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香田さんがイラクで殺害されてから、昨日4月30日で丁度「約半年」が経過した。
恐らく彼は昨年の10月29日又は30日に殺害されたのであろう。
彼が拉致された10月27日から「半年」が経過した4月27日に、
週刊新潮がこの事件に関する記事を掲載したのである。
恐らく、週刊新潮は「半年経過」を知っていて掲載したのであろう。
この記事で書かれていることについては、米軍の話、外務省の話、警察庁の話とされるものについて不自然さが目立つのである。
その事について書いてゆこう。
今年の1月下旬に犯人と疑われる三人のイラク人が逮捕されていて、イラク米軍から日本外務省に報告がもたらされたとの事である。
2月中旬にイラク米軍から外務省に「要員を派遣するならブッチャー(通称)の尋問を許可しても良い」との連絡があった。
外務省はただちに警察庁に報告した。
警察庁の幹部の話として「相手方が言うには、尋問は許可するが、バグダッド空港と刑務所(アブグレイブ)の往復に際しての安全確保は、日本側で行なってほしいというのです。日本から要員を派遣したものの、途中でテロリストに襲撃されて犠牲者が出るような事態になったら大変な事になる。後略」との事である。
外務省と検察庁の幹部は協議して、バグダッドの日本大使館に「要員の安全が確保できるかどうか、治安状況を尋ねる公電を打った」。
日本大使館からの回答は、安全を確保することは不可能であるというものであった。
「大使館員はほとんど館内にいて、いまだに外出もままなりません」との別の外務省幹部の話であるとの事である。
記事の要点を以上に取り出したのだが、記事は後の方で、次のように書いている。
「香田さん拉致の経緯など、いまだ判明していない事実は多数ある。その真相解明の機会を、官僚たちは我が身の安全上の理由から、みすみす見送ってしまったのである。
だが、さらに問題がある。外務省や警察庁は、こうした一連の動きを隠蔽した。遺族でさえも、実行犯の逮捕は知らされていなかったのだ。」
この記事では、「真犯人達はあげられて事件は概ね解決した」と取れるような書き方をしている。
記事について詳しく知りたい人は買い求められれば宜しいだろう。
私が思うところの「不自然さ」は下記の通りである。
1.通称ブッチャーをはじめとする三人は、その後も取り調べが行なわれたであろうから?、「真犯人?」か否かが明らかになっているかもしれないし、取調べは継続中かもしれない。しかし、イラク米軍からはその事についての連絡が日本になされたとの報道は無い。これは不自然ではないか。もう、二ヶ月も経つのにである。彼らは犯人では無かった可能性があるのだ。
2.最も「不自然」に思えるのは、2月中旬の米軍からの連絡であり、「安全確保は日本側で行なって欲しい」と言うものである。戦闘に参加していない(公式には)同盟国の民間人が虐殺された大事件について米軍が何の便宜もはからないということは不自然である。香田さんは兵士ではない。戦死ではないのである。一国の主権に関わる問題である。日本政府の対応にも問題はあるが、米軍側の不誠実が目立つ。ズサンな対応なのである。日本側には「要員の安全確保」を整備する余裕と力等は持ち合わせていない。そんな事は米軍も米国政府も解かっている筈の事である。
3.通称ブッチャーらの三人が真犯人であるとの確証が得られれば、米国政府は日本政府に対し、その事を「通告」して来る筈である。全くそんな情報は無い。
この事は重要な事なのだ。香田さんの事件は全く解決していないのである。
4.週刊新潮の意図は知らないけれども、「犯人らしき者達が逮捕されていた。しかし、日本の外務省と警察庁はその事を隠していた。」との調子の書き方では、次のような思いを持つ人達が出てきても不思議ではない。
「犯人達はあげられて解決したんだ。日本の官僚は自己保身に走ってその様な大切な事を隠していた。けしからん。それにしてもイラクの連中は残酷なテロリストでけしからんな」。事件が半年経過して忘れ去られてゆけば良いと思い、その事を歓迎し喜ぶ連中は居るはずだ。
5.警察庁は警備担当の要員を派遣しなかったが、「それはけしからん。自衛隊員を戦闘要員として派遣しておけば、問題は無いのだ」との考えを持つ人も出てくるかもしれない。
しかし、外務省と検察庁の味方をするつもりで書くのではないが、
彼らが、積極的に動かなかったのは、身の安全を図る事を第一に考えて他のことを捨て去ったのではなく、慎重な対応をしたとも考えられ、彼らなりにではあるがそれなりの対応をしたとも言えよう。
記事によれば、外務省は3月上旬に「要員は派遣できない」と正式に回答した、との事である。米軍側とのその後の協議を期待したとも考えられる。その後、イラク米軍からも米国政府からも「真犯人について判った。」とか「逮捕者の三人を真犯人と断定した。」とかの連絡も入らないのであるから、香田さんの遺族に対して、不確かな事を一々報告していたのでは、遺族の心を痛めつけるだけではないか。
果たして、香田さんのパスポートは遺族又は日本政府に返されているのであろうか?
