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対北制裁 安保理付託へ日米協調 「6カ国」困難 月末にも手続き
日米両政府が、北朝鮮に対する経済制裁を国連安全保障理事会に付託する手続きを、五月末にも開始する方向で調整していることが四日、明らかになった。背景には、北朝鮮の核開発をめぐる六カ国協議の再開は難しいとの情勢認識があり、中国や韓国、ロシアと今後、安保理付託に関する協議を進め、北朝鮮を除く五カ国協議を開催する方針だ。
日米両政府は、谷内正太郎外務事務次官とヒル国務次官補が四月二十八日に外務省で会談し、六カ国協議の早期再開の必要性を確認する一方、北朝鮮が協議復帰に前向きに対応しない場合には、国連安保理への付託に向けた手続きに着手すべきだとの認識で一致した。
手続きを開始する時期については、六カ国協議が昨年六月以降、中断していることから、「一年が経過する六月が大きな節目となる」(日朝関係筋)。このため、協議再開を拒み続ける北朝鮮の姿勢に変化がない限り、「五月中に手続きを開始すべきだ」(外務省幹部)と判断した。
安保理への付託をめぐっては、ブッシュ米大統領が四月二十八日の記者会見で、六カ国協議を通じた解決を望むとしながらも、「経済制裁を議論する安保理に委ねる措置もある」と述べている。日本側でも、町村信孝外相が二月に行われたライス米国務長官との会談や、三月の李肇星中国外相との電話会談で、国連安保理への付託も選択肢となるとの考えを示している。
米国を除いた安保理常任理事国のうち「英、仏は付託に反対しない」(外務省幹部)とみられ、ロシアもロシュコフ駐日大使が四月十三日に開かれた日露友好議員連盟の総会で、六カ国協議での「問題解決は不可能だ」との認識を示している。残る中国は付託に否定的な見解を示し、六カ国協議に固執する姿勢を崩していない。しかし、二月に中国の王家瑞対外連絡部長が訪朝し金正日総書記と会談した際に、六カ国協議への復帰を求めたものの、北朝鮮側から前向きな対応を引き出せずにいるのが実情だ。
このため、日米両政府内には「中国の影響力にも限界があることが明らかになった。いたずらに中国の説得工作を待つべきではない」(外務省幹部)との判断が強まっている。
今月九日、モスクワで開かれる対ドイツ戦勝記念式典に際し行われる予定のブッシュ大統領と胡錦濤国家主席との米中首脳会談では、北朝鮮の核開発問題も話し合われるものとみられ、その結果は、安保理付託の動向に影響を与えそうだ。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/05iti001.htm