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防衛庁 衛星で不安定の弧カバー 情報戦 略計画全容 米軍と共有化進める (毎日 3月13日 朝刊)
[概要]防衛庁が新たな防衛大綱を受け、中東から東アジア全域に広がる「不安定の弧」の全域をカバーする映像通信システム構築することを決めた。これで自衛隊は米軍と情報の共有化を進め、司令部レベルでもデータの共有化が進む可能性が出てきた。このため「今後の情報通信政策」の戦略計画では、5カ年計画(05年〜09年)の初年度(05年度)に2115億円(前年度比607億円増)を計上した。
新たな通信衛星システムでは、現在の西太平洋範囲で音声中心の低速・少容量(Xバンド)から、中東やアフリカの一部を含む地域に拡大し、映像通信が可能なKuバンドを利用し、イージス艦ばかりか空自や陸自でも米軍と情報の共有化を図る。そのため近く米軍と協議を始める。しかし防衛庁ペースで極東の範囲を越えて、軍事情報が米軍と一体化することに国民の不信感が増すことになる。
[コメント]私は現在、17年度の防衛関係予算を調べている。確かに、その防衛予算の中に、「衛星通信ネットワークの再構築」という記述がある。インド洋上に映像通信が可能なKuバンドを新規に整備するとしている。しかし防衛予算案では、あくまでイージス艦など海自との海上データーリンクで、陸自や空自が米軍と関係を強化するとは触れていない。これは現在の潜水艦探知・識別システムのように、まずは米軍と関係が強い海自に先頭を走しらせ、そのあとを陸自や空自に地ならしをさせる作戦なのか。
しかしこれでは日米安保で決められた極東の範囲を越えてしまう。自衛隊を米軍の一翼に入れて使いたい米国に引き込まれてしまう。
音声よりは映像、小容量よりは大容量、低速よりは高速、限定範囲よりは広範囲と、軍事を行うものはより高性能な兵器を持ちたがる。それは本能に近いものがある。しかしそこに歯止めを掛けるのが政治である。日本が核兵器や生物・化学兵器などの大量破壊兵器を禁じているように、日本の軍拡によって不必要な軍事緊張を生まないための限界が必要だ。それが日米安保を極東に限定した先人の知恵であった。そのことを新たな衛星通信ネットワークは破り捨てることになる。同時に軍事組織が持つ本能を解き放すことも意味している。
国会で日米安保条約の極東条項を議論される前に、防衛庁が勝手に日本の防衛範囲を中東やアフリカの一部に拡大する。防衛庁はこのことに国民が気がつかないとでも思っているのだろうか。
(図は17年度 防衛予算の概要より。青い部分が現在の衛星通信ネットワークである。ピンクの部分が新たに構築する衛星通信ネットワーク。これで米軍が進める「不安定の弧」作戦への関与が強まることになる)