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『SAPIO』2005.01.19/02.02号
【対論】槐 「反日」「反中」を超えて── 決定版「靖國大論争」
小林よしのり VS 趙宏偉
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【PROFlLE】
小林よしのり
1953年生まれ。本誌にて『新・ゴーマニズム宣言』を強力連載中。「新ゴー宣スペシャル」として出版した『台湾論』『戦争論』が大ベストセラーに。季刊誌『わしズム』の編集長も務める。現在『新・ゴーマニズム宣言』第14巻「勝者の余裕」が好評発売中。
趙宏偉
1954年生まれ。中国・遼寧省出身。1986年に東京大学大学院に留学し博士号取得。現在、法政夫学キャリアデザイン学部教授。専門は中国政治と東アジア国際関係。著書に『膨張する中国、呑み込まれる日本』、訳書に『胡錦涛』など多数。
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小泉首相に胡錦濤中国国家主席は、こう迫った。
「日中間の障害は、日本の指導者が靖國神社を参拝していることだ。歴史は避けて通れない。適切に処理して欲しい。来年は反ファシスト勝利60年の敏感な年だ」（2004年11月21日の日中首脳会談）
異例の靖國参拝中止要求に「誠意を持って受け止める」というにとどまった小泉首相の言葉の軽さはさておき、戦後60年の総決算の焦点は、「靖國」に極まれり、と言っていいだろう。
日中首脳会談では平行線に終わった「靖國問題」の本質を、小林よしのり氏と中国人政治学者・趙宏偉法政大学教授が激論バトルした。
*
小林 今、日本の保守論壇が必要以上に反中意識を高めていて、例えば東アジア共同体をつくるという構想があっても、米国が参加しないのに日本がその中に入る必要なんかないと言う人間もいる。わしはそういう論調には与したくない。中国を仮想敵国にして反中意識を高めていったら、日本は米国に組み込まれていくばかり。
だからわしは、なんとかして中国と上手くやる方法はないかと考えているんだけど、どうしても中国は靖國問題や潜水艦の領海侵犯とかで日本を挑発してくる。こういう構図をつくり出して中国に何の得があるの？
趙 日本では中国が靖國問題を外交カードにして中国に利していると言われますけど、実際のところ、日本の極右勢力が靖國問題を外交カードにして日中友好を阻んでいます。胡錦濤は靖國問題は日中関係の障害だと言っていますが、それにはちょっとした経緯があるんですよ。
靖國参拝はいつから問題化したか？
小林 どういう経緯？
趙 85年に中曽根首相が公式参拝をして初めて日中間で問題になった。なぜかといえば、その前の83年に胡耀邦総書記が訪日して、昭和天皇の訪中を招請した（*1…1983年3月に日本を訪れた胡耀邦総書記は昭和天皇の訪中を招請したが、この時は結局実現しなかった。天皇陛下の初訪中は今上天皇の1992年）。その雰囲気作りのために日本の若者3000人を招待することも決めて、実際に84年に中国に呼んだ。当時の接待の責任者が胡錦濤（当時、共青団中央書記処書記）です。ところが日本では教科書問題（*2…1982年、高校の社会科教科書の検定で中国への「侵略」を「進出」に書き換えさせたとの朝日新聞ほかの報道によって、日本と中国・韓国で問題となったが、これは誤報だった）、中曽根の靖國神社公式参拝が起き、中国から見ると、日中友好の雰囲気をわざとつぶしたという不信感がある。中曽根にだまされた。日本が靖國を外交カードに使って、中国との距離を保とうとしたんだと。
小林 日本がそう考えたというの？
趙 これは中国側の見方です。昭和天皇を迎えようとしているのをつぶされた経緯もあって、87年に胡耀邦総書記が失脚した。
小林 でもあのときは、胡耀邦が非常にまずい立場に立ったから、中曽根は自分とすごく親しい胡耀邦を守るために翌年から靖國を参拝しない決断をしたんだよ。
