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(引用者注……現代コリア2005年5月号でついに佐藤勝巳が以下のような批判に打って出ました。ただし,「なぜ語ることができないでいるか」については,蓮池透氏の著書『奪還 第2章』にかなり語られていますね。佐藤勝巳は同書を読んでいないのか。あるいは読んだ上で言っているのか。さらに,蓮池透氏は次投稿で引用するように家族会の方針と対立して,事務局長を辞めると言っているようです。明日「国民大集会」が開かれるそうですが,これはかなり爆弾発言が出てくるんじゃないかなという雲行きですね)
帰国した五人はなぜ黙して語らないのか
佐藤勝巳(現代コリア研究所所長)
現代コリア2005年5月号
三月二七日夕方七時、NHKは、横田めぐみさんの夫とされる人物は「キム・チョルジュンという名前ではない」、「夫婦仲が悪くなって別居していた」という話を拉致被害者の蓮池薫氏と祐木子さんが昨年横田家に語っていた、と報道した。
私は、このニュースを山口・宇部空港のロビーのテレビで知った。これに関連して思い出したのは、昨年五月拉致被害者五人の家族八人が日本に帰国してから、今日まで続いている疑問である。子供たちが日本に帰ってきたのに、拉致被害者五人は、死亡とされている人たちに関する情報を始め、彼らが北朝鮮でどんな職業に就き、どんな住宅に住み、何を食べ何を考えて生活してきたのか、全くと言ってよいほど語っていない。
変だと思っているのは私一人ではなく、拉致救出に関係している政府・民間人を問わず、すべての関係者が持っている疑問である。見ず知らずの国民からも、いたるところで「なぜ」という質問をされている。
そして署名やカンパをしてくれた多くの国民も、「被害者五人はなぜ黙して語ろうとしないのか」と不思議に思っている。
確かに金正日政権に拉致された他の日本人のことを知っていても、語ろうが語るまいが本人の自由である。また、北朝鮮でどんな生活をしていたかなどを、これまた語ろうが語るまいが本人たちの自由である。
同時に日本には、北朝鮮と違って語らない理由を糾す自由がある。もっとはっきり言えば、帰国してきた五人は、まだ帰国していない沢山の拉致被害者救出に手を貸す意志があるのかないのか、を間う自由があるところだ。
拉致救出に制裁と同じ位の威力を発揮するのは、五人が金正日政権にどのような扱いを受けたかを、ありのまま報道関係者に公表することだ。
もし、一部でささやかれているように「金正日政権に脅されている」のであれば、このことを率直に国民に訴えてほしい。そうであれば国民と政府は、総力を挙げて五人の安全を守るであろう。そして金正日テロ政権に対して、断固制裁発動すべきだ。
(略)
いずれにしても、この状況下で五人が自分たちの受けた被害を喋らないことは、客観的には金正日政権を擁護し、日本の国益を害していることになる。
関係者の多くは、私と似た考えをしているが、誰も面と向かって口にしない。理由は「拉致被害者の気持ちが分かるのか」と言われたら、つまり「この葵の御紋が見えないか、控えおれ」と言われたら返す言葉がないから、何も言わないのだ。
私は過去、「民族差別反対運動」に携わった経験があり、これと同じ場面に何度か直面した。被害者も被差別者も人間であるから間違いは避けられない。なのに「被害者」を理由に誤りの指摘を避ける。すると必ず運動は国民の支持を失って駄目になってゆく。
(略)
更にわれわれも、帰国してきた五人に対してはっきりとものを言うべきである。日本的「思いやり」や「調和と配慮」は、事実上救出を放棄する地獄への道に他ならないのである。
われわれは、政府に対して「金正日政権に言うべきことを毅然として言え」と主張してきたが、これは、仲間に対しても当てはまることで、暖昧さや綺麗ごとではテロ政権には勝てないことを、早急に関係者の共通認識とすべきであろう。