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恒久支援日本に要求へ
旧日本軍毒ガス被害『医療保障を』
中国東北部、黒竜江省チチハル市で二〇〇三年八月、旧日本軍の毒ガスが漏えいした事故をめぐり、健康被害を受けた中国人約四十人が、日本政府に医療体制の整備や公式謝罪を求めることを決めた。被害者の代表が七月に来日し、政府側と交渉する。被害者たちは「事故で将来を台無しにされた。治療に不安のない生活の保障を」と求めており、損害賠償を請求する集団提訴も視野に、責任ある対応を求める。
事故は中国国内で「旧日本軍が遺棄した毒ガス事故としては、戦後最大規模の惨事」とされる。
チチハル市内の工事現場で、イペリットと呼ばれる毒ガスが詰まった五つのドラム缶が掘り出されたのが発端だった。
毒ガスが入っているとは知らずにドラム缶を撤去したり解体した作業員らのほか、工事現場から中学校の校庭に運び込まれた汚染土に触れた子どもたちに被害が拡大。一人が死亡、四十三人に呼吸困難や頭痛、皮膚炎などの症状が残った。
日本政府は、日中共同声明(一九七二年)で中国が、日本に対する戦争賠償の請求を放棄したことに基づき「補償や賠償はできない」という立場を貫く一方、中国政府に対して「事故処理費」などの名目で三億円を支出した。
被害者を支援する日本の弁護団によると、死者の遺族に約二千万円、負傷者には一人当たり平均約五百五十万円の治療費が渡っている。
同弁護団は「中国の医療費は日本で考えられている以上に高く、被害者らは医療保険にも加入できない。症状の進行は将来にわたって続き、一時金ではとても足りない」としている。
被害者たちが最優先で求めているのは、日本の公害病患者らに行われているような恒久的な医療体制の創設。毒ガス治療に関する日中共同の研究機関の設立や、無料定期健診の実施などを想定している。将来にわたる生活の保障、事故の再発防止策なども要請する。
数人の被害者代表が七月末、弁護団の招きで来日する予定で、事故発生の八月四日ごろ、政府高官との面会を求める。
第二次世界大戦の終結前後に、旧日本軍が中国国内で捨てた毒ガス弾など「遺棄化学兵器」は、日本側の推定で約七十万発、中国側の推定で約二百万発に達し、戦後になって毒ガス漏えい事故の被害が相次いでいる。
◇メモ <イペリット>
びらん性毒ガスで、からしのにおいがするため、マスタードガスとも呼ばれる。皮膚に触れると炎症を起こすほか、吸い込めば肺気腫などを発症する。旧日本軍が同じびらん性のルイサイト、窒息性のホスゲンなどとともに中国大陸に持ち込み、実戦でも使用されたとの研究もある。第1次大戦でドイツが使用したのが最初とされる。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20050628/mng_____sei_____003.shtml