でも、もともと靖國参拝に対して、中国も韓国も何も文句を言ってなかった。歴代首相の岸信介、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄も首相在任中に「公人」として参拝している。私的か公的かが問題になったのは、三木首相以降で、75年に「私的参拝」ということにしてしまった。
趙 それ以前は、私的参拝じゃない？
小林 そう。
趙 昭和天皇も何回も参拝されていますが、その時はA級戦犯をまだ祀っていなかったのでは？昭和天皇の最後の参拝は75年です。
小林 78年に「A級戦犯合祀」がなされて、それ以降も大平正芳3回、鈴木善幸8回、中曽根康弘が9回参拝している。中曽根は85年の10回目で問題になった。
中曽根が公式参拝すると発言して、日本国内で朝日新聞とか左翼マスコミがものすごく騒ぎはじめた。だからわしはむしろ、日中関係を悪くしたのは朝日新聞や日本の左翼運動家なんじゃないかと思う。戦後すぐの頃は、社会党までが靖國に参拝すべきだと言っていたのにね。
趙 それまでの首相の参拝に関しては、中国側は話題にしなかった感がある。田中、福田、大平は日中関係に尽力しているから、彼らの場合は個人の心情だろう。でも中曽根さんに対しては、タカ派ということで不信感があった。
韓国との違いになぜ中国はこだわるのか？
小林 その不信感というのがまた問題なわけよ。日本の中でいくらタカ派が出てきたって、中国に侵略戦争をもう1回仕掛けようなんていうのはいないでしょう。
趙 それはそうです。でも、中曽根が85年の8月15日に参拝したときは日中関係が悪くなって、中国国内では年末に北京大学の学生が反日デモをやりました。実はそれが89年天安門事件の始まりだった。彼らの目的は民主化を求めることだったんですが、ストレートに政府に口を出すのはまだ難しいということで、反日というスローガンでやったんです。
小林 そのへんからいわゆる「指桑罵槐（しそうばかい）」、桑を指して槐（えんじゅ）をののしるという手法を中国の民衆がとってくるわけじゃない。独裁政権で言論の自由がないから、反日を掲げて政府を困らせる。共産党政権は日本に対して強硬に出ないと反政府運動が起こってしまうから、日本に強硬な物腰で出てくる。反日教育もどんどん過度にしていく。今年、中国では60本くらい抗日映画をつくるらしいし、南京大虐殺記念館を拡張するプランまであるらしい。そうやってどんどん反日教育して反日中国人を育てている。
趙 でも、その後は日中関係のいい時期もあったんです。天安門事件後は、先進国は中国に経済制裁をしましたが、日本の海部首相がいち早く経済制裁を解除した。中国は日本に感謝したわけです。92年には今上天皇の訪中が実現し、テレビを通してご夫妻の素晴らしい人格が伝わって、上海では10何万人の民衆が自発的に並んで手を振った。だから92年、93年はよかったんです。ところが終戦50周年にあたる95年前後から閣僚の暴言や教科書問題（*3…1996年に創設された「新しい歴史教科書をつくる会」が主導してつくった教科書が、2001年に検定合格し、中学校の社会科（歴史・公民）教科書として登場した。当初、小林よしのり氏も参加したものの9・11テロ以降「思想が語れない」場所と化したとして「つくる会」を自ら去った）がまたも巻き起こって、江沢民が不信感を抱いて、抗日宣伝を大規模にやった。
小林 あ、それはわしと「つくる会」がやったやつだ（笑）。
趙 だから、胡錦濤はその二の舞いを警戒して、今年の60周年に向けて靖國参拝は避けてほしいと一生懸命言っている。やっぱり日本と仲良くしたいからなんですよ。
小林 日本と仲良くしたいというのだったら、どうして中国は「おわび」にこだわるの。趙さんの『お笑い日中戦闘宣言』という本には「おわび」を文書化していないと書いてあるけど、日中共同宣言の中にも過去に対する「おわび」がちゃんと書いてあるよ。「過去の一時期の中国への侵略によって、中国国民に多大な災難と損害を与えた責任を痛感し、これに対し深い反省を表明した」って。これは日本人にしてみれば最大級の「おわび」ですよ。
