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http://www.melma.com/mag/99/m00053999/ より抜粋
●敵の敵は味方か
「敵の敵は味方である」と言ったのは毛沢東か、鄧小平だったかわからないが、
謀略として通用しても一時の方便にすぎない。今の法輪功グループがそれにあ
たる。
法輪功は1992年に気功師・李洪志によって創られた、瞑想と動作で世界の真、
善、忍という美徳を促進するグループだが、94年に始まり、瞬く間に中国大陸
に広がって96年には数万人の学習グループとなったので、中国政府から危険視
され、1996年には法輪功の法的立場と出版を禁止した。これに対して一万人ほ
どが北京で抗議デモを行い、中国政府は1999年に全面禁止を決定した。創始者
は亡命して活動の拠点をニューヨークに移した。そのとき以来、法輪功は中国
共産党を倒すことに全力を尽くしている。
法輪功のメンバーはこの組織に政治性はないと主張しているが、中国共産党の
打倒は明らかな政治運動である。今では世界中で数百万の信者がいるというか
ら中国大陸で禁止しなかったら数年以内に太平天国の乱みたいな事件が起こる
可能性がある。
●法輪功と大紀元新聞
法輪功が政治性を持っていないと言うのはウソで、今では世界中に支部がたく
さんあって、大紀元新聞という新聞を発行して中国共産党、江沢民の告発を積
極的に行っている。この新聞は世界各国の言語で発行され、フリーで頒布され
ている。法輪功と大紀元の関係は明らかなのに双方ともその関係を確認した事
はない。また、聞くところによると大紀元新聞は世界中で毎日90万部も発行さ
れていて、使用されている言語も中国語だけでなく、世界各国の言語で発売さ
れていると言うのに、資金の來源がハッキリしない。
新聞の発行は読者を確保するだけでも大変で、無料で配布するとしても印刷、
新聞配達など決して安い仕事ではない。アメリカの台湾人新聞、台湾公論報は
創業して三十年近くなるが発行量はわずか数千部である。大紀元新聞が数年で
アメリカ国内だけでも数万部を印刷配布する新聞になったのはオドロキである。
新聞だけでなく大紀元にはウエブサイトもあり、内容を見れば政治、軍事、経
済、科学、文芸、なんでも内容豊富である。中国に邪教視されてわずか数年で
これだけの組織を作り上げたのは実に恐るべき行動力と資金力で、瞑想やヨガ
の学習だけでこのようなものが作れるはずがない。これで中国政府が恐怖と
警戒を覚える理由がわかるだろう。
●敵の敵は味方か
一ヶ月ほど前、サンデェイエゴに住む友人から電話があって、大紀元新聞が最
近「九評共産党（法輪功迫害から見る中国の人権侵害の実態シンポジュウム）」
と言う文章を発表し、それについてサンディエゴでも共産党批判の集会がある
ので、私に「台湾における中国人の制圧」について講演してもらいたいという
依頼があった。この友人は数年来、健康が優れなかったが、あるとき法輪功を
紹介され、気功の鍛錬と瞑想を続けているうちに健康を取り戻し、その後は熱
烈な法輪功信者となった。筆者はこれまで大紀元新聞が中国の簡体文字を使っ
ている事から単なる中国人の新聞だと思っていたが、友人の説明を聞いて始め
て法輪功の反共産党新聞とわかったのである。
しかし知らないグループから急な依頼をうけて、ほいほいと台湾問題で講演す
るわけにも行かない。筆者は法輪功の信者ではなく、グループに利用されるの
もいやだし、聴衆が中国人か、台湾人か、アメリカ人かもわからないので、や
はり断るしかなかった。
友人は「敵の敵は味方である。台湾人の敵は中国共産党、法輪功の敵も中国共
産党、だから力を併せて中国共産党の打倒に力を尽くせば台湾のためになる」
という。一理あるが疑問が残る。疑問とはは何だろうか？大紀元の記事を読ん
でみて、やがて答えが出た。
法輪功の敵は「中国共産党であるが中国ではない」。台湾人の敵は中国共産党で
もあるが本質は「大中華思想」である。
法輪功グループには二つの顔がある。一つの顔は「真善忍」を主旨とするヨガ
と瞑想の非政治グループで、殆どのメンバーは法輪功のおかげで信者となった。
もう一つの顔は大紀元メディアを使って中国共産党の弾圧を世界に宣伝し、共
産党の破滅を呼びかける政治運動である。海外メンバーの大部分は法輪功の信
者だが、弾圧を体験していない。すなわち彼らの反共思想は法輪功の「非政治」
ではなく「政治行動」である。
法輪功グループは共産党を敵としているが、中国を敵としているのではない。
つまり中国共産党が破滅すれば替りの新中国を支持すると思われる。その時に
なれば彼らは台湾統一を呼びかけるかもしれない。彼らは台湾が中国の一部で
あるという「大中華思想」から抜け出ていない。
敵の敵は味方である時期もある、だが本質は変わらない。法輪功が共産党と戦
う事は台湾にとって有益である、しかしそのあとどうなるか？法輪功が共産党
を滅したあと台湾独立を認めるとは限らない。
内部の敵は一時の味方かもしれない。しかし、陳水扁はいまでも「台湾人であ
るが、中国人でもある」と思っている。台湾人が中国人でもあるなら、征服さ
れても仕方がないと思う人が出てくる。両者は背反する矛盾した性質を持って
いるのである。陳水扁が「大中華思想」を捨てない限り矛盾した本質は変わら
ず、台湾人の敵となるのである。■
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ アンディ・チャンの本 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「フライディ・ランチクラブ」ISBN 4-88306-955-9 新風舎
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「台湾号加油」ISBN 957-8251-54-8 一橋出版社
「連宋之乱的真相」、前衛出版社
読者のご感想をお待ちしています。bunsho@cox.net まで
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題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。