★阿修羅♪ > アジア2 > 147.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
冷めた対話 融和見えず
日韓首脳会談
二十日に開かれた日韓首脳会談の最大のテーマは、歴史問題だった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は小泉純一郎首相の靖国神社参拝の中止を言外に求めたのに対し、首相は参拝に対する自身の信念を強調。約二時間に及んだ会談でも、両首脳の歴史認識をめぐる溝は埋まらず、国交正常化四十周年を前に「冷めた関係」を印象づけた。
■靖国は『核心』断念迫る 盧大統領
盧武鉉大統領は会談後の記者会見で、日韓の歴史認識の懸案について「包み隠さずに、率直に意見交換した」と明かした。
韓国側の説明によると、大統領は小泉首相の靖国参拝を「歴史問題の核心」と明言、強い懸念を示した。過去の戦争美化につながりかねないと指摘し、「このような国(日本)が強大な経済力と軍事力を持つとき、過去に苦しみを受けた国と国民は、未来を不安に思うしかない」と畳みかけた。
日本国内で参拝反対世論が高まり、与党内からも自粛、慎重論が出ていることも踏まえ、小泉首相に言外に断念を迫ったとみられる。
韓国側の説明では、日本の歴史教科書に対する検定制度が話題に上った。韓国側は、歴史を歪曲(わいきょく)しているとみなす扶桑社版の教科書が、どれだけ教育現場で採用されるかに強い関心を示した。
会談で日本側は、未来に向けた「協力」の必要性を呼びかけたが、盧大統領は「それだけでは未来の平和を保証するのは難しいだろう」とボールを投げ返した。
日韓の歴史をめぐる対立は過去にも数多くあった。盧武鉉政権の大統領秘書官や与党ウリ党の議員らには、一九七〇、八〇年代の学生運動経験者が多く、外交でも民族の自負心を打ち出す姿勢が強い。日本の植民地支配、さらには米国に大きく依存してきた戦後の安保体制も含めて、歴史全体を自らの手で見直そうとの意識が根底にある。
だが、現状をみると、学術レベルでようやく日韓の歴史共同研究の報告書がまとまったばかりだ。
盧大統領は「歴史認識の根本を解決すべきだ」と強調したが、政府レベルで歴史認識を正面から検討しようという重い課題を、性急に日本に突きつけたことになる。 (ソウル・山本勇二)
■信念前面 『美化でない』 小泉首相
「決して戦争を美化、正当化しているのではない。二度と戦争を起こしてはいけないという気持ちで参拝している」。首相は会談で、自らの靖国神社参拝について、これまでの説明を繰り返した。
韓国側が要求する無宗教の国立戦没者追悼施設の建設について、事前の事務レベルの調整で、日本側が検討することで合意。首相と大統領は会談の中でこれを追認したが、具体的にやり取りを交わすことはなかった。
そもそも、無宗教の国立追悼施設の建設は、二〇〇二年十二月に当時の福田康夫官房長官の私的有識者懇談会が提案したが、自民党内の根強い反対論などで、いまだに具体化に向けた動きはない。首相も建設を検討する姿勢は示すものの、「靖国神社に代わる施設はない」と明言。仮に追悼施設ができたとしても、靖国参拝を続ける考えを表明しており、問題の解決につながるかどうかは疑わしい。
逆に言えば、首相が韓国側に切れる「融和カード」は、実現のめどのない国立追悼施設の「検討」しかなかったともいえ、苦しい立場が浮き彫りになった。
両首脳は、第二期の日韓歴史共同研究で、教科書委員会を設置することなどでも合意したが、肝心かなめの靖国問題で対立が解けない以上、関係改善への道筋は見えてこない。
「切実な望みが一つ、われにあり。諍い(あらそい)のなき国と国なれ」。首相は会談で、日韓両国で活躍した女流歌人、孫戸妍(ソン・ホヨン)さんの歌を披露。「私もこの歌を胸に秘めて、今後の日韓の友好発展に尽くしていきたい」と述べた。
だが、今年も靖国参拝の意向を崩さないとされる首相の言葉が、どこまで韓国側の心に響いたのだろうか。 (政治部・竹内洋一=首相同行)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050621/mng_____kakushin000.shtml