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逼迫する資源・エネルギー問題 中・韓の成長は永遠に続くか (SENKI)
http://www.asyura2.com/0505/asia1/msg/878.html
投稿者 愚民党 日時 2005 年 6 月 09 日 06:28:10: ogcGl0q1DMbpk
 

逼迫する資源・エネルギー問題

中・韓の成長は永遠に続くか

http://www.bund.org/opinion/20050615-3.htm


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石油高騰時代がはじまった

文人正

 世界最大のエネルギー消費地域であった北米をまもなくアジアが追い抜くだろうと言われている。中でも中国の1次エネルギー消費量の絶対量の増大は著しい。  

 もともと石油の自給自足を行っていた中国だが、モータリゼーションの進展などに伴う石油需要の増加から生産が追いつかず、1997年に原油の純輸入国へ転落した。消費量の増大とともに、中国国内で石油生産が伸び悩んでいるのも原因の一つだ。  

 中国では主に東部の大慶油田や勝利油田などで原油生産を行ってきたが、今や減産傾向にあるため、タリム盆地などの西部地域で油田探査を行っている。しかし西部地域では大油田は見つかっておらず、むしろ原油の探査から採掘までに掛かるコストは上昇しているのが現実だ。  

 日本エネルギー研究所の李志東氏によると「2003年現在で、中国の三大石油メジャーの平均完全コストはバレルあたり約12〜14ドルであり、有望とされる西部油田の長期限界コストは20〜25ドルと推定」(『世界』05年2月号)されるという。中東メジャーの4ドルに比べると、非常に高い採掘コストであることが分かる。  

 中国はコスト高などで国内での大幅な石油生産が見込めず、中東の石油輸入にますます依存するようになっている。では中東の石油は安泰なのだろうか。  

 1948年に発見されたサウジアラビアのガワール油田は、今もサウジアラビア生産量の60%、450万バレル/日を生産する世界最大の油田だ。しかし圧力が低下し自噴しなくなったため、今は毎日700万バレルの海水圧入で生産が維持されている状態だという。  

 石油が少なくなり、良質で採掘しやすい油田がなくなれば、採掘にかかるコストとエネルギーは増大する。採掘エネルギーの比(EPR)は、元気な油田は50以上だが、採掘が進むとだんだん下がる。米国の油田の平均は3であり、1以下なら資源としての価値はないという。「取り出すためのエネルギー」が、「得られるエネルギー」より大きくなり、資源として価値がなくなるからである。  

 このため石油生産量のピークは、埋蔵量を半分消費したときに訪れる。以後、石油生産量は減少するようになる。これが石油ピーク、石油減耗論である。  

 中東の石油もピークを迎えつつあると言われている。元国立環境研究所長の石井吉徳・東大名誉教授は、今後は「高くて乏しい石油時代が来る」と警鐘を鳴らしている。  

 資源の枯渇とそれに伴う価格の上昇、産業の崩壊と農業システムの連続的崩壊、そして人口の減少。まさに『成長の限界』で予測された事態がおとずれようとしているのだ。  

 安い石油を前提として成り立っていた現代文明は、石油を取り尽くす前に破局を迎える。石油依存を転換しない限り、人類に未来はないのだ。


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水不足・水質悪化が中国を悩ませる

沼田昭介

 近年、中国北部では干ばつ、南方の長江では洪水が毎年のように起こっている。今問題になっているのは、全国の穀物の4分の1以上を生産する中国北部の深刻な水不足だ。  

 北部の黄河では河口まで水の届かない「断流」が1970年以降しばしば発生してきた。90年代に入ってからは断流の状況はひどくなり、1997年には1年に13回の断流が発生し、合計226日の断流日数を記録した。断流の長さは河口から704キロに達した。  

 断流の原因の一つは、黄河水源の水量減少だ。黄河の水源は、以前は支流も多く、雪山、草原、湿地など大自然が広がり、地表を流れ去る雨水の量も多かった。  

 しかし1990年代以降、水源の水量は著しく減少した。中国水利部の黄河水利委員会は、3つの原因を上げている。まず一つ目に、黄河水源の降水量が1990年代以前と比べて5・3%減少したこと。次に草原の砂漠化により、土壌の水分蓄積能力が低下したこと。水源地区の気温が1960〜70年代と比べて、0・5度上昇したことなどを指摘している。  