趙 反省という言葉はありますね。でも、「おわび」はない。中国が98年の江沢民訪日で求めたのは「おわび」という言葉でした。最初9月に訪日が決まっていたときは、「おわび」という言葉を日中共同宣言には書かないことで了解していた。ところが揚子江の水害で訪日が延び、10月に韓国の金大中大統領が訪日した時には「おわび」という言葉が入っていた。だから江沢民が11月に訪日するときにも「おわび」と書いてくれと。ずっと喧嘩して、結局、書かなかった。そこで江沢民は侮辱されたと思ったわけです。
韓国併合は、国際連盟が認めたから当時、国際法違反ではなかった。でも、中国を侵略したのは全くの違法だった。国際法違反の意味で韓国には「おわび」しなくていいけど、中国には「おわび」しなければならない。それなのに金大中には「おわび」して、自分には「おわび」しないから怒ったわけ。
小林 今、少し心が揺れたね（笑）。
韓国併合は、当時韓国最大の政治団体だった一進会も賛成したし、国際的に見ても合法だった。でも、中国に関しては侵略性が一切なかったかといえば、そうじゃない面もある。通州事件（*4…1937年、北京東方の通州で中国保安隊によって日本の民間人264名が殺害された事件）とか起こされているから、仕方がない部分ではあるんだけどね。韓国よりも、中国に対して謝らなければならないという理屈はありうるな。でも、その3文字にこだわるのも大中国の指導者がみみっちくない？
趙 それは中国指導者が日本と仲良くしたくて障害を取り除こうとしているからです。だけど、つまるところは「おわび」の3文字よりも「A級戦犯」の4文字です。
「A級戦犯の戦争責任」は果たして問えるのか？
小林 A級戦犯の問題は、東京裁判そのものが米国の占領下で、勝者が敗者を裁くという国際法上違反した裁判なわけよね。戦争が終結するのは1951年9月にサンフランシスコ講和条約を結んだときだから、東京裁判はまだ戦争中だった。だから東条英機以下のA級戦犯という人たちも、戦死者ということで平等に扱っている。しかも、ものすごく勘違いされてるのは、日本で東条英機とかがファシズム体制をつくっていたと世界で思い込まれている。ドイツやイタリアと同じだと。
趙 それはあります。
小林 まず、それは違ってる。議会制度は維持されていたし政権交代もあったんだから。それに東条英機が首相になったのだって、米国との戦争を避けるためだからね。ところが米国は最初から戦争をやるつもりだったから、どの案も認めずにハル・ノートを突きつけてきて、開戦になってしまった（*5…1941年の日米開戦の直前、アメリカのハル国務長官が日本の野村吉三郎大使に突きつけた最後通牒で、日本が到底のめないような中国大陸からの全面撤退を含む強硬な案だった）。東京裁判の中で唯一の国際法の専門家だったパール判事が、この裁判は無効で「被告人全員無罪」の判決をだしている。
趙 でも、国際社会はそうは思っていない。勘違いだとしても、それは現実なんです。サンフランシスコ講和条約の第11条にもありますよね、東京裁判の結果を受諾すると……。
小林 それも間違いなわけ。降伏文書のポツダム宣言でも「The following are our
terms（吾等の条件は左の如し）」といって降伏条件を書いているから有条件降伏。日本は無条件降伏じゃないの。なおかつ第11条に書いてある「Japan accepts the judgments」は「judgments」と複数形に
なっているから諸判決を受け入れるという文面で、裁判を認めるという意味では全然ないんだよ。
趙 日本政府は実行すると約束し、そして実行した。日本政府も彼らを戦争犯罪人と認めているからでしょう。日本政府の立場は今でも彼らは戦争犯罪人です。公に言っていることとやっていることが全然違う。これが国際社会では不信を招くんです。
もう一つ、当時の経緯として、天皇には戦争責任はないということになった。じゃあ誰に責任をとってもらうかというときに、日本を含めての合意でA級戦犯だということになった。当時日本政府は連合国に感謝の気持ちだったのです。A級戦犯に責任をとらせて、天皇を守った。
