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(回答先: 米国の中国最後通告 (Nevada経済速報5月19日) 投稿者 愚民党 日時 2005 年 5 月 20 日 01:21:37)
ドルに事実上固定している中国の人民元の切り上げ観測に、関心が集まっている。中国政府は人民元改革推進を表明する一方、国内経済への影響などをにらみ、慎重にタイミングを見極める意向だ。しかし、巨額の対中貿易赤字を抱えた米国からの圧力が高まり、早期実施の観測も消えない。人民元が切り上げられれば、日本経済への影響も不可避だ。日米中それぞれの思惑を探った。
◇市場混乱回避へ 主導権確保狙う
中国国営の新華社通信は13日、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁が、18日に人民元切り上げ、という観測について「外国人が言っていることだ。ありえない」と述べたと至急電で伝えた。
11日、中国共産党機関紙「人民日報」の英語版ウェブサイトに「来週、人民元の対ドルレート変動幅拡大が発表される」という誤報が掲載され、世界に流れた。周総裁の発言は、なかなか消えない市場の憶測を打ち消す狙いだ。
近い将来、変動幅拡大など人民元改革を実施するのは既定方針。温家宝首相は3月14日、国内の経済・金融システムや周辺国への影響を見極めつつ改革を進める基本姿勢を改めて強調した。
上海の外貨取引センターでは今月18日から円とユーロなど外貨同士の取引が始まる。これも為替市場改革の一環で、18日切り上げ説はこれに合わせて一気に人民元改革を実施するのでは、との観測に沿ったものだ。
しかし、人民元高を期待する投機資金が大量流入し、市場の混乱を招くことは避けたい。中国国家外貨管理局の魏本華副局長は先月24日、海南省での会議で、人民元改革のタイムテーブルはないと述べた。温首相も「いつ実施するか、どんな方式をとるかは、意表をつくものになるだろう」と語り、あくまで中国が主導権を握りたいという考えをにじませている。
人民元改革を政治問題化し、圧力をかけてくる米国への反発もある。魏副局長は「切り上げがあったとしても10%を超えることはないだろうし、ある国家の貿易赤字問題は解決できない」と米国をけん制した。
中国国家統計局によると、人民元の対ドルレートを3〜5%切り上げると、中国の輸出の伸びは04年の34.5%から10%以下に鈍化するという。10%の切り上げなら外国投資や輸出が減少し、381万人分の雇用が失われるとの試算もある。改革に慎重な意見もあり、切り上げをするにせよ、できるだけ小幅に抑えたいのが本音だ。【北京・大谷麻由美】
◇雇用の危機 いらだつアメリカ
米国が中国に人民元改革を強く迫るのは、「安い中国製品の輸出攻勢で、米企業が打撃を受け、雇用が失われている」とのいら立ちが、頂点に達しているためだ。
今年1〜3月の米国の対中貿易赤字は420億ドル(約4兆4000億円)と赤字全体の4分の1を占め、国別では最大。衣類など繊維製品の中国からの輸入が急増し、米繊維業界は「今年だけで1万7000人の雇用が失われ、18工場が閉鎖された」と主張。対中セーフガード(緊急輸入制限)の発動を求める請願を米政府に提出している。
こうした業界の不満に、来年の中間選挙を控えた米議会が敏感に反応。「割安な人民元は不当な輸出補助金」という中国批判が噴出し、対中制裁関税を求める法案が先月上旬に上下両院に提出され、提出者のグラハム上院議員(共和党)らは7月末までに制裁法案を採決する方針を表明した。「中国は貿易で稼いだドルで、世界中から軍事技術を買い集めている」(ハンター下院軍事委員長)と、安全保障を絡めた中国脅威論も出ている。
米政府も中国への圧力を強めつつある。米中両政府は9日、ワシントンで人民元改革に関する定期協議を開いたが、米財務省報道官は協議後、「中国の金融市場整備などは着実に進展した」と強調。スノー財務長官も11日、「行動すべき時だ」と中国の決断を促した。
ただ、ノーベル経済学賞受賞者のスティグリッツ米コロンビア大教授らは、英フィナンシャル・タイムズ紙(米国版)に寄稿し、「中国が人民元を切り上げると、中国が輸入している原材料価格が下落する。米国向けの中国製品の価格は上がらず、米国の対中赤字も大きく減らない」と指摘した。しかし、こうした主張も、対中強硬論の前にかき消されがちだ。【ワシントン木村旬】
◇日本産業界は警戒感
人民元切り上げは、対ドルで5%程度の小幅なものとなり、その後は段階的に進む−−。これが為替市場の予想だが、その通りになれば「影響は少ない」(トヨタ自動車)と産業界は表向き冷静だ。しかし、中国がどのように為替自由化を進めるのか不透明な面が多く、中国当局の動きを警戒しながら見守っている。
人民元の切り上げや中国の為替自由化が日本企業にどう影響するかは、その企業の事業内容や、日本円への波及の仕方次第だ。人民元高・円安となれば、日本企業の対中輸出競争力が高まるため、日本から製品を輸出し、中国国内で販売する鉄鋼業界や工作機械メーカーなどは収益増が期待できる。また、中国の輸入購買力が上昇するため、中国で組み立てて販売する大手自動車メーカーなどは恩恵を受けそうだ。
逆に、割を食うのは原材料や部品などを現地調達し、中国で生産、日本など第三国へ輸出する企業だ。繊維製品メーカーや加工食品などの業種では、収益への打撃も予想される。
人民元切り上げが円高・ドル安を誘発すると、多くの日本企業にマイナスが及ぶ。3月の日銀調査によると、大企業・製造業の05年度の想定為替レートは1ドル=104円52銭。円相場が人民元とともに上昇し、この想定レートを上回れば、対米輸出への悪影響などが予想される。【竹川正記】
<人民元>
米ドル、ユーロ、円など、変動相場制の通貨と違い、人民元は対ドルレートを前日の水準から上下0.3%の範囲内に収めるという事実上の固定相場制となっている。建前上は94年から変動相場制に移行し、本来なら貿易黒字の拡大や高成長を反映して元高になるはず。しかし中国人民銀行が外国為替市場からドルを買って、元を売る介入を常に実施しているため、99年以降は1ドル=8.28元程度に保たれている。
ただ、人民元先物取引の代替市場(NDF=ノンデリバラブル・フォワード)では、相場が要人発言などに敏感に反応して動く。人民元切り上げを予測させるような発言があると元買いが活発化して、結果的に元はドルに対して値上がりし、同じアジアの通貨として円も連動する傾向がある。4月15日のスノー米財務長官の発言後の反応は、その典型例だった。
毎日新聞 2005年5月14日 2時07分
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kaigai/news/20050514k0000m020176000c.html
【ワヤクチャ】
これは中国へ資本投下している日本企業に対する圧力ではないのか?
反日デモといい思惑が見えそうだ。
スティグリッツの見方「中国が輸入している原材料が下落し、アメリカ向け製品の価格は上がらない。」というのはもっともだと思う。