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(回答先: イラクとNGO「自己責任」諭でいいのか (小倉利丸) 投稿者 外野 日時 2005 年 3 月 20 日 18:08:07)
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http://www.meij.or.jp/countries/lebanon/amaki92.htm
〜そして戦争が始まった〜
駐レバノン特命全権大使 天木 直人
2003年3月20日は忘れられない日となろう。中東外交史上においてもそして私の34
年余の外交官人生においても。
米国のイラク攻撃が始まって2日目のバグダード大攻撃は余りにも衝撃的であっ
た。「衝撃と恐怖」作戦であると言う。その爆撃音と破壊力を見せつけて心理的に戦
力を萎えさせる作戦だと言う。これほど人間性を否定した行為があろうか。そしてま
もなくバグダード攻略の名の下に想像もつかない惨事が繰り広げられようとしてい
る。
テレビ画面を通じて飛び込んでくる破壊的行為に目を背けることなく直視し続けな
がら私は戦争とは外交の対極にあるコンセプトであると今更ながら思い知った。何が
あってもこのような事態を避ける、それが外交なのだ。
私が中東の小国レバノンに赴任して2年間レバノン人は驚くほど親日的であった。
勤勉、礼儀深さ、伝統を重んじる日本、広島の被爆体験から平和の尊さを最も知って
いる日本、その日本こそアラブの心をよく理解してくれるに違いない、中東紛争に手
を染めていない日本こそ中東和平にイニシアチブを取ってもらいたい。私はこのよう
なレバノン人の好意に支えられて日本大使の職務をこれまで勤めることが出来たので
ある。
ところが今回の米国の対イラク戦争の決定に対しこれを支持すると小泉首相の言葉
が当地で繰り返し報道されるや政府の要人と民間人とを問わず逢う人と全てが「日本
の態度には驚き、失望した。日本こそは米国と違ってアラブの気持ちがわかる友人で
あると信じていたのに。何かの間違いではないか。日本がそんな態度をとるはずが無
いと信じたい」と私に語るのである。見知らぬレバノン人から抗議の電話がかかって
きた。こんなことは過去2年間一度足りとも無かった。
それでもレバノン人は私に親切である。怒った顔で抗議するのではなく如何にも寂
しい表情で残念だ、残念だと言うのである。私の心は引き裂かれる痛みと悲しみを感
じる。
ミサイルによって崩壊された瓦礫の破片を積み上げるように私はレバノンにおいて
もう一度始めから中東外交の破片の一つ一つを積み上げていきたい、その思いでレバ
ノン便りを書き続けて行こうと思う。(2003年3月23日記)
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次のものは天木直人氏が2003年10月8日に外国特派員協会で会見した際のものです。
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私が耐えられなかったのは、日本の首相、小泉首相が、アメリカがイラク攻撃を行った直後、いちはやく胸をはって『日本はこれを支持する』と表明したことでした。
…(略)…
日本の小泉首相は『アメリカの攻撃を支持する』、何度も何度もこれを公言し、そしてそれがCNN等のメディアでレバノンに流れてきました。
そしてまた『日本はイラクの戦後復興に全面的に協力する』、戦争が始まって人が殺されているその時に日本の宣伝をするような外交を私は悲しい思いで聞きました。
私はその時二本目の電報を打ったわけですけども、その主旨は、戦争を防げなかった外交、一敗地にまみれた外交が今なすべきことは、外交による一日も早い戦争の停止、これを実現することだ、戦後復興の話をして日本の宣伝をすることは鼻じろむばかりであり、また、『あの戦争が正しかった』『日本はそれを支持する』と繰り返すことは傷に塩を塗る残酷な発言である、と私ははっきりと小泉首相に伝えたかったのです。
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