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竹島(独島) 靖国 教科書問題
http://www.bund.org/editorial/20050405-1.htm
イイ気になってた小泉が悪い
盧大統領「日本との外交戦争も」
3月23日、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は、独島(竹島)領有や歴史教科書問題等を取り上げ、「日本との厳しい外交戦争もありうる」と、かつてなく厳しい日本批判の談話を発表した。小泉首相の靖国参拝強行で、中国との外交関係も冷え切っている。このままでは日本は東アジアで完全に孤立する。
外交オンチの小泉・自民党
韓国国民の反日感情が爆発する中で、「任期中は歴史問題を争点にしない」と「未来志向の韓日関係構築」を掲げていた盧武鉉政権も路線転換を発表。盧大統領は、3月1日の「3・1独立運動」記念演説で、日本は「賠償すべきことがあれば賠償しなくてはならない」と演説し、3月17日には韓国政府が、「真の謝罪と反省」を求める「対日政策の新原則」(新韓日関係ドクトリン)を発表している。3月23日の談話は、こうした韓国政府の対日政策の転換を盧大統領自らが再表明したものだ。
盧大統領は、路線転換の理由を、「韓日関係の未来のために(強い対応を)我慢してきたが、返ってきたのは未来を全く考慮しない日本の行動だった」と、歴史問題にあまりに無関心・無頓着な日本政府に裏切られた、もう我慢の限界だと説明している。
同談話で盧大統領は、「侵略と支配の歴史を正当化し、再び覇権主義を貫徹しようとする(日本の)意図をこれ以上黙って見ているわけにはいかない」と、厳しい日本(政府)批判を展開。島根県による「竹島の日」条例制定は、「韓国の光復(植民地支配からの解放、独立)を否認する行為」と指摘し、教科書問題についても、「歪曲された教科書が再びよみがえろうとしている」と危惧の念を露わにしている。
さらに、この間の竹島問題や教科書問題は、「一部の自治体や国粋主義者の行為にとどまらず、日本の与党勢力と政府の幇助のもとに行われている」と日本(政府)を厳しく批判、自衛隊の海外派遣にも、「われわれに苦しい過去を思い出させ、未来を不安にさせている」と懸念を表明。「外交の争点にしたり、対応措置を講じることはせず、遠回しに中止を促してきたが、(小泉首相の靖国)参拝はこれまで日本の指導者が行ってきた反省と謝罪の真実性を棄損した」と小泉首相への失望も率直に語っている。
おりしも今年は、韓国が(中国も)日本の植民地支配からの解放を勝ち取ってから60年の節目の年にあたる。盧大統領は、日韓関係に関する全政府レベルの政策を推進する常設機構を設置。日本との歴史問題の解決に全力を傾けようとしている。
こうした韓国側の動きに対して日本政府側は、「補償問題は解決済み」(町村外相談話)という従来の見解を繰り返し、小泉首相などは「国内事情を考えながらの発言」と外交オンチがすぎるコメントを公表。韓国の鄭東泳統一相は省内の会議で、「盧大統領は国内事情が厳しい時も、(日韓関係を)未来志向に持っていこうと努力した」「国内向けと評価するのは理屈にも合わず、礼儀にも反する」と激しく反発している。
日本批判の談話において盧大統領は「北東アジアの未来のかかった問題」と強調している。韓国メディアはこうした盧政権の動きは、対日政策の転換にとどまらない外交政策全般の大転換の一環だと報じている。
「多国間安保」構想する韓国
談話発表の前日の22日、盧大統領は、陸軍3士官学校の卒業式で、「今後われわれがどのような選択をするかによって北東アジアの勢力図は変わるだろう」と演説。「今やわれわれは韓半島だけでなく北東アジアの平和と繁栄に向け、均衡を保つ役割を果たすだろう」とし、「はっきりさせるべきことははっきりさせ、協力すべきことは協力し、主権国家として当然の権限と責任を果たしていきたい」と語った。
