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『最後の機会』米朝綱引き
中断から1年 6カ国協議来月再開か
北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議は、昨年6月23日からの第3回協議を最後に中断してちょうど1年。この間、核兵器製造を宣言し、協議に背を向けていた北朝鮮が、条件付きで「7月復帰」の可能性をにおわすなど、ここにきて再開を探る動きが出始めた。再開実現には「7月が最後のチャンス」。各国間に切迫した空気が漂う中、ぎりぎりまでの米朝間の綱引きが続き、見通しはまだ定まらない。
■融和姿勢
「この時期をとらえて情勢を有利に導いていく必要がある」「米朝両国がより柔軟性を持てるよう緊密に協力しよう」
韓国の通信社・聯合ニュースによれば、中国の胡錦濤国家主席は二十二日、同国を訪問中の李海〓(イ・ヘチャン)韓国首相に、会談の席でこう強調したという。
「この時期」とは、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が十七日、「七月中にも協議復帰の用意」と述べたことを指すとみられる。
北朝鮮専門家の多くは金総書記が具体的な時期に触れた点に注目する。「北朝鮮は米国の我慢の限界を七月に設定、最後の駆け引きをしている」(中国の専門家)というわけだ。
北朝鮮は今年二月十日に突然、核兵器製造を宣言。三月末には、六カ国協議を「軍縮会談に」と提案するなど、一連の発言によって、六カ国協議は「北朝鮮の核保有」を前提とした仕切り直しが必要になった。これにより、協議の議長役・中国には「過去三回の努力が無駄になったとの失望感が広がり、熱意が失われていった」(中国外務省関係者)という。
代わりに活発な動きを見せ始めた韓国。二十二日、ソウルでの南北閣僚級会談でも、北朝鮮側代表から「米国が友好的に対応すれば一つの核兵器も持たない」との発言を引き出した。
ただ、再開が実現したとしても米朝間の立場の違いは簡単には埋まりそうにない。最近の南北間の友好ムードには、韓国を取り込み、協議を有利に運ぼうとの北朝鮮の意図が透けて見える。
さらに北朝鮮は、ライス米国務長官が北朝鮮を「圧政国家」と指摘した発言の撤回を要求。復帰をにらんでの条件闘争とみられるが、米国側に譲歩の気配はない。
北朝鮮が協議拒否を続けるなら「あらゆる代替案を留保している」(ライス長官)とし、国連安全保障理事会への付託をちらつかす米国。両者にらみ合ったまま七月を過ごし協議再開が“時間切れ”となる可能性も否定できない。 (北京・五味洋治)
■日本苦心
日本政府は、六カ国協議再開の可能性が高まったとみている。ただ、協議再開と成功には日米韓三カ国の連携が重要だが、歴史認識などによる日韓関係の悪化や、北朝鮮に対するアプローチの違いなどが微妙に影響し、なかなかおぼつかないのが実情だ。
今月一日には、日韓両国の六カ国協議首席代表が個別にワシントンを訪れたが、韓国側が日本を交えた三カ国での会合を嫌い、何とか「非公式」を前提に協議にこぎ着ける一幕もあった。
政府は、北朝鮮がこうした足並みの乱れを狙って「分断工作」を仕掛けてくることに警戒を強める。韓国への「七月復帰」表明も「今後の交渉を有利にするため、韓国を巻き込もうとした」(外務省筋)との疑念も抱いた。それだけに、二十日の日韓首脳会談で、盧武鉉大統領が日米韓の連携を強調したのは「これほど韓国が三カ国の結束に明確に言及したのは初めて」(政府筋)と歓迎している。
また、協議が再開した場合は、日本政府にとって核廃棄に向けた実質的な進展があることが不可欠だ。北朝鮮の核開発に最も脅威を受けるのは日本。さらに拉致問題では、国民の七割が経済制裁に賛成している。それを政府が抑制しているのは、「六カ国協議があるから。何らかの結果を出さないと世論が持たない」(外務省幹部)のである。
その拉致問題でも、政府は六カ国協議再開に期待する。現在、北朝鮮と「没交渉」の状況。被害者家族は二十四日から、首相官邸近くで座り込みを行い、北朝鮮への経済制裁発動を求める。
政府は六カ国協議の場を利用して拉致問題を話し合う機会も探る方針。だが、この問題を持ち出せば、北朝鮮側が態度を硬化させるのは間違いなく、道筋は描き切れていない。 (政治部・岩田仲弘)
※〓は王へんに賛
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050623/mng_____kakushin000.shtml