小林 だけど、占領下の東京裁判そのものが国際法に違反してるんだもん。なおかつ国際法上の慣習のアムネスティ条項では、平和（講和）条約が発効して、国家間の戦争状態が終われば、敵国による戦犯裁判の判決は効力を失い、服役中の戦犯は釈放される。これが国際法なのよ。
趙 じゃあ、A級戦犯でなかったら、責任は誰にあるんですか。日本人はアジアを解放するためだった、欧米鬼畜を追い出すためだという。当時は確かにそういう気持ちを持って戦場に行った人、たくさんいると思います。その心情はわかります。しかし、悪法も法。
日本が戦争をやり始めたことは、当時の国際法違反だったんです。
小林 国際法というのは、基本的に近代国民国家を前提にしているわけよ。その意味でわしは正式な中国というのは、中華人民共和国ができてからだと思う。当時のシナは軍閥が割拠していて、国民国家じゃない。国民国家がないところに出ていくことが、国際法上の侵略の定義に当たるのかという問題になる。
趙 いや、1928年に蒋介石（国民党）によって統一、中華民国ができている。
小林 違うでしょ。じゃ、なんで毛沢東（共産党）がいるんですか。
趙 当時、日本は国際連盟で常任理事国でした。中国は常任理事国じゃなかった。ところが日本が1931年に満州事変を起こし、国際連盟で満州撤退勧告案が採決されると、日本はそれを蹴って国際連盟を脱退しちゃった。「締約国は戦争に訴えざるの義務を受諾し」という国際連盟の憲章は日本の憲法9条と同じで、厳しかった。それに照らしてみれば、日本は裁かれるのはしょうがない。
小林 それは解釈の違いになってしまう。今だって、イラク戦争は国連決議に基づいて行なわれたというやつもいるし、国連決議無視だというやつもいる。戦争責任といった場合、戦争を起こしたこと自体に責任があると言っているのか、戦争の中で発生したいろいろな事件、犯罪をいうのか。
趙 中国がA級戦犯にこだわっているのは、A級戦犯は戦争を発動したからです。戦争を起こしたことにおいて責任のある人間です。
小林 戦争を発動したことに責任があると言ったら、中国がベトナムを侵略したときの戦争責任者はちゃんと処刑されてる？（*6…1979年、ベトナムのカンボジア侵攻に対する「懲罰」（鄧小平）として、中国軍がベトナムに侵攻、双方に数万人規模の犠牲者を出した）カンボジアだって、中国がポル・ポトに支援したのはとてつもない犯罪だよ。チベットの虐殺はどうなるの。台湾に対してだって、武力で脅してるじゃない。
中国経済のバブルがはじけたら、国内の不満をそらすために、今度は台湾侵攻を考えたりする危倶はないの？
趙 あります。
小林 あるの！？あっちゃいけないよ。その辺を軽く言えるのが中国的だなあ。
日中の間で「戦略的な取引」は可能か？
趙 中国経済は2008年の北京五輪、201O年の上海万博までは保つんじゃないですか。ただ、201O年以降は景気対策が必要で、それによってブッシュのイラク戦争のように胡錦濤の台湾戦争もありえます。
小林 あなたはそれに賛成するの？個人として。
趙 個人としては、平和的なやり方で統一できればと思っているんですよ。
小林 台湾の人たちの意思にまかすという度量はないの？武力を背景にして脅かしながら、独立するなら侵略するぞっていうような国が、60年前の戦争責任にこだわるのはおかしいよ。日本はA級戦犯も、BC級戦犯もあわせて1068人も処刑された。人身御供を差し出したんだ。もう十分責任をとったでしょう。
趙 東条は悪い人だったとしても、死んだらよいも悪いもない。これは確かに日本の文化です。だけど靖國神社は独特の文化で、官軍しか入らないし、けっこう条件が厳しくて、戦死者、戦病死に限る。それに照らせばA級戦犯は入らないはずです。
小林 そこはさっき言ったじゃない。東京裁判も戦争中だという意味で、戦争受難者ということになっている。
趙 戦死とみなすという話になってるんですね。じゃあ、誰がみなしたんですか。
小林 国民全部だよ。
趙 いえ、これは厚生省なんですね。
小林 A級戦犯を祭神として合祀する資格があると通知した。1966年にね。だけど、そのとき4000万人の署名が集まった。その世論に逆らえなくなって厚生省が合祀の判断をしたんだと思うよ。無謀な裁判で処刑されちゃったから戦死者だという判断を、日本人の感情としてはしているわけだ。
