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□イラクにおける宗派と結束 [イラク情勢ニュース]
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URUKNEWSイラク情勢ニュース (転送・紹介歓迎)
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2005/03/23(水)
[飛耳長目録 today'snewslist]
☆イラクにおける宗派と結束
SectsandSolidarityinIraq/DahrJamail'sIraqDispatches
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☆★イラクにおける宗派と結束
SectsandSolidarityinIraq
ダール・ジャマイルのイラク速報 (3月23日)
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http://dahrjamailiraq.com
私はアメリカにもどって、この数週間、発表をおこなってきた。ここに紹介
するのは、2〜3週間前にイラクで書いた最後の記事である。・・・このあと
は只今、進行中。
『ネイション』 2005年3月7日
TheNation
DahrJamail
March7,2005
バグダッド発: 茶色のアバヤに身を包んで、シーア派のアヤトラ・シスタ
ニのバグダッドにおける広報担当サヤク・クマイト・アル・アサディ師は、米
国の占領とサダムフセイン統治下で味わったシーア派の苦痛を話すとき
には、どちらについても怒りをあらわし力をこめた。彼の頭上には装飾で
縁取りしたシスタニのポスターが架(か)かっている。
このスポークスマンの論点は明確である。何十年かの抑圧を経験して、
やっと今、シーア派が権力を手にする時が来た。「われわれはスンニ派の
大部分を受け入れるが、彼らのなかには政府にシーア派やクルド人を入
れたがらない者もいる。一部のスンニ派はわれわれを殺すか奴隷にしよ
うとする。われわれは今、今回の選挙結果を受け入れている」と、アサディ
はアバヤを引き寄せて肩にかけながら語った。「しかし、多くのシーア派と
クルドは国を分割することが唯一の真の可決策だと考えている」。
結局のところ、シーア派は退位した独裁者の統治下でおそろしく苦しん
だ。サダムの部下に殺された高位のシーア派聖職者(アヤトラ)のなかに
は、1980年に姉妹と一緒に暗殺されたモハメッド・バクル・サドルと、そ
の従兄弟で1999年に暗殺されたモハメッド・サディク・サドル(モクタダ・
アッ・サドルの父親)がいる。
しかし、サダムのもとで彼らを抑圧したスンニ派のエリートに対するシー
ア派の嫌悪感は、米占領者への同情には転化することはない。強調する
ために前かがみになりながら、アサディは、「われわれはイラクにいる西
洋人を受け入れるようシーア派教徒に押しつけることはできない」と指摘し
た。「なぜならば、彼らはアメリカという蛇の尻尾(しっぽ)であるからだ」。
国民議会でシーア派が多数を占めるようになったことで、彼らは新憲法
の起草にひじょうに力を持つであろう。このことはスンニ派優勢のゲリラか
ら強い反応を招くことになるだろうか? もしそうなら、イラク・イスラム革
命最高評議会(SCIRI)の軍事部門であるバドル旅団のようなシーア派の
民兵は内戦に火をつけて逆襲するのだろうか?
両宗派に属する一部の政治指導者や宗教指導者の声明文を検証する
と、まるで内戦が差し迫ったものであるような印象を受ける。アサディ師の
スンニ派に対する非難は、スンニ派聖職者のシーア派に対する毒舌(どく
ぜつ)と釣り合いがとれている。だがセンセーショナルに焦点をあてて報道
する西側メディアは内戦の可能性を重視するばかりで、そのような予測に
は懐疑心を持って分断に反対しているスンニ派およびシーア派の指導者
の声をかき消している。
現地においては、スンニとシーア派は、米国で一般に考えられているよ
りももっと多く部族社会の絆(きずな)と家族関係で入り組んでいるのであ
る。シーアの導師とスンニの部族長、主流メディアによる政治的糾弾(きゅ
うだん)の世界から、人々の日常生活のレベルに降りてくると、内戦の危
険性ははるかに遠い世界のことのように思われる。
以前の住居の瓦礫(がれき)を視察してファルージャの廃墟から出てき
たばかりのムジャヒディン戦士が、バグダッドで私と会うことに同意した。
彼はアメリカと戦って死ぬ覚悟はしているが、しかし力があるかぎりは復
旧することが好きなので、ファルージャに戻ったのだった。彼の報告によ
ると、地理的および政治的にスンニ・レジスタンスの心臓部であるファルー
ジャにおいてさえ、親族でなくとも、どれほどスンニ派とシーア派が米占領
軍に反対して団結してきたかを示す鮮やかな実例が存在するのである。
サドルが昨年の夏に呼びかけた民衆蜂起に触れながら、神経質に緊張