 砂漠化と地球温暖化が降水量の減少、砂漠化という悪循環を招いているのだ。さらに農業・工業・生活用水量の増大が水量の減少に拍車をかけている。  

 1950年代から1990年代にかけて黄河流域の水使用量は1・6倍に増加した。中でも農業のための灌漑用水が最も多い。灌漑面積が増えたことで、黄河の上・中・下流域の灌漑用水量は0・8倍、1・0倍、4・6倍に増加したのだ。  

 水源の水量が減少する一方で、中・下流域の水使用量が増えたことが黄河の断流の原因なのである。  また河川水だけでなく地下水の急激な減少も問題だ。華北平原では灌漑のための過剰な揚水によって地下水位が急速に低下、1990年代初期には、毎年1・5メートルと公表されていたが、今や3メートルに及ぶ速さで低下している。  

 中国北部のフーヤン川流域では、1967年から2000年の間に地下水位が8メートルから50メートルまで低下した。ある地域の小麦農家は深さ300メートルから水を汲み上げている状態だ。しかし深層の化石水は化石燃料と同じように再生不能の資源だ。使えば使うほどなくなっていく。  

 いくら灌漑して食糧生産を増やそうとも、地下水が枯渇してしまえば、耕地は砂漠化する。問題はよりいっそう深刻となるのだ。  

 また水の使用量が増えた結果、水不足だけでなく水質悪化も進行している。黄河の南を流れる淮河(ホワイ河)では1970年代から河川水質が悪化。水質汚染によって悪性腫瘍やガンの流行、死者も出ている。  

 例えば淮河最大の支流、沙穎河の流域の村ではここ10数年、癌で死に至る人が急増し、先天障害を持つ子供が増えている。沙穎河の汚染された水が灌漑用水に流れ込み、浅い井戸水に浸透、それを飲用した村民が癌などを発病しているのだ。  

 水質汚染は直接人体に悪影響を及ぼし、農産物を汚染し、工業製品の質を低下させる。一方、水不足は食糧生産や工業生産を制限する。  

 いくら灌漑用地を増やし、工業が発達しても、自然環境の制約を超えて発展し続けることはできない。今後、水問題が中国の経済成長を妨げる最大の要因になることは明らかだ。


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高騰するレアメタル

北野雅史

 最近、原油の高騰が続き4月4日にはニューヨーク商品取引所の原油先物相場は1バレル=58ドル28セントの史上最高値を更新した。その後は50ドルを割り込むなど相場は落ち着いているが、高値水準にあることに変わりはない。この原油の値上がりに連動するかのように鋼材価格の方も高騰を続けている。  

 私はシリコンを付けた基板の上に鋼材をつける仕事を行っている。半導体といえば代表的にはシリコンを思い浮かべる方が多いかと思うが、実際に半導体製品として完成するまでにはアルミニウムやクロムなどの多様な材料を用いる必要がある。鋼材の価格高騰によって製品コストへの転嫁が避けられない状況が産まれつつあるのだ。なぜ今、鋼材の高騰が続いているのか。

高騰する鋼材

 製鉄、造船、電機各社が以前から進めていた鋼材価格の交渉結果が出て、4月出荷分から20%程度の値上げとなった。1t当たりにして1万5000円前後の値上げ。亜鉛めっき鋼板、鋼管に至っては10万円/tを超える高騰具合だ。  

 私の職場で多用している靭性に優れたモリブデン(Mo)やタングステン(W)は、半導体関係だけでなく軍需産業資源としても重要視されている。あの劣化ウラン弾の材質も、劣化ウランにモリブデンとチタン(Ti)を混ぜた合金の微粉末をマグネシウム(Mg)で焼き固めたものだ。  

 モリブデンやタングステンなどの金属は地球上に存在量が少なかったり、量は多くとも経済的・技術的に純粋なものを取り出すのが難しい。これらの金属を「レアメタル」(希少金属)と総称する。学術的に31種あるレアメタルのうち、代表的な7鉱種(ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウム)は磁性材料や電子部品を作る原料となっている。私の所属している部署だけでも、ニッケル、クロム、タングステン、モリブデンと半数の物質を使用している。  

 しかしレアメタルの生産国は政情不安定な国を含めて海外の少数国に限定されており、供給構造が極めて脆弱となっている。日本では経済安全保障の確立という観点から国家備蓄・民間備蓄の双方が行われており、国内基準消費量の60日分を目標として備蓄が行われている。  