ヨルリン・ウリ党(盧政権の与党「開かれた我が党」)の任鍾ル(イム・ジョンソク)スポークスマンも、「最近、韓米同盟より米日同盟が優先視され、中日の覇権競争が加速化している。過去のように南方3角(韓米日)、北方3角(朝中ロ)などといった構図に立ち戻る可能性はほとんどない」、「閉鎖的かつ一方的な同盟に閉じ込められるより、多国間安保への追求など、外交戦略の切り替えが検討されなければならない」と論じている。
20日のライス米国務長官との会談でも盧大統領は、「米国は北東アジア秩序を戦略構図と受け止めるかもしれないが、韓国には宿命(destiny)」とし、「排他的同盟」ではなく「包括的同盟」(=北東アジアの多国間安保体制)を主張したとされる。
3月22日の「朝鮮日報」は、「今後、米日が中朝を相手に圧力戦略を駆使する場合、大統領自身は『NO』と答えるだろう」と分析。「このままでは北東アジアに新たな冷戦構図が作られる可能性がある」と危惧する盧政権は、「北東アジアの主な当事国による多国間安保体制構築」を目指そうとしているとする。盧大統領が「新韓日関係ドクトリン」を発表したのも、「日本が中国と北朝鮮を敵視し、緊張を高めている点に深い憂慮を持っているからだ」というのだ。
韓国・盧政権は今、北朝鮮・中国敵視で東北アジアの平和と安定を危機に陥れるブッシュにNOを突きつけ、東北アジア多国間安保体制の構築に乗り出そうとしている。日本も盧政権が構想する東北アジア多国間安保体制に積極的に参加するべきだ。そのためにも、アジア諸国との間の「歴史問題」を、戦争被害者が納得できるような形で早急に解決する必要がある。
盧大統領は同談話で、「究極的な問題解決には日本国民が歴史を正しく知ることが必要だ」と「良識的な日本国民」との対話重視の姿勢を打ち出している。私たち日本の民衆は、このチャンスを逃してはならない。
韓国の全国経済人連合会(全経連)会長・姜信浩(カン・シンホ)氏は、大統領談話が発表された23日、「独島問題をめぐり韓国と日本両国が感情的に激昂することは、何らプラスにならない」「経済人は興奮せず、冷静にビジネスを行っていくべき」で、「過度に日本を刺激することは慎まなければならない」と語っている。
日韓関係も日中関係と同様、「政冷経熱」。靖国や歴史教科書などの歴史問題をきちんと解決できない日本の外交無策こそが、日本と韓国―アジア諸国との関係を歪め続けているのだ。
思いやり予算を戦後補償に
ドイツの戦後補償は、「ナチスの非道に対する補償」を取り決めた「連邦補償法」や政府間交渉により進められ、2030年までに被害者に対して8兆円余りが支払われることになっている。片や日本の戦後補償は、日韓条約による有償・無償の5億ドル、その他アジア諸国への賠償金・在外資産の放棄などを合わせても1兆円程度でしかない。しかもその賠償は直接被害者に支払われたものではなく、戦後アジア各国に成立した独裁政権の維持と、日系企業進出のためのインフラ整備等に使われてしまった。
95年に「従軍慰安婦」への賠償問題が起きたときも、村山首相(当時)の謝罪談話発表という政治決着と民間基金による賠償金の支払いでお茶を濁してしまった。
その一方で戦後日本は、在日米軍の駐留経費については、毎年膨大な額を負担してきた。日本政府は、日米安保条約―地位協定にすら本来含まれていない米軍駐留費=「思いやり予算」を毎年7000億円も負担している。米ソ冷戦が終結した今、米軍への「思いやり予算」を止め、そのすべてをアジアの戦後補償に振り向けるべきだ。その方が本当の「日本の安全保障」にとってよっぽど有益だ。
歴史教育を巡っても、戦後のドイツと日本との間には大きな開きがある。ドイツとポーランドの間では1970年代から教科書の共同研究が続けられている。歴史教科書をめぐっても、「内政干渉」とかいって、韓国や中国の批判に耳を傾けようとしない日本はあまりに閉鎖的であり、アジアの戦争被害者への反省・償いの思想が欠如している。