したムジャヒディン戦士は、「私たちアメリカ軍がモスレム(イスラム教徒)
の同胞を攻撃したとき、ナジャフに戦士を派遣した」と話した。「昨年4月に
侵略者が私たちの都市を攻撃したとき、彼らは私たちを助けてくれた。彼
らは今度も再び私たちを助けた。私たちはそのことを決して忘れない」。
4月のファルージャ包囲の期間に、私はスンニ派とバース党員の多いバ
グダッドはアダミヤ地区にあるハニファ・モスクで、たくさんのシーア派教徒
が群れとなって、食料袋と輸血用の血液、大勢の「人道的な」ボランティア
の若い男性をトラックに乗せているのを見たことがある。包囲攻撃されて
いるファルージャに荷物を送る用意がすべて整っていた。
そして今日、普通のバグダッド市民のなかでスンニとシーアの両方から
集めた意見からは、内戦の可能性はわずかであるように思われる。
バグダッドでインターネット・カフェを経営する43歳のアミン・ラスマンは
、「内戦なんて起こらないと思う」と指摘する。最近の銃撃で割られた窓の
外に、米軍のハンビーによるパトロールが通りすぎるかたわらで、大学生
たちが学期末論文のコピーをとるのに奔走しては、一緒に紅茶を飲んで
いる。ラスマンは、イラクが不安定な状況にあり政党の悪い連中に挑発さ
れやすいにもかかわらず、イスラムの教えとナショナリズム、愛国心が勝
(まさ)るだろうと述べた。「これらの政党のなかには、結局のところ、自分
たちはモスレムでありイラク人だと理解する理性的な人々もいて、宗派の
違いは内戦を始める確かな理由とはならない」。
スンニとシーア両方とも、かなりの指導者がこの見解に呼応するが、緊
張は高まっている。1月30日の選挙は、2004年1月、選挙を求めたシス
タニによって米国に強要されたものであり、広範囲にわたるスンニ派のボ
イコットによって完全なものとはならなかった。シスタニが支援したシーア
派のイラク統一同盟が勝利した選挙は、スンニとシーアの指導者の摩擦
を増幅させた。イラク統一同盟には、アハマド・チャラビ率いるイラク国民
会議はもとより、SCIRIとダーワ党も含まれている。
しかし、より信仰心が厚く政治活動をしているシーア派教徒のあいだでさ
え、多くの者が宗派によって地理的な分割をするのはイラク問題の解答に
はならないと考えている。
ダーワ党の広報担当幹部であるアハメド・アル・アサディは、選挙の直後
に、首都バグダッドのマンスール地区にある彼の事務所から、「私たちは
いかなる種類のものであれ国を分断することに反対だ」と答えた。イラクを
分断することは外国に政治的および社会的、経済的な支配を許すことに
なると彼は考えており、彼はそのことに強く反対している。
アサディは椅子にもたれて両手を組んだまま、「メディアで言われている
ように互いに戦うつもりはないな」と言った。「敵が望んでいるような内戦に
は何の希望もないし、ほんとうのイラク人なら内戦を望んでいるとは思えな
い」。このスポークスマンは宗派の違いがあることは認めたが、「これは互
いに戦うような違いを意味してはないんだ」。
バグダッドにあるSCIRIの本部では、レダフ・ジャワド・タキが同じような
見解を表明した。「宗派の違いがあり、各宗派がそれぞれの考えを持って
いるが、それは宗派の違いがシーアとスンニの兄弟、すなわち私たち自
身の結束を妨げるということにはならない」と彼は説明した。「私たちの敵
は私たちが互いに争いを始めるのとを待っているが、そんな争いは決して
起こらないだろう」。
彼らの本部は選挙前に自動車爆弾に襲われたが、タキはその事件が
暴力の連鎖を引き起こすかもしれないという懸念を一蹴した。「イラク人で
あるスンニ派のイスラム教徒がイラク人であるシーア派のイスラム教徒を
暗殺しているという証拠は何もない」と彼は言う。「私たちの国の分断とい
う考えを受け入れる者は、私たちの国が占領されたままであることに賛成
する人々だよ」。
サドルシティーに広がるスラム街では、サドル事務所のスポークスマンで
もある代理人のガイス・アル・タミニ・アルカディミ師が、思いもよらない見
解を述べた。最近のシーア派モスクへの攻撃とシーア派の政治家暗殺事
件が内戦の引き金になりうると感じるかという質問に、彼は不気味な返答
をした。−−「私たちは兄弟であるスンニがシーアに対してそのような犯罪
をおかすとは思わないが、もしそのような犯罪者を見つけたら、彼らは私
たちに互いに争わせるためにイラクで外国人とシオニストの陰謀を企てて
いるのであり、これこそがアメリカ人とほとんどの衛星国が話しているとこ
ろの内戦である」と。
バグダッド大学の上級政治学者でスンニ派教徒であるワミド・オマル・ナ
ダミ博士は、分断という話はすべて過去の不平にたいする過剰反応であ
ると考えている。
彼は玄関口に立ってバグダッド市内を流れるチグリス川を見おろしなが
ら、「思想の自由がない社会では、特定のグループや個人から強迫観念
を受けとるものだ」と彼は説明した。しかしナダミはそれが幅広い大衆の
支持を欠いた皮相な観念だと考えている。「イラク国民の愛国心を過小評
価してはいけないし、宗派の違いを過大評価してもいけない。なぜなら、
