんて……。
 「交渉」が上手くいかないのも当然でしょう。今日の『日本経済新聞』夕刊に
出ていた、鈴木勝也元日朝交渉担当大使の発言のことです。
 この間の日朝交渉について、「事態打開の道はあるのでしょうか」と問われて、
鈴木さんは次のように答えています。

 「日本には米国と違い、北朝鮮が話し合いに応じない場合の次の一手がない。
憲法で国際紛争解決のための武力行使を禁じているからだ。だから北朝鮮は日本
との約束を破っても怖くない」

 つまり、事態打開のためには、憲法を変えてアメリカのように「武力行使」を
可能にし、北朝鮮に怖い思いをさせなければならないというのが、鈴木さんの主張
です。
「武力行使」をちらつかせて怖がらせなければ、北朝鮮は「話し合いに応じない」
というわけです。
 これが、日朝間の交渉を担当してきた大使の発言です。力ずくで言うことを聞かせ
ようという人がこの3月まで「交渉担当」だったというのですから、うまくいくはず
がありません。
 鈴木さんは、「レベルを問わず、話し合いのみによる解決は難しい国だ」とも述べて
います。だから「話し合いに応じない場合の次の一手」、つまり「武力行使」が必要
だとでもいうのでしょうか。

 北朝鮮との交渉がうまくいかない責任は憲法にあるというのが、鈴木さんの弁明です。
「交渉担当」としての自らの責任を憲法に押しつけるなんて、トンデモナイ言いがかり
です。
 憲法を変えて「武力行使」という「次の一手」を可能にすれば、北朝鮮は言うことを
聞くとでもいうのでしょうか。もし、それでだめなら、さらに「次の一手」として
実際に武力を行使するべきだとでも言うのでしょうか。
 これが、外交官の発言なのですから、驚いてしまいます。大義を明らかにし、道理を
尽くして相手を説得しようという意欲が全くありません。

 大体、「力」で脅しつければすぐに言うことを聞くだろうという発想が安易です。
実際には、そんなことをすれば、ますます事態はこじれるばかりでしょう。
 鈴木さんは「日本には米国と違い」と言っていますが、その米国にしても「話し合い
に応じない場合の次の一手」をちらつかせているわけではありません。北朝鮮への
「武力行使」で怖い思いをさせているわけでもありません。
 それに、北朝鮮の側にしたって、米国との約束を何度も破っているではありませんか。
今回の6カ国協議の再開も、様々なレベルでの外交交渉の成果であって、米国による
「武力行使」を怖がったからではないでしょう。

 この鈴木さんの発言は、日本の外交官の中には「武力行使」によらなければ「国際
紛争」は解決できないと考えている人がいるということを示しています。これらの人は、
交渉がうまくいかなければ、「次の一手」として武力に訴えるべきだと考えているかも
しれません。
 そのような外交官が、周辺諸国との交渉を担当しているわけです。これでは、
「火薬」を担いだ消防士が消火活動を行っているようなもので、危険きわまりないと
言うべきでしょう。
 今はまだ、憲法9条という覆いがあります。それがとれれば、「火薬」はすぐに
でも爆発してしまうかもしれません。

 その意味で、鈴木さんの発言はきわめて重要です。日本の外交担当者がいかに
危険な発想をするようになってきているのか、はっきりと示しているからです。
 同時に、それを抑止する手段として、憲法がいかに有効に機能しているかという
ことも、明瞭に教えてくれていると言うべきでしょう。

 なお、6月16〜25日に「五十嵐仁の転成仁語」で連載した久米郁男『労働政治』
への書評をまとめて、「日本型労使関係」美化論の破産―久米郁男『労働政治』
(中公新書)を読むとしてアップしました。ご笑覧いただければ幸いです。

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