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事実を伝えることの難しさ―ネパール情報を書くにあたって 2005/06/06
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ネパールのことを書くにあたって、よくネパール人の友達から一言釘を指される。「紛争が続いていることだけを書くのはやめてくれよ」と。つまり、海外から大勢人が来てくれないと、観光経済に頼っている国・国民としては経済的に大打撃を受けてしまうからである。
実際、よほど運が悪くない限り、われわれ外国人が内戦に巻き込まれて死傷するということはないだろう、そのような話は聞いたことがない。この点が現在のイラクと違うところだ。事実、全体の観光客数は減少しているとはいえ、ネパール好きの外国人はよく訪れている。
私の行き付けのレストランでよく見かけるのは、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、そして日本からの人たちである。そして、結構リピーターが多い。彼らはヒマラヤのトレッキングやカトマンズ市内の観光を楽しんでいる(ここだけの話であるが、最も事故に遭う危険が高いのはバスの転落事故であろう、と思う。地方に行くと道が悪く舗装もされていず、ガードレールがない所が多いので運転手がハンドル操作を誤り、川に転落するというケースである)。
話を元に戻す。「事実とは何か?」この永久的なテーマにいつも突き当たる。紛争が続いていることは事実であるが、平和な面を維持していることも、また事実である。したがって両面を書かなくては事実は伝わらない。
しかし、ただバランスよく両面書いたからそれで問題がないだろう、というものでもない。この国は近い将来、“国家が分裂してしまう危機”すら抱えているのだ。このようなことを決して忘れずに「事実」と向かい合い、一つ一つ書いていかなくてはならない、と自分に言い聞かせている。
(志鎌誠)
http://www.janjan.jp/world/0506/0506047895/1.php?PHPSESSID=bc89aa522d006c19486ed2ed44b31f4b