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日印首脳会談 アジア主導権争い
経済、人口に大きな潜在力
小泉純一郎首相とインドのシン首相は二十九日の首脳会談で、日本とインドが戦略的な結びつきを強めることで合意した。アジアの発展には、両大国の協力は欠かせないとの判断によるが、日本にとっては台頭著しい中国をけん制する狙いもある。アジアの巨象をめぐり日中間の激しい綱引きが始まっている。 (ニューデリーで、政治部・岩田仲弘=首相同行)
日本がインドとの関係強化に取り組むのは、インドが急速に経済成長し、国際社会でも発言力を強めているからだ。
インドの国内総生産(GDP)は、情報技術(IT)産業の発達などにより約六千億ドル(二〇〇三年度)と、アジアでは日中韓三カ国に次ぐ規模にまで拡大。米国家情報会議(NIC)が一月に出した報告書は「インドのGDPは二〇二〇年までに欧州に並ぶ」とまで予測している。
にもかかわらず、日本とインドの経済交流は高い水準にはない。日印の貿易額は約四十億ドル。これに対し、中印の貿易額は百億ドルを超え、中国に二倍以上の水をあけられている。このため、小泉首相は会談で、自由貿易協定(FTA)を視野に入れつつ、貿易額の「飛躍的増加」をシン首相に強く働き掛けた。
インドは安全保障面でも重要な国だ。インド沖は、中東と東アジアを結ぶシーレーン(海上交通路)。日印とも石油資源に乏しく、シーレーンは経済の生命線。特に日本の場合、インド洋からマラッカ海峡を通って運ばれる原油は、輸入量全体の八割を占める。両首脳は会談で、シーレーンを海賊や海上テロから守るため協力関係を強化することも合意した。
インドの「人口力」も日本にとって大きな魅力だ。国連の推計によると、現在約十億八千万人の人口は二〇三五年までに中国を抜き、世界最大になる見通し。インド自ら、国連安保理常任理事国入りを目指す根拠の一つに、巨大な人口規模を挙げている。経済成長と人口力により、インドは国際社会から「最注目株の一つ」に見られている。
日本政府には、悲願とする常任理事国入りや東アジア共同体構想の実現に向け、こうしたインドと手を組むことができれば、中国をけん制できるとの計算がある。
中国は日本の常任理事国入りに反対だ。東アジア共同体構想でも、日本と主導権争いを演じるのは確実だ。「日本とインドの戦略関係を日米同盟と同じレベルまで高めたい」(外務省筋)との声さえ政府からは出ている。
とはいえ、日本の思惑通りに進むとは限らない。中国もインドに急接近し、戦略的な協力関係を築こうとしているからだ。
中国の温家宝首相は今月、インドを公式訪問し、半世紀にわたる国境問題で幕引きを図ることでシン首相と合意した。
中国はインドの常任理事国入りに「理解と支持」を表明。インドは日本など三カ国と協力して常任理事国入りを目指しており、日本とインドにくさびを打ち込む「分断作戦」との見方もある。
そのインドは、自らの常任理事国入りに、現常任理事国の中国の支持は大きな力となるだけに歓迎。事実上、日本と中国を両天秤(てんびん)にかけている。
日中のどちらが「アジア新時代」の主導権を握るのか−。インドと強固な協力関係を築けるかどうかも大きなカギだ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050430/mng_____kakushin000.shtml