日本政府・小泉首相は「アメリカが日本を守ってくれる。日米同盟を維持していれば日本の繁栄は保証される」と固く信じ、対米関係を外交政策の基軸にすえ続けている。しかしアメリカの大量消費社会は行き詰まり、石油争奪のための戦争に世界中を巻き込んでいる。
すでに日本経済の軸足は、米国からアジアに移行しつつある。戦後責任・戦後賠償問題を解決し、アジアの平和と安定に向けた地域的な信頼関係を構築してくことこそ、21世紀の日本外交の基軸とするべきだ。
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竹島(独島)は日韓共同管理の自然保護区域に
かつては「ニホンアシカの楽園」だった
日本海に浮かぶ日本名「竹島」―韓国名「独島」は、日本名で 東島(女島)、西島(男島)と呼ばれる二つの小島と、その周辺の数十の岩礁からなり、総面積は約0・23平方km。日比谷公園とほぼ同面積の小さな島だ。島は飲料水も乏しく、ずっと無人の島だった。この小さな無人島の領有権をめぐって今、日本政府と韓国政府が厳しく対立している。
日本政府・外務省のホームページに掲載されている「竹島領有権に関する我が国の主張」は、「我が国は、遅くとも17世紀半ばには、実効的支配に基づき竹島の領有権を確立していたと考えられ、1905年(明治38年)以降も、閣議決定に基づいて近代国家として竹島を領有する意志を再確認した上で、同島を実効的に支配してきた」と主張する。
一方、韓国政府の「独島に対した政府の基本立場」は、「独島は歴史的、国際的に明らかなわが国の領土であり、独島に対したわが国の領有権は歴史的な事実と国際法上の領土主権確立の核心要件である『実効的支配』によって確固不動です」(韓国政府・海洋水産部)と「実効的支配」を強調する。
韓国側は、1905年11月の第二次日韓協約(乙巳保護条約。日本は韓国統監府を設置して外交権を掌握し朝鮮植民地支配を開始)に先だつ同年1月、日本政府が竹島の領有を宣言したことに注目。「独島侵略は日本による韓半島侵略の第一歩」と、単なる一島嶼の帰属問題にとどまらない「民族的大問題」ととらえている。
日韓両政府とも、「古文書」などを持ち出して「歴史的領有」を主張しているが、実際のところ、日韓両国の漁民によってアシカ漁やアワビ漁などの漁労地ないし寄港地として「共同利用されていた」というのが、史実に一番近いのではないか。つまり、どちらの国のものでもなかった。
1905年以降は、より早く近代国家の形式を整えて帝国主義的膨張を開始した日本が竹島を実効支配。戦後は「戦勝国」たる韓国が、1952年の「李承晩ライン」によって独島の実効支配を宣言・実施してきた。戦争直後GHQが日本漁船の操業区域を規定したマッカーサーラインでも竹島は日本領外におかれた。20世紀を通じて、この島に実際に居住した住民はいない。時代ごとに、立場の強かった方が領有権を主張したにすぎない。
1999年に発効した日韓新漁業協定は、竹島を含む一帯を共同で資源を管理する暫定水域として設定している。実際は、日本の漁船は暫定水域で操業ができない状況が続いているが、「漁業資源の共同管理」というのは、歴史的にも妥当な竹島・独島のありように違いない。
島周辺には手つかずの大自然が残されてきた。昨年1月発表された韓国・慶州大の調査によると、汚水や廃棄物により島の生態系破壊がすすんでいるという。かつては、日本沿岸で繁殖する唯一のアシカ科動物ニホンアシカの主な繁殖地だったが、乱獲によって絶滅してしまった。そもそもこの島は「ニホンアシカの楽園」だったのだ。
竹島・独島を「日韓対立の象徴」ではなく「日韓友好の象徴」として共同管理の自然保護区域に指定し、かけがえのない原生自然と漁業資源を次世代へと受け継いでいく。それこそが本当の竹島・独島問題の解決なのではないだろうか。
(2005年4月5日発行 『SENKI』 1174号1面から)
http://www.bund.org/editorial/20050405-1.htm