 鉄などは多くの地域で産出しているため、どこかの原産国が政情不安になっても代替産出国がいくつもある。しかし希少金属は世界各国に偏在しているために代替がきかない。  

 例えば埋蔵量ではクロムの83%、マンガンの54%が南アフリカに、モリブデンの69%が米国・チリに、コバルトの44%はコンゴに、バナジウムの80%がロシア・南アフリカに偏在している。  

 このように希少金属の偏在性のために、産出国をめぐる資源争奪戦が起こっている。特にアフリカ諸国での内戦には、欧州と米国による資源戦争の影が見える。軍事政権や反政府ゲリラ活動の資金源として希少金属が取引されているのだ。現にコバルト等の希少金属を産出するコンゴでは、米仏蘭の資源争奪戦の舞台として内戦が絶えない。  

 こうした資源獲得競争に新たに参加してきているのが、経済成長著しい中国だ。昨今の資源の高騰も中国の好景気が後押ししていることは間違いない。

金剛山の開発

 レアメタルの持つ重要性は、隣の韓国で行われている開発からも垣間見ることができる。例えば韓国の巨大メーカ「現代」が行っている北朝鮮の金剛山観光もその一つだ。  

 「現代」は日本でも「HYUNDAI」ブランドで液晶ディスプレイなどを売り出しているが、そもそも日本で売っている各メーカの液晶ディスプレイの多くの部分はOEM(相手先ブランド製造)として「現代」が作っている。  

 この現代財閥の創始者たる鄭周永は金剛山付近の出身で、北朝鮮当局と話し合って韓国からの金剛山観光を実現させた。1998年11月より韓国から直接金剛山に向かう金剛山観光が、現代グループが独占的に行なう形で始まった。金剛山観光開始に当たり、現代グループは北朝鮮に7年たらずの間に総額1000億円以上の「観光料」を支払う約束をした。  

 しかし観光客は思ったように増えず、金剛山観光は巨額の赤字(数百億円)となる。結局、2002年4月より韓国政府が税金を使って学生・教師などの金剛山旅行代金の補助を行うという異例のテコ入れ策を開始することとなった。しかし北朝鮮を巡る国際情勢緊迫のあおりを受けて、2003年度には政府補助は中断される。もろもろの心労がたたったのか、金剛山観光を推進してきた鄭夢憲・現代峨山会長は2003年8月4日に投身自殺をしてしまう。  

 2003年9月に金剛山の陸路観光が約半年ぶりに復活したのだが、なぜ韓国政府は赤字続きの「金剛山観光開発」に拘泥するのだろうか。もちろん北朝鮮への太陽政策の一環でもあるのだが、もう一方でレアメタルの獲得という面があることは見逃せない。実はこの金剛山は有望なタングステン鉱山なのである。  

 昭和10年代後半には、軍需産業の要請から朝鮮半島ではゴールドラッシュならぬタングステン・ラッシュが発生した。今と比べると規模が全然違うとはいえ、日本植民地時代も軍事物資の供給元として位置付けられていたのだ。  

 朝鮮半島北部には多くのタングステンが埋蔵されており、特に黄海道にその6割が分布している。モリブデン鉱山として有名なものに金剛山と黄海道の天恵鉱山がある。実は江原道にもいくつか鉱区はあるのだが、まさにその鉱区の上を38度線が走っている。「レアメタル」7鉱種のうち2つ、タングステンとモリブデンが金剛山には豊富に存在するのである。  

 韓国だけでなく経済成長著しい中国も、レアメタルが豊富な北朝鮮への民間投資を活発化させている。大韓貿易振興公社によると、昨年の中国の対北朝鮮投資は前年の130万ドルから約133倍の1億7350万ドルへと激増したという。  

 日本でも、昨年10月ゼネコン10社が訪朝計画を立て、実際に3社が実行している。日本の企業もインフラの受注やレアメタルの獲得をめぐって動き出しているのである。  

 今や北朝鮮のレアメタル獲得競争がはじまっているのだ。原材料の高騰や環境の観点からみても資源問題は目が離せない。今後は限りある資源を有効に使っていくことがより求められるようになるだろう。工業製品をつくる技術者として、今後の資源問題を見守りたい。


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(2005年6月15日発行 『SENKI』 1181号5面から)


http://www.bund.org/opinion/20050615-3.htm

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