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04/12 17:47 国王主導の民主化に批判も 成文憲法大詰めのブータン
ヒマラヤ山脈の王国ブータンで史上初の成文憲法導入の動きが大
詰め。絶対王制から、国王に定年制を設ける立憲君主制に移行、議
会に国王罷免権を認めるなど画期的で、国王が直接統治に乗り出し
た同じヒマラヤのネパールとは対照的だが、難民を排除しているな
どと、国王主導の民主化批判の声も上がっている。
ブータンは推定人口二百三十万人余り。約百年続く現王朝のワン
チュク国王(49)は一九七二年に即位した。二〇〇一年に憲法起
草委員会を設置。今年三月下旬、国民への最終草案配布が始まった
。国民投票、議会承認を経て「〇七年ごろ、成立の見通し」(政府
当局者)だ。
草案は三十四条。国王には定年制があるほか、憲法を侮辱した場
合に二大政党から成る国民議会(定数七五)が罷免権を持つ。しか
し罷免の審議入りに三分の二、議決には四分の三の賛成が必要で、
さらに国民投票を行うなどハードルは高い。
思想、宗教、報道の自由も認めている。国土の60%以上を森林
として保全する、山岳国ならではの環境保護条項も。
ワンチュク国王は自らの不信任決議権を議会に与えるなど政治改
革を推進してきた。だが仏教徒優遇策と、日本の着物にも似た民族
衣装の着用など「ブータン化政策」も行い、一九九〇年代初め、ヒ
ンズー教徒のネパール系住民が難民化、今も十万人近くがネパール
で難民生活を送る。
元国会議員で、亡命中のネパール系人権活動家テクナト・リザル
氏は草案について「少数派民族の権利に触れず非民主的」と強く批
判する。
国王は、諸外国の影響を極端に恐れ、外国人の入国を制限、九九
年にテレビとインターネットの普及をようやく認めた。そんな国王
が主導する民主化憲法について消息筋は「経済のグローバル化の中
で取り残されるとの危機感」とみる。
高い経済成長を続けるインドの存在も大きい。インドはブータン
を中国との緩衝地帯と位置付け、ブータンへの影響力維持に腐心し
ており、ブータンの経済五カ年計画の半分以上がインドの援助頼り
。インド外務省は「民主化による政情安定を支持する」との立場だ
。
アジア人権センターのスハス・チャクマ氏は「基本的権利を国民
に認めたことで、今後民族問題などの解決を求める圧力が国王にか
かるだろう」と予測している。(ニューデリー共同=田辺宏)
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[2005-04-12-17:47]