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拙訳『偽イスラエル政治神話』原著者の序文より抜粋。
なぜ、この本なのか?[この項は改訂版での増補]
[以下、原文ではイタリック体文字で強調されている部分を「 」で示す]
統一主義[訳注1]は暴力と戦争の発生源であり、われわれの時代の致命的な病弊である。この本は、私が統一主義との闘いに捧げる三部作の一部をなしている。
訳注1:原語は「integrisme」。訳例には、教権主義、教条主義、非妥協的保守主義、伝統完全保存主義などがあるが、いずれもキリスト教の分派の呼称についての意訳である。著者は、いわゆる地中海文明の三大宗教のすべてに、この「病弊」を見ており、しかも、それが、総表紙裏の囲みの抗議文にも記されているように、チャウシェスクの“思想の統一”や、ヒトラーのそれと共通するものと認識している。著者はまた、疑いもなく、かつては自らが身を置いていたスターリニズムの潮流に対しても、同じ「病弊」を見ているであろう。そこで本訳書では、単語の原意に従って「統一主義」とした。
第一部、『イスラムの栄華と退廃』(96)の中で私は、イスラム統一主義の震源地、サウディアラビアを告発した。ファッド王については、アメリカの中東侵略の共犯者、“政治的売春夫”、イスラム教をイスラムの病弊に変えた人物として描き出した。
第二部は、『われわれは神の存在を必要とするのか?』(84)および『宗教の戦いのために/市場の一神教に反対して』(95)の二冊で構成されている。この二冊の著書では、ローマン・カトリック統一主義の解明に努めた。ローマン・カトリック教会は、“命を守る”と称して胚[胎児]についての詳細な議論[堕胎禁止論]を展開しながら、毎年のように一三五〇万人もの幼児が、アメリカの支配の下で強制される“市場の一神教”の犠牲者として、栄養失調と飢餓で死ぬことについては沈黙を守っている。
三部作の締め括りとなるのが本書である。本書、『偽イスラエル政治神話』では、イスラエルで神の代用品の役割を果たす政治的シオニズムを、邪教として告発する。イスラエル国家は、世界の潜主、アメリカのために、核武装付き不沈空母の役割を果たしている。そのアメリカは、西側諸国の経済成長の原動力である中東の石油の専有を望んでいる。だが、いかにも世界中の手本であるかのように称されている西側諸国の“経済成長”なるものが、国際通貨基金などの金融支配機構を通じて、第三世界に引き起こす被害の二日分は、広島の死者数と等しいのである。