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日韓、歴史の溝明確に
併合条約有効性めぐり
日韓両政府の合意に基づき両国の研究者が参加した「日韓歴史共同研究委員会」の報告書全文が十日、日韓文化交流基金のホームページ上で公開された。焦点となっていた近現代の歴史認識では、一九〇五年の第二次日韓協約(乙巳条約)や一九一〇年の日韓併合条約の有効性をめぐる解釈で対立するなど、見解の隔たりの大きさが浮き彫りになった。
日韓両政府は年内にもメンバーやテーマを新たに二期目の共同研究を開始する。
今月二十日に予定される日韓首脳会談で、歴史教科書問題を取り上げることなどで合意する見通しだ。
報告書では、併合条約などについて、韓国側が「批准の手続きがなかった」「調印を強迫した」などと無効を主張、日本側は「形式的合意が整っていれば有効」と反論している。
両国の国交正常化を定めた一九六五年の日韓基本条約に関しては、韓国側は従軍慰安婦問題などに触れ、戦後賠償の個人請求権は残っていると指摘。日本側は「国家間で解決された」との見解を繰り返した。
古代史では、日本側が朝鮮半島における大和政権の影響力の論拠としてきた「日本書紀」の史料価値に韓国側が疑問を投げ掛け、「学界の研究成果が教科書に反映されていない」と、歴史教科書問題に絡めて日本側を批判、対立の構図を鮮明にした。
中近世史では、豊臣秀吉による朝鮮侵略が朝鮮社会に与えた影響などが論じられた。
また小泉純一郎首相の訪朝を含む一連の日朝交渉について、韓国側がブッシュ米政権の強い影響を受けていると分析したが、日本側は「現在進行中で検証不可能」とすれ違いを見せた。
ホームページアドレスは、
http://www.jkcf.or.jp/history/
■相互理解に対話継続を
<解説>
報告書全文が十日公開された日韓歴史共同研究は、四年前の日本の教科書検定で強まった韓国側の反発を和らげ、相互理解を深める狙いでスタートした試みだが、結果として両国の歴史認識の違いを際立たせ、両国間に横たわる問題の壁の厚さを印象付けた。
全文がA4判で二千ページ近い膨大な分量になったこと自体、意見集約が容易でなかったことを物語る。近現代史を中心に多くの論点で「両論併記」にならざるを得なかったことは、事前にある程度予想できたことだが、報告書を「言いっ放し」に終わらせないためにも、これを機に双方の息の長い取り組みが一層必要となる。
取りまとめに当たった日本側座長の三谷太一郎成蹊大教授は、歴史学とナショナリズムの密接な関係を踏まえ「国境を超えた『学問共同体』をつくることを困難にする固有の事情がある」と、作業に一定の限界があったことを認める。
特に韓国側にとっては、従軍慰安婦問題などが十分取り上げられなかったことへの不満を残した。韓国側座長・趙東杰国民大学校名誉教授は「学問的研究結果とは言い難い相違点も含まれていた」と溝の深さを指摘。韓国側が共同研究結果を教科書に反映させるべきだとしているのに対し、日本側は教科書検定制度の建前から難しいと主張、対立している。
両国は既にメンバーとテーマを新たにし、第二期の共同研究を実施することで合意している。日韓両国の間には教科書問題以外に、領有権をめぐって対立する竹島(韓国名・独島)や、小泉首相の靖国神社参拝など、国民感情に敏感な課題があり、対話の積み重ねによって、相互理解の糸口を見いだすしかない。
<メモ>日韓歴史共同研究
日本の一部歴史教科書の記述をめぐり日韓関係が悪化したのがきっかけで、2001年10月、ソウルで行われた小泉純一郎首相と金大中韓国大統領(当時)の首脳会談で合意。双方の専門家による「日韓歴史共同研究委員会」が翌年発足し、古代、中近世、近現代史の時代別に分科会を設け、議論を重ねてきた。学説や解釈に相違が見られるテーマが多く、最終報告書は当初予定の1年遅れで、今年5月にまとまった。両政府は今後、第2期の共同研究を実施することで合意している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20050610/eve_____sei_____001.shtml