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(回答先: 中国は歓迎 言動注視へ 【産経新聞】 投稿者 愚民党 日時 2005 年 7 月 17 日 08:10:21)
東シナ海の資源争奪戦 台湾も“参戦”?
天然ガス田の開発をめぐり、日本政府が帝国石油に試掘権を許可したことで、東シナ海を舞台にした資源争奪戦は新たな局面を迎えた。この問題、これまではもっぱら日中両国の争いと思われていたが、実は、東シナ海に権益を主張する別の存在が浮かび上がっている。相手が中国一国でも面倒な交渉が控えているのに、そこに口を挟もうとしている第三の存在とは。 (浅井正智)
帝国石油に試掘権が認められた翌十五日、並々ならぬ関心をもってこのニュースを報じたのが台湾メディアだった。
「日中双方が互いに譲歩しないため、東シナ海の資源をめぐり極度に緊迫した関係が続くだろう」(東森テレビ)「日本の試掘は、中国が開発を進めているガス田のごく近くまで行く可能性があり、中国の不満を誘発している」(TVBSテレビ)「日中の衝突は避けがたい」(通信社の中央社)といった具合だ。
報道を見る限りでは、日中の対立を傍観者として伝えているように見える。しかし、台湾自身が東シナ海の資源権益の当事者であることを誇示する、ある“事件”が三カ月前にあった。
■現場海域で艦船が調査
「なぜこんなところに台湾の艦船が航行しているのかと驚いた。もし台湾が資源の権益に関心をもっているとしたら問題は極めて複雑になる。これは重大事だと思った」
四月二十二日、日本テレビの取材に同行して、春暁ガス田の開発状況を上空から視察した杏林大学の平松茂雄教授(中国軍事)は、現場から十マイルほど南の海域で千トン級の艦船が航行しているのを偶然見つけ、こう直感したという。
船腹には「ROC COAST GUARD」と書かれていた。ROCは「Republic of China」の略、つまり台湾のことだ。台湾の沿岸警備隊に当たる海岸巡防署の船だった。この前日の台湾メディアは、海巡署所属の警備船「和星」と「謀星」が台湾を出航したことを伝えていた。
■豊富な海底資源 69年から関心
台湾の艦船がこの海域に出没したことに、どんな意味があるのか。
台湾の駐日代表部に当たる台北駐日経済文化代表処の朱文清新聞広報部長は、本紙の取材に「ガス田の開発が進められている海域は、台湾から二百カイリ以内の排他的経済水域(EEZ)内にある。艦船は開発状況を調査するため派遣された」と語り、東シナ海の資源争いが日中だけのものではないという立場を鮮明にした。
台湾が東シナ海の資源に関心を持ち始めたのは一九六九年にさかのぼる。この年、尖閣諸島の周辺海域で豊富な海底資源が埋蔵されている可能性が明らかになり、それまで日本の領有権に国際的な異議が唱えられたこともなかった同諸島ににわかに注目が集まった。
台湾はそのとき資源に対する権利を最初に主張し、東シナ海から台湾海峡、南シナ海にかけて石油鉱区を設定。七一年には尖閣諸島の領有を宣言した。
七二年の日中国交回復に伴って日台は断交した。東シナ海の資源争いの主役は日中両国となり、台湾は蚊帳の外に置かれていく。
問題はなぜこのタイミングで視察の船を派遣したのかだ。
平松教授は「この一週間前、小泉純一郎首相が反日デモを受け、東シナ海について『対立の海』を『協調の海』に変えようと発言した。台湾はこの発言に日中共同開発の可能性をかぎ取ったに違いない。共同開発が現実になったら、台湾は東シナ海の権益から完全に弾き出されてしまう危機感があったのだろう」とみる。
確かに日本政府は共同開発を選択肢として排除してはいない。仮に日本が単独で東シナ海のガス田開発に乗り出した場合、ガス田から消費地まで総延長にして二千キロ以上という長距離のパイプラインを深海に敷設する必要があり、採算を取るのは難しい。このため中国との共同開発の方が効率的だという意見が政府内に根強くある。
五月末に行われた日中局長級協議で、中国は日本がEEZの境界としている日中中間線の日本側海域での共同開発を持ちかけたが、日本は拒否した。しかし資源エネルギー庁幹部は「共同開発が日中中間線の中国側海域にも及び、しかも両国対等の立場で行われるなら議論する前提もできる」と話し、中国の提案次第では日本が乗る可能性があることを強く示唆する。
■漁業権益でも主張を強める
ところで最近の日台関係といえば、野党の国民党の王金平・立法院長(国会議長)らを乗せた海軍のフリゲート艦「鳳陽」が先月二十一日、尖閣諸島の近海まで航行し、同諸島周辺で操業する台湾漁船が日本の巡視船によって排除されていることに抗議したのが記憶に新しい。
資源と漁業。一見無関係のように出てきた二つの現象だが、台湾在住のジャーナリスト酒井亨氏は「東シナ海の資源に関心を示していることも、漁業権益で日本への主張を強めていることも、台湾の主権を国際的に認知させるための手段という点で共通の土壌をもっている」との見方を示す。
さて台湾が資源争奪戦に割って入ろうとしたとき、日中台にどういう政治力学が働くのか。
「中国は台湾を共同開発に引き込みたい。一緒に共同開発をすれば、中台統一の足がかりになるという読みがあるからだ。しかし台湾も中国の思惑は見透かしており、わざわざ術中にはまるようなことはしないだろう。台湾と関係が深い米国も、中台の急接近には警戒するはずだ」と拓殖大学の澁谷司・助教授(現代台湾政治)は指摘する。
ただ中台は九〇年代に、東シナ海や南シナ海で資源の共同開発に向けて交渉してきた経緯がある。東シナ海では実現していないものの台湾海峡では中台で油田探査を行った実績もある。
今春以来、国民党の連戦主席、親民党の宋楚瑜主席ら台湾の野党指導者が相次いで中国を訪問し、胡錦濤国家主席と会談。経済関係の強化で双方の意見が一致した。「中国との対立構造を自らの支持基盤にしている陳水扁政権が、対中関係を劇的に転換させる時期にきているとはいえないが、中台が資源開発の分野で再び結びつく可能性はある」と台湾在住のジャーナリスト本田善彦氏は話す。
前出の資源エネルギー庁幹部は「日本政府としても台湾の動向に関心をもつべきかもしれない。しかし今のところ、日本に具体的な要求をしてくる兆候はなく、台湾が実際に権益を主張してくることまで心配する必要はないのではないか」とさほど問題視していない様子だ。
高をくくっているともいえる政府の姿勢に、平松教授は警告を発する。
「日台間には国交がないから資源問題で話し合おうにも窓口すらない。他方、中台には共同開発で交渉を進めてきた経緯もある。台湾がガス田開発に明確な主張をし、中国と手を組む事態になったとき、最も困難な立場に陥るのは日本だ」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050717/mng_____tokuho__000.shtml