★阿修羅♪ > アジア1 > 1004.html ★阿修羅♪ |
Tweet |
【国際面】2005年06月16日(木曜日)付
フィリピンのアロヨ大統領、苦境 相次ぐ疑惑、支持率最低
マニラ首都圏ケソン市の下院近くで15日、アロヨ大統領の辞任を求め、気勢を上げる人たち=AP
【マニラ=秦忠弘】フィリピンでアロヨ大統領をめぐる疑惑が浮上し、昨年5月の大統領選で続投を決めた後、最も厳しい局面に立たされている。国内の新聞やテレビは連日のように、トップニュースで疑惑をめぐる動きを取り上げ、支持率は過去最低に。軍のクーデターによる政権転覆のうわさも流れている。
主な疑惑は、アロヨ氏が昨年の大統領選で開票の不正操作を指示したのではないかというものと、大統領の家族が違法とばくの関係者から裏金をもらっていたとされるもの。
大統領選の投票直後にアロヨ氏が「(ミンダナオ島の)マギンダナオ州の書類は矛盾がないようにしなければならない」などと、開票経過について携帯電話で関係者と話した内容が盗聴され、録音されていたという。大統領府が6日、「電話が盗聴されていた」と記者会見で発表した。
この会見は、野党側が開票の不正操作に関する盗聴記録を公表するとの情報を受け、機先を制して行われた。
ところが、盗聴方法や盗聴された会話の内容などはいまだにはっきりせず、謎は深まるばかり。野党側は大統領選直後から「不正が行われた」と主張していただけに、勢いづいている。
もう一つの疑惑はフエテンと呼ばれる違法とばくにかかわる。フエテンは1から37までの数字から二つを選んで当てるフィリピン特有のとばくで、庶民に人気がある。5月19日付の英字紙「インクワイアラー」がフエテンの元関係者らの証言として「大統領の夫と息子に上納金がわたっている」と報道、議会も調査を始めた。今月9日に上院で開かれた聴聞会では、昨年12月に大統領の長男ファン・ミゲル・アロヨ下院議員に50万ペソ(約100万円)が渡されたという証言が出た。
有力な民間調査機関「社会情勢研究所(SWS)」が5月14日から23日にかけて行った世論調査によると、アロヨ大統領の支持率は前回(2月25日〜3月10日実施)に比べ10ポイント減の26%まで落ち込んだ。不支持率は前回より11ポイント増の59%に悪化。支持率は、大統領の続投が決まった後の昨年6月に記録した最高57%の半分を切ってしまった。
今月11日には教会関係者や野党指導者ら約2千人がマニラで大統領辞任を求める抗議活動を行った。「軍内部でクーデター計画が進んでいる」との情報も13日、朝日新聞マニラ支局に寄せられた。
野党側にアロヨ氏に代わりうる人物が見あたらず、抗議活動の庶民への広がりも勢いに欠けるが、「新興宗教団体などがデモに人を動員し、大きな大衆行動に移る可能性はある」(地元記者)という。
http://www.asahi.com/paper/international.html