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「アロヨ危機」小康状態 カトリック教会辞任要求せず 議院内閣制へ憲法改正約束
【バンコク=岩田智雄】大統領選挙での不正疑惑で辞任要求が突き付けられているフィリピンのアロヨ大統領に対し、同国のカトリック司教協議会は十日、声明を発表し、大統領に辞任を求めず独立機関の真相委員会を設置するよう提案した。大統領は軍に影響力を持つラモス元大統領の支持もつないでおり、辞任要求の動きはいったん小康状態に入った形だ。
◆ラモス氏カギ
司教協議会は大統領の辞任要求で内部が賛否に分かれたものの、最終的に、「大統領に辞任を求めることはしない」と発表した。しかし、大統領の一連の不正疑惑を調査するための真相委員会の設置を求め、「非暴力的な辞任要求は福音に背くものではない」として、辞任を求める声にも一定の理解を示している。
カトリック教徒が国民の84%を占める同国では、カトリック教会の影響力は絶大で、この日の声明で崩壊の危機へと向かっていたアロヨ政権は、いったん救いを得た形になった。
マルコス独裁政権の崩壊などフィリピンで過去起きた政変では、反旗を翻す側が軍の支持を取り付けられるかどうかが重要な要因となってきた。元国防相であるラモス元大統領は、現在も軍に影響力を持ち「クーデターを抑えられる唯一の人物」(外交筋)とされる。
◆暫定大統領
今月七日、野党側から高まる辞任要求を切り抜けようとした大統領は、全閣僚に辞任を要求し新内閣を打ちたてようとした。マニラの外交筋によると、この発表を前に大統領はラモス氏と会い、ラモス氏が主導する大統領制から議院内閣制への移行を可能にする憲法改正を急ぐことを約束し、支持を求めたという。
このため、ラモス氏の大統領への支持が続くかぎり、軍がクーデターの動きに走るとは予想しにくい状態にある。
ラモス氏はこれまで、「フィリピンでは大統領制はうまく機能していない」として、新憲法の下で来年五月に議院内閣制へ向けた選挙を実施することを提案している。ラモス氏の算段通り事が運べば、アロヨ大統領は来年までの“暫定大統領”の性格を帯び、いずれにしても任期途中での“名誉ある撤退”をすることになる可能性もある。
◆後継に懸念
野党側も、大統領の不正批判を繰り返すだけで、政権を崩壊に追い込むだけの決定打を欠いている。
しかも、仮に大統領を辞任に追い込んだとしても、権限は大統領派のデカストロ副大統領に移譲されるだけで、政権を奪取することはできず手詰まりの状態だ。
一方、八日の閣僚ら十人の辞任と大統領への辞任要求劇は、アロヨ政権の危機感を一気に高めることになった。閣僚らの辞任はアロヨ大統領が前日に全閣僚の辞任を要求したことへの反発ともみられているが、アロヨ大統領の与党ラカスは、大統領の支持を明確にしており、辞任要求に追随する動きはみられない。
テレビキャスター出身のデカストロ副大統領の政治手腕を疑問視する声も多く、大統領が辞任したところで、権力の受け皿への懸念もある。
アロヨ大統領としては、二十五日に開会する下院議会で施政方針演説を行い、与党が多数派を占める上下両院での弾劾手続きへ持ち込み、続投を図る構えとみられる。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/12int001.htm