★阿修羅♪ > アジア2 > 291.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
反国王へ連携の動き ネパール、主要政党と毛派
カトマンズの位置
【ニューデリー=大野良祐】ギャネンドラ国王が2月に内閣を解任して直接支配を進めるネパールで、議会制民主主義の復活を求める主要政党が、反政府武装勢力「共産党毛沢東主義派(毛派)」との連携に動いている。膠着(こうちゃく)状態に陥った状況を打開し、国王包囲網を築くためだ。しかし、同国に影響力を持つ米国やインドは、民主化を求めつつ、テロ組織と認定する毛派封じ込めも狙う。両国は軍事支援などで国王に肩入れしており、事態は複雑さを増している。
国王は4月末に非常事態を解除。拘束されていた政治家、学生リーダーらは6月末までにほとんどが釈放された。だが、私服警官による厳しい監視が続いているといわれ、国王批判や毛派の動静を伝えることを禁じた報道規制も残る。違反した新聞や週刊誌の編集者が当局に査問される事件が相次いでいる。
毛派は治安部隊が手厚く配備されている首都を中心としたカトマンズ盆地では攻勢に出られず、地方で散発的に警察施設などを襲撃。政治状況は膠着状態だ。
そんな中、ネパール会議派、統一共産党など主要7政党が6月下旬、毛派に「政党の平和的な(反国王)運動に参加を」と呼びかけた。毛派は翌日、指導者のプスパ・カマル・ダハル(通称プラチャンダ)書記長が声明を出し、7政党の姿勢を「前向きな展開」と評価した。
同月はじめ、政党の中心人物、ネパール会議派のコイララ総裁が訪問先のインドでプラチャンダ書記長と接触したとされる。この時期に毛派が仕掛けた地雷でバスが爆破され、多数の市民が死亡する事件が起きたが、毛派は「標的を誤った」と即座に謝罪した。
毛派は王制打倒を目指すとともに政党の腐敗を批判して96年に武装闘争に転じ、政党政治家へのテロ行為も繰り返してきた。毛派が武力闘争を放棄しない限り手を組むのは難しいとの見方は根強い。だが、「今のままでは国王の優位が続く」(カトマンズ外交関係者)との焦りが双方にあるようだ。
●米、対テロで王制支援
国王が非常事態解除後も強権政治を続ける背景には、国内の反国王勢力が結集していない現状に加え、国際社会が圧力をかけ切れていないことがある。米国は軍事援助を停止せず、いったん軍事援助を凍結したインドは非常事態解除を機に援助凍結も解除した。
毛派との対決を対テロ戦争の一環に位置づけている米国、国内に毛派と連携する極左武装勢力を抱えるインドは「国王のクーデター」を苦々しく思いながらも、対毛派で国王を支えなければならないジレンマがある。
◇ ◇
◆キーワード
<「国王のクーデター」> ギャネンドラ国王は今年2月1日、首相と全閣僚を解任したと発表し、非常事態を宣言した。政治家や民主化運動家らを一斉に拘束・軟禁。電話回線を切り、報道統制、集会の禁止などの措置をとった。同国王は絶対王制志向が強いとされ、01年の即位後、下院を解散し、首相の解任を繰り返して直接統治の布石を打ってきた。
http://www.asahi.com/paper/international.html