米軍がファルージャで見つけたというものである。実行犯達がそんなものをわざわざ残して逃亡する事は不自然極まりないのであり、この発見は抵抗勢力の仕業を装っての米軍をはじめとする者達の仕業の疑いを濃くさせる出来事であった。
正月の「文芸春秋」に「香田さん斬首実行犯 衝撃の告白」と題しての記事が載せられていた。正月に買い求めた時には私はこの記事を重要視せず、詳しくは読まなかったのだが、今回には読み直してみた。なかなかのレポートであった。皆さんは図書館などで読まれると良いだろう。
この中で犯人と名乗っている人物の発言に注目すべきものがある。
「香田のパスポートなど、証拠のすべてはファルージャに送ってある」
このインタビューが行なわれたのは、米軍がファルージャに総攻撃をかける直前の事である。そして、攻撃後の混乱の中で、パスポートや抵抗勢力のパソコンなんかの証拠品が見つかったのであるから、出来すぎではないか。尤も、力を見せ付ける為に残していったと考える事も出来ようが、それは危険性が高いことであるのが常識であろう。
仲介に当たったA氏の発言も重要だ。引用をしておこう。
コーランを引用して得々と話すXだが、A氏によると、Xの唱える文句の後者は、コーランそのものではないという。 A氏は、「信心深いイスラム教徒はコーランを丸暗記しているものだ。やつらは、だれよりも深く信奉していると言いながら、誰もが知っている文句でさえ、正しく暗唱できない」と、吐き捨てるように言った。
『誰もが知っている文句でさえ、正しく暗唱出来ない』とは!? そして、吐き捨てるように言った、とは?
ザルカウィー自身は果たして本当の抵抗勢力の人物なのか? 彼は造り上げられたところの「実は破壊工作者」ではないのか。
又は、彼は傘下には抵抗勢力も破壊工作勢力も居て、夫々がザルカウィー組織を名乗って行動しているのではないのか。
何れにせよ今や「有名ブランド」であり、どちら側の仕業であるかについては、その都度、その仕業がどちらの側に打撃を与えたものであるかによって推し量る他は無いであろう。
香田さんが拉致、殺害された時は、日本では中越地震の直後であった。イラクでは12月の選挙に向って準備が始まっていて米軍は手を引き始めていた。何カ国かも撤退への動きを見せていた。日本は地震からの復興を理由にイラクから漸次の撤退を米国に申し入れる事の出来る情勢のもとにあった。有利な情勢下にあったのである。
しかし、頑なな小泉は「派遣継続」を香田さん拉致の直後に公言した。
その後、年末から米軍再編問題が始まった。自衛隊の戦闘部隊としての海外派兵に道を開く「憲法改悪」の動きもますます活発化し、それに反対する活動も活発化してきた情勢下においてイラクでの「犯人らしき者達の逮捕」が連絡されてきたのである。
その後はおさまっているのであるが。
今後、この問題は必ず尾を引いてくるから、今はしっかりと注目しておかねばならない。
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