趙 でも厚生省が認定するというのは国家行為ですよ。それに靖國文化に反するし、当時の徳川宮司は1978年死去までA級戦犯を合祀しなかったわけです。
小林 どうして今さらそこまで感情的な嫌悪感にならないかんの。靖國神社に骨か何かがあるとか思ってる？骨、ないよ。
趙 それは北京の人たち（共産党幹部など）にはわからないと思います。
小林 位牌もないし、骨もないんだよ。
趙 名簿だけです。
小林 ああ、せいぜい名簿くらい。本来、中国共産党政権からいえば、ある意味、霊魂なんか信じてもいないわけでしょう。だったら、靖國参拝でA級戦犯が祀られていようと、勝手に行けばいいじゃないかと。そんなところに霊魂なんかいやしないよと思えばいいんじゃないの？
趙 靖國神社のことは、中国の指導者も中国人民も細かいことは知らない。ただ、これまでの経緯から、この障害を取り除かないとこれからの日中がよくならない。
小林 だけど分祀してくれっていっても、できるわけない。憲法上もできないし。
趙 私はやり方しだいですごく簡単だと思いますよ。
小林 どういうふうに？
趙 厚生省が認定したんだから、認定取り消しをやればいい。戦死者じゃない人を全部認定取り消し。A級戦犯たちも自然に取り消されるじゃないですか。
小林 それはおかしいわけよ～。厚生省は何？神様より偉いの？
趙 だって、厚生省が認定して神様になったわけだから。
小林 でも、もう認定してしまった神様になっとるから。神様はもう厚生省より偉い。
趙 認定取り消しは神様取り消しではない。ほかの神社で神様になれます。乃木神社（*7…日露戦争で第3軍司令富などを務めた乃木希典将軍を祀った神社。東京・赤坂にある）のように東条神社でも作ればいい。それから、天皇は毎年靖國を参拝する。国民も盛り上がりますよ。
小林 天皇が？
趙 天皇は75年の参拝が最後で、78年にA級戦犯が祀られてからは参拝していないでしょう。A級戦犯が分祀されれば、政治色は全部なくなるから、天皇は毎年参拝できるようになるよ。
小林 天皇の参拝まで認めるのに、A級戦犯だけがどうしてそれほどのどに突っかかってるわけ？不思議だね。
趙 でも、この案しかないでしょう！でないと、これから総理大臣が代わるたびに、また問題が起こるでしょう。
小林 だから、その提案は不可能なんだって！ここに恐るべき宗教心の溝があるんだよね。神様に対する感覚の差が……。
じゃあ、参拝をやめたら、もう北朝鮮を擁護するのをやめてくれるの？北朝鮮に通じる石油パイプを止めて、崩壊させてくれる？
趙 当分、「兄弟」の面倒を見つづけてくれと韓国に頼まれているんです。「同胞」が崩壊したら困る、と。中国だって自分のすぐ脇に何をやるかわからない隣人がいるのは脅威です。実際には米国と韓国が消極的です。
小林 韓国はおかしい。同胞というならば北朝鮮で何百万人が餓死している現状をどうみるんだ。
米国についていえば、確かに北朝鮮が存在していれば、ミサイル防衛システムを買わせることもできるからね。今、日本が本土も全部米軍の基地になるような勢いできてるけど、それも中国にとってまずいことだと思うなら、北朝鮮の脅威くらい中国が取り除けばいいじゃない。そういう契約できないの？靖國参拝はやめるから、そのかわり中国は北朝鮮の脅威を取り除く。
趙 できるんじゃないですか。
小林 わしは靖國参拝をやめてでも、北朝鮮の脅威を取り除き、なおかつ400人以上いる拉致被害者をみんな取り返すことのほうが重要だと思う。どうせ、小泉はもう中韓に屈してる。正月に参拝したりして絶対8月15日にいかない。小泉の靖國参拝は日本の保守派対策、猫だましにすぎない。
趙 いい考えじゃないですか。私、賛成ですよ。日中、東アジアがどうやって一緒にやっていくか。いい言葉で「戦略的な相談」、多少悪い言葉で「戦略的取引」。これはとても必要だと思います。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。