現在地 HOME > 戦争68 > 904.html ★阿修羅♪ |
|
サパテロ南米へ:ベネズエラに兵器売却、米国は「危惧」:スペイン語各紙それぞれ興味深い反応
現在、スペインの首相サパテロはベネズエラを訪問中で、そこで、ベネズエラのチャベス、ブラジルのルラ、コロンビアのウリベの各首脳と4者会談を開く予定で、その後コロンビアに移動します。このサパテロのベネズエラ、コロンビア訪問に対して、スペイン語各紙はそれぞれ個性的で興味深い反応を示しています。それぞれ簡潔にご紹介します。
★まずエル・ムンド紙(3月29日付)は、スペインがベネズエラに対し12機の軍用機と8機の哨戒機を売却する契約を結ぶ予定であることに対して、米国が、このデリケートな地域を不安定化させる、と「危惧」していることに触れています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『サパテロは、チャベス政権への武器売却に対する米国の「危惧」を前に、ベネズエラ訪問』
http://www.elmundo.es/elmundo/2005/03/29/espana/1112063819.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
軍用機といっても戦闘機ではなく軍用輸送機といくつかの種類の哨戒機で、他に石油輸送用の船舶などが、ベネズエラの石油とバーターされるわけです。これに対してブッシュ政権はカリカリきているらしく、米国外交筋がエル・ムンド紙に対して「この非常にデリケートな地域を不均等にするものだ」と不快感を示している、と報道しています。
★ベネズエラの新聞ディアリオ・ベアは昨日、この会議を「一極主義に対抗するもの」という表現で、米国のユニラテラリズムに挑戦し多極主義的な新しい世界観を作っていくための画期的な会議だ、と評価しながら紹介しています。また今日の日付の記事では、「新しい世界地図を描く首脳会議(La Cumbre Presidencial dibujará nuevo mapa del mundo)として評価し、「この首脳会議は多くの国際情勢について分析し、国際関係の均等化に貢献して、ラテンアメリカと欧州とが権力の集中する新しいいくつかの極を建設する助けになることだろう(la reunión presidencial analizará temas de política internacional y será una contribución para el equilibrio de las relaciones internacionales,”América Latina y Europa pueden ayudar a construir nuevos polos de concentración de poder”)」というベネズエラ政府高官の発言を紹介しています。
ただこの新聞の電子版は過去の記事のUrlが無く(恐らくよほど容量の小さなサーバーしか持っていない)、その日その日の記事を読むしかありません。この新聞のホームページは
http://www.diariovea.com.ve/
★ケッサクなのがスペインの親米右翼電網紙リベルタッド・デジタルの反応です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『ベネズエラの社会主義者は、「商業の利益」のために民主主義を無視、とサパテロ非難』
http://www.libertaddigital.com/noticias/noticia_1276247658.html
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここには、ベネズエラの社会民主主義政党「民主的行動」が、サパテロが商業的な利益のために「民主主義の原則を捨てた」と非難していることを紹介し、13億ユーロ(約1780億円)に相当する軍用機器の売買に合意した両国政府を批判しています。そしてスペイン国民党の党首マリアノ・ラホイ(アスナールの後継者)がこのサパテロの行動を「怪物的な誤り"error monstruoso"」と酷評している、と書いています。この「民主的行動」はチャベス攻撃の急先鋒の一つで、当然ですがCIAの手先です。
以上の三つの記事を総合しますと、ラテンアメリカ一極支配を貫徹しようと狙う米国に対して、欧州(サパテロの背後にはフランスとドイツが中心のEUが控えている)とラテンアメリカ、中国やインド、ロシアなどによる多極化の思惑が、現在鋭く対立していることがうかがえます。またこれが中南米諸国に対する一方的な米国の攻撃を阻止する力として利用できるものでしょう。
★次にスペインのエウロパ・プレスは2つの記事を掲げています。(3月29日付)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『サパテロ、ルラ、ウリベ、チャベスはテロリズムに対決するために本日、国際協力を結ぶ』
http://www.europapress.es/europa2003/noticia.aspx?cod=20050329011730&tabID=1&ch=103
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
この記事では、本日19日に4カ国は、国際テロリズムに対する共同の対策、国連改革に対する見通し、およびアンデス地域国自由貿易協定に関する話し合いと行う、となっており、兵器売却の話は出ていません。
ベネズエラにしてもブラジルにしても、「反テロ戦争」を口実に米国に攻撃されては困りますので、この国際テロリズムに対する対策を逆手にとって逆に「本当のテロリストども」の手足を縛りたいところでしょう。チャベスはカストロとともに、米国政府とCIAやFBI、その国内の代理人たちを「本当のテロリストども」と非難していますので。