結局のところ、シーアもスンニもイスラム教徒なんだ」と彼は指摘した。グ
リーンゾーンの境界を示すコンクリートの壁と彼の自宅を隔てる茶色の泥
水の上を、米軍のアパッチ・ヘリが低空飛行していた。
ナダミ教授はバグダッドで聞かれる一般的な見解を述べながら、「この
内戦という概念はアメリカの政策立案者の頭の中にだけ存在しており、お
そらく彼自身はシーアとスンニの間に内戦などないことを知ったうえで、そ
れを口実に使おうとしているのだろう」。
ヘリの影が小さくなっていくのを眺めたあと、彼はさらに、「アメリカ人は
実際に、『われわれは皆さん(イラク人)が殺しあうのを好まないので、皆さ
んの国にとどまって、皆さんを殺そう』と言っているではないか」。
バグダッドにあるアブ・ハニファ・モスクのムアイヤド・アル・アダミ導師も
また、宗派間の緊張を増幅させる最近の話については外国の影響だと非
難した。彼は大きな手での身振りをまじえながら、「アメリカ人は相違点を
利用して、イラクのイスラム教徒を分裂させようとしている」と穏やかに話し
た。「だがイラク社会はまずモスレムであり、次に部族である。つまりスン
ニとシーアは親類であり、しばしば一つの(大)家族のなかでも多くの(両
方にまたがる)縁戚関係と宗派間結婚がある。それが私たちの社会であ
り、私たちを分裂させようとする者はその事実に気づいていない」。
この聖職者は二つの宗派間の結束の例を示した。昨年、シーア派であ
る彼の隣人がアシュラ祭の時期に自爆攻撃に遭ったとき、人々に輸血を
呼びかけたのは最初の(スンニ派)モスクだった。隣人はアダミヤ地区か
らチグリス川を渡ったところにあるカダミヤ地区に出かけていた。
「私たちは彼らと何かが違っているとは思わない」とムアイヤド師は強調
した。「彼らはモスレムであり私たちはモスレムを助けなければならない。
彼らがカダミヤで私たちの兄弟に献血するとき、その血液がスンニのもの
だとかシーアのものだとか、口にすることはない」。
バグダッド大学を訪問したことは、イラク人のナショナリズムとイスラム教
ゆえの一体感が宗派の忠誠心よりももっと深く感じられているという印象
を補強してくれた。大学は侵略の余波で略奪の被害をこうむり、その大部
分が荒廃しているにもかかわらず、今もファルージャからの難民100家族
以上が住んでいるキャンパスは、イスラムの両派の大学生にとって正常を
保っている。ほとんどの者が内戦を必要とするほどの宗派の違いもイラク
の分裂も意識していない。
インティサル・ハマドは、「ここにはスンニとシーアの間に分裂はない。僕
たちは皆イラク国民だ」と語った。物理学を専攻する21歳のこの学生は
シーア派教徒であり、「僕らを分裂させたがっているイラクの敵がいるが、
しかし僕たちは皆モスレムであり、僕らの憲法はコーランだ」と言った。
サイフという名前の別のバグダッド大学生も同じように感じている。「分
裂はない。私たちは共にある。私たちは一つ」。
このような国民的結束のかたわらで、内戦という亡霊がイラク人の心の
背後にぼんやりと現れ、政治的な陰謀をすすめている。緊張はクルド人が
要求する産油都市キルクークで渦巻いており、クルド勢力はこのほどの選
挙で見せつけた強さに励まされている。国民議会にスンニ派の代表がい
ないということは、新しい政府を脅かす反乱の舞台ともなりかねない。ブッ
シュ政府は選挙がおこなわれたというだけの理由で、選挙は成功したと宣
言したが、今後数ヶ月にその可能性がはっきりするなかで、ほんとうに成
功したか失敗したかが判明するだろう。
国民議会が新憲法を起草する前においてさえ、サドルとシスタニが明確
に姿勢を画することで、米国の撤退をめぐる議論が強まる可能性がある。
シスタニは撤退までにより多くの時間的余裕を認めるように思われるもの
の、サドルは選挙の数日後には米国の即時撤退期限が唯一の解決策だ
と発表した。
強い影響力を持つスンニ派のイスラム法学者協会は、最近、米占領軍
はイラク撤退の期限を設け、撤退が完了するまでは基地内にとどまるべ
きだという要求を改めて宣言した。このグループはまた、彼らは先の選挙
を完全に違法なものと見なし、米国によって作られる如何なる政府にも敬
意を表しないと発表した。しかし興味深いことに、彼らは占領軍の撤退期
限が発表されるなら、憲法起草にかかわる政治過程には合流することが
できると表明した。
撤退期限に関する彼らの見解がどうあれ、またシーアであれスンニであ
れ、宗教指導者であれ普通のイラク人であれ、大部分のイラク国民が同
意できるテーマは、宗派と民族の相違を解決するのはイラク国民にまか
せて、イラクにいる外国の軍隊は出ていかなければならないということな
のだ。
ワミド・ナダミが言うように、「みずからの国を再建し、傷を癒(いや)し、
社会を改造し、ある種の国民的和解と民主主義、相互の許容をもたらす
のに、イラク国民は四半世紀を要するだろう。しかしそのプロセスは、米
国のイラク占領が終わるまで始まらないであろう」。
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