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中国反日デモ:
欧米メディアの評価、論調
中国各地で起きた反日デモで、日中両国関係が緊張している。欧米のメディアはアジア2大国の対立をどう評価しているのか。米英仏独メディアの論調をまとめた。
◇アジアで日本が孤立の可能性…米ニューヨーク・タイムズ
【ワシントン笠原敏彦】米メディアは日本と中韓の関係悪化に関して、自己主張を強める日本像や、日本と中韓の関係悪化が米国の対日政策に与える影響などを報じている。ニューヨーク・タイムズ紙は10日の記事で「日本は最近、外交政策で自己主張を強めており、中韓との関係悪化は、アジアで日本を孤立させる可能性がある」と分析した。
同紙はさらに、日本の政治家が中韓の狙いについて、日本が国際社会でふさわしい地位を占めないように歴史を利用しているのだと一蹴(いっしゅう)していると指摘。その上で、中韓の反発は、日本の保守政治家の力を強めているだけだと紹介している。
日本のナショナリズムが勢いを増す兆候として、4月29日の「みどりの日」を「昭和の日」に改める動きが進んでいることを挙げている。
また、7日のウォールストリート・ジャーナル紙は「隣国の日本に対する極端な反応は、日本を国際舞台でより活発なプレーヤーにしようとする米国の努力を複雑にする」と指摘した。自衛隊のイラク派遣や歴史教科書問題などに見られる「自己主張」の増大が中国や韓国に懸念を呼び起こしている、と背景に触れている。
ワシントン・ポスト紙も6日、歴史教科書問題が、日本が戦後の平和主義から距離を置き始め、平和憲法の改正を検討しているタイミングと重なったため、近隣諸国に騒ぎを引き起こしたと伝えた。
◇中国の歴史教育の問題点も…英インディペンデント
【ロンドン小松浩】14日のインディペンデント紙は「5分間ブリーフィング」というコーナーで「日中対立の背景」を特集。「日本の戦争中の行為に中国が怒る理由は十分ある」としながらも「中国はアヘンを持ち込むため戦争をした英国などにはあまり不平を言わない」と皮肉り、「偽善もある。中国の学生は(中国の)チベット侵攻や故毛沢東主席の犯した罪はほとんど学ばない」と、中国の歴史教育の問題点も挙げた。
その上で「貿易ブームがいずれ緊張を緩和するとの希望もあるが、両国の歴史とナショナリズムと政治の頑固な混合体が二つの古い敵を一層対立に引き込むことを恐れる人もいる」と懸念を示した。
また、13日のガーディアン紙社説は「日本は中国を侵略したことを何度も謝罪しているが、多くの中国人は十分ではないと感じている。信頼は定期的な対話によってのみつくられる。中国も日本も冷静になり、対立の炎をさらに燃やすことは避けるべきだ」と強調。仏独が戦後、過去の歴史をただすため政府間の共同作業を始めた例を参考に挙げながら「意識的な努力」を求めた。
一方、13日のフィナンシャル・タイムズ紙はアナン国連事務総長の首席補佐官がベルリンで「中国で起きていることは独の常任理事国入り問題を人質にするものだ。これは見過ごされてはならない」と語ったことを報道。安保理改革全体が日中間の対立で阻害される可能性があると伝えた。
◇日本政府は近隣諸国世論を考慮すべきだ…仏ルモンド
【パリ福島良典】フランスのルモンド紙は12日の「中日緊張」と題した社説で、反日デモについて「日本が(中国)大陸における戦争犯罪の規模を否定するのを中国人が非難するのは間違っていない」と一定の理解を示した。
同社説は▽南京大虐殺に言及しない教科書の刊行▽従軍慰安婦の無記載▽小泉首相の挑発的な靖国神社参拝−−を例に挙げ、「右派の軍国主義者の影響力の大きさを示すもの」と分析している。
歴史認識では95年の村山富市首相(当時)の謝罪談話に触れ、「改しゅんの道を現政府が放棄してはならない」「国連安保理入りの候補たらんとする時、日本政府は潜在的な修正主義に終止符を打ち、近隣諸国世論を考慮すべきだ」と小泉政権に対中配慮を求めている。
中国政府のデモ黙認に関しては「若者にとって反日主義が不満表明の唯一の手段になったため、政府はそれを利用するという危険な道に踏み入っている」「中国政府は市場経済への移行に伴う国内の政治的・社会的な緊張の制御に苦労している」と分析している。
さらに「中国政府は日本が安保理常任理事国となることに条件を付けている」と指摘。「中国は野心を抱き、日本は心配している。だが、両国で民族主義者が暴走している現状では相手を食い止めることも、なだめることもできない」として、冷静な対話による事態収拾を促している。
◇日本自身は敗戦国とだけ認識している …独フランクフルター・アルゲマイネ
【ベルリン斎藤義彦】ドイツでは、日本の戦後処理の姿勢に強い疑問や批判を示す論調が目立つ。保守系のフランクフルター・アルゲマイネは11日、「ニッポンの影」と題した社説で「日本政府は何が原因でデモが起こったかを無視している」とした上で「あたかも世界に一国だけ存在し、自らの行動は他の国に何の結果ももたらさないかのように自己中心的に暮らしている」と批判した。
同紙は日独の戦後を比較し、日本は「痛みを伴う過去の清算から逃れ、一度も自ら戦犯を訴追したことがない」「戦後60年たち、自身を加害者というより敗戦国とだけ認識している。過去の克服には全く取り組んでいない」と指摘した。
さらに中国のめざましい経済成長や北朝鮮の核開発から不安を感じ、「独自の伝統や価値によりどころを求めている」と分析。「近隣国の視点で過去を考えることを日本が学ばない限り、北東アジアでの和解はない」と主張した。
また左派の有力紙・南ドイツ新聞も11日の社説で「デモには共感できないが、血塗られた過去に対する日本の誤った振る舞いにはもっと共感できない」と厳しい論調を展開。「日本の中国に対する反応には自己批判がない。日本人は歴史の精査は十分行ったと信じているが、こうした結論は、戦争加害者の子孫にはふさわしくないことを忘れている」と批判した。
毎日新聞 2005年4月15日 19時06分
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http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20050416k0000m030034000c.html