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03/12 10:52 各地で「名誉なき撤退」 「本当の自由来た」と住民
【リヤク(レバノン東部)12日共同=山岡宗広】かつて銃を持
ったシリア兵が国中に監視所を張り巡らせていたレバノン。シリア
のアサド大統領が五日「段階的撤退」を表明して以来、シリア軍は
夜間などに慌ただしく拠点を撤収する「名誉なき撤退」を続けてい
る。内戦後も危険と隣り合わせだった住民には安堵(あんど)の表
情が広がっていた。シリア軍が移動する東部のベカー平原までのル
ートをたどった。
ベイルート近郊の町バムドゥーンのシリア軍監視所は既にもぬけ
の殻。兵士は前夜、トラックに武器や物資を積み込み、住民に燃料
油を渡して去ったという。
会社員ジャマル・フレイハンさん(45)は「やっと本当の自由
が来た。近所の人たちと集まって小さなお祝いをしたよ」と笑顔で
話した。
山間部に入ると、気温が一気に四度まで落ち込み、雪も時折ちら
つく。しばらく走ると、山頂にコンクリートの建物が見えてきた。
シリア軍の軍事拠点だ。窓は一つもなく、外壁のあちこちが損壊、
まるで廃虚だ。物資を運び出したり、テントを畳んだりしている兵
士十数人が確認できた。
「部外者」に気付き、兵士たちの作業がぴたりと止まる。見張り
役の兵士が銃をこちらに向けるようにして「来るな」と合図する。
近づいて話し掛けると「何も言うことはない。今すぐ出て行け」と
すごまれた。
山を越えると、一面にブドウやジャガイモの畑が広がるのどかな
風景に。ここが各地のシリア軍が集結することになっているベカー
平原だ。
シリア国境に近い同平原の町リヤクの基地に大型トラックなどが
次々と吸い込まれていく。運転席のガラスにはアサド大統領の肖像
画が張られていた。
地元住民によると、レバノンのハリリ前首相暗殺により、住民の
間で反シリア感情が高まって以来、シリア兵が単独で出歩く姿を見
かけなくなったという。
この地にシリア軍がやってきたのは内戦中の一九七〇年代後半。
夜中に戦車と装甲車で空港と駅、学校を一気に占領した。レバノン
人は追い出され、列車は解体、売却されたという。
「忘れるわけがない。生まれ育った町が一晩で奪われてしまった
んだから」。近くで自動車部品店を営む男性(58)は振り返る。
それでも男性は「シリア人に恨みはない」と言い切る。「悪いのは
政治だ。われわれはシリアの軍隊に自分の国に戻ってほしいだけだ
」。
20050312 1052
[2005-03-12-10:52]