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台湾 国民党主席に馬氏 対中現実路線前面に 党内協力で“しこり”も
【台北=河崎真澄】二〇〇八年の総統選で政権奪回をめざす台湾の最大野党、中国国民党は十六日、香港生まれで中国の湖南省に省籍をもつ外省系の馬英九・台北市長(55)を選出し、今後、「中国カード」を前面に態勢固めを急ぐ。五年前の陳水扁政権誕生以来、離れる一方だった中国と台湾の間の“距離”をどう縮めるのか。台湾の主権問題を棚上げしてでも中国経済をテコに台湾の存在意義を高めていくのか。次期総統選に向け、「対中現実路線」を有権者に問うことになる。
二人の副主席による争い。いずれの候補も連戦主席(68)の路線継承を強く訴えたが、馬氏大勝の背景を国民党のある元立法委員は、「党内で省籍の問題はむしろ外省系に振り子が振れた」と分析する。南部の高雄出身で本省人(台湾籍)の対抗馬だった王金平・立法院長(64)では、対中交渉で成果を上げにくいとの判断が党内に広がったものとみられている。
四月から五月にかけて訪中し、中国共産党の胡錦濤総書記とも会談した連氏は、中台にとって「国共合作」による抗日戦争勝利から六十年にあたる今年、「両岸(中台)の中華民族の団結」を繰り返し訴えた。対中経済関係が深まる中で、連氏は「中国人意識」を呼び起こすとともに、国民党に対中交渉力があることを誇示した形だ。
投票を終え、米国に向けて出発した連氏は十六日夜、林豊正・秘書長(幹事長)を通じて談話を発表。「馬氏には祝意を、王氏には敬意を表する。二人とも党にとって欠かせないリーダーで、改革により政権を奪回してほしい」として党内の結束を訴えた。
連氏が党内結束に懸念をにじませたのは、六十四歳の王氏がどこまで五十五歳の馬氏の下で協力態勢を取るのか、党内人事などで一気に世代交代が進むと、分裂に至らぬまでも“しこり”が残るのは確実だからだ。
さらに、馬氏は国民党内部にくすぶる「黒金(暴力団との結びつきによる金銭問題)」や戦後、不当に接収した党資産の処理問題などの改革策を選挙公約に掲げている。今回の選挙で党改革への支持は得た格好だが、実際に党内で改革を進めれば進めるほど問題が発覚し、党内から反発を招く恐れがある。
党改革と党内調整の微妙なカジ取りを「若きホープ」がどこまでこなせるか。馬氏の肩にのしかかる課題は数多く、かつ重い。
さらに、昨年の総統選や立法委員選で共闘関係にあった第二野党、親民党の宋楚瑜主席は王氏支持に回った。宋氏が馬氏とどこまで野党共闘を組むか見通しは立たない。
一方、与党の民主進歩党の蘇貞昌主席は、馬氏の当選を祝福すると同時に、「反対党の野党ではなく与野党が協調して政策を実践しよう」と求めた。
蘇氏は次期総統選での民進党からの総統候補になる可能性もあり、馬氏に早々とジャブをはなった格好だ。二〇〇八年の総統選に向け、与野党の攻防も始まった。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/17int001.htm