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3月10日 05年42号 ◆ イラク戦争に反対していた小泉首相? ◆ もっと真面目に仕事をしろ ◆ 牛肉問題で唐突に行われた首脳間の電話会談
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◆ イラク戦争に反対していた小泉首相?
◆ もっと真面目に仕事をしろ
◆ 牛肉問題で唐突に行われた首脳間の電話会談
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◇◆ イラク戦争に反対していた小泉首相? ◆◇
3月10日の読売新聞がイラク戦争をめぐる小泉外交の舞台裏を検証している。そこには日本が米国に対して単独でイラク攻撃をするなと申し入れていた数々の努力が書かれている。しかし私はこの読売新聞の記事を不愉快な思い出読んだ。その理由はこうだ。
なぜ今頃こんな記事が書かれるのか。記事に書かれている内容の多くはイラク攻撃開始前後のエピソードばかりである。イラク攻撃の是非をめぐって国内の議論が高まっていた開戦前後に、なぜこの記事が出てこなかったのか。この記事を書いた記者は当時からこれらの情報を持っていたのであろうか、それとも最近入手したのであろうか。もし最近入手した情報に基づいてかかれたものであれば、多分に御用記事の臭いがする。いかに米国を説得するかに苦労したかを今頃になってアピールしたい政府が、わざと情報を流し読売新聞を通じて広報しているのではないかさえ疑いたくなる。
私がこの記事に不快感を持つもう一つの理由は、政府は米国に対し「イラク攻撃は不当だから止めろ」と迫るのではなく、国際批判をかわすために単独攻撃だけは止めてくれと泣きついている事だ。開戦より半年前の2002年8月、竹内外務次官(当時)は訪日中のアーミテージ国務副長官(当時)との日米戦略会議において、「米国対イラク」でなく、「国際社会対イラクの構図」にしてくれと頼んだという。米国のイラク攻撃の不当性には一切言及することなく、イラク攻撃を日本は支持するが、世論の批判にさらされることのないようアリバイ作りをしてくれと頼んでいるのだ。情けないではないか。そしてその願いさえ米国に一蹴される結果に終わっている。
私が最も驚いたのは小泉首相の対応である。2002年9月ニューヨークのホテルで行われたブッシュ大統領との首脳会談で、イラク問題に議題が移ると小泉首相はやおら立ち上がってしこを踏んだという。そして「一体何事か」と目を丸くしたブッシュ大統領を前に、「横綱は自分からは決して仕掛けない。相手が仕掛けてきたときに初めて受けて立つのだ」と横綱相撲に例えたという。日本側同席者は「ブッシュの心に響き、かつプライドを傷つけないよう、首相が自ら考え抜いたフレーズだった」と解説している。
更に小泉首相は、イラク攻撃が始まった後の2003年5月の米テキサス州クロフォードでの首脳会談においても、「日本には昔、将軍と天皇がいた。将軍は権力を持ち、天皇には権威があった」などと訳の分からない引用をして、「米国は今極めて強力な力を持っているがイラクの戦後問題は米国だけでは解決できない。国際協調のため国連という権威を使うことが必要だ」とブッシュに注文をつけたという。このような回りくどい説明はカウボーイのブッシュにはまるで理解してもらえなかった。米国のイラク占領のやり方を見れば明らかだ。単純な人間にはストレートな表現を使うべきだ。もっともストレートに言えば怒鳴られていただろう。
それにしても小泉首相は国会答弁でなぜあれほどまでに米国を支持したのか。ブッシュ大統領を善意の人、正しい人と褒めるのか。この読売新聞の記事が正しいのであればどうして正直に小泉首相は自分のとった行動を説明しなかったのか。「ブッシュ大統領にイラク攻撃を踏みとどまるよう申し入れたが聞いてもらえなかった。残念だ。これ以上米国に逆らえないので仕方がない」と白状しなかったのか。それだけの正直さを小泉首相が国民の前で示したならば、私は小泉首相に敬意を表したに違いない。
◇◆ もっと真面目に仕事をしろ ◆◇
10日の各紙を読んでいて、この国の政治家と官僚はまともな仕事をしていないとつくづく思った。
毎日新聞は、小泉首相が官僚に対し、「普天間(の辺野古移設)なんかやめろ」と怒鳴ったと書いている。先月16日に、日米外務・防衛大臣会議の事前説明の為に官邸を訪れた外務省の河相北米局長と防衛庁の飯原防衛局長に、こう着状態にある普天間問題への苛立ちを爆発させたのだ。橋本内閣で普天間飛行場の移設方針を決めた経緯を説明した官僚に「そんなものは関係ない。進んでいないものはやめるのが小泉内閣の方針だ」と指示したという。怒鳴りたいのは国民のほうだ。「こら、小泉。止めるんだったら、さっさと米国に伝えろ。そして辺野古の住民に頭を下げろ」。そんな勇気もないのに、役人に当たったところで弱いものいじめでしかない。我々国民にとって何の意味もない。よもや小泉さん、米国のゴリ押しに負けて普天間基地の他地域への分散移転を呑まされやしないでしょうね。それを自分の手柄だと宣伝しないでしょうね。
北朝鮮のパク・キルヨン国連大使がアナン事務総長に書簡を発出し日本の安保理常任理事国入りに反対すると公式に伝えた(10日の毎日新聞)。北朝鮮がこのような強硬態度を見せることは今更驚かない。しかし韓国のバン・キムン外相が「竹島問題は日韓関係より優先される」と発言したという10日の日経新聞の記事には驚いた。9日の記者会見で述べたのだ。これは外交という観点から見て聞き捨てならない言葉である。二国間関係を損なっても竹島問題は譲れないということだ。外務大臣のことばである。一体これまで日本はどのような対韓外交をやってきたのか。北朝鮮との敵対関係はいうに及ばず、中国や韓国との二国間関係がここまで停滞しているのである。日本政府は身動きがとれない(10日毎日新聞クローズアップ2005)状況だ。
10日の産経新聞は「きょう勉強会」という見出しで、10日の午前に関係6閣僚による勉強会を開き、郵政民営化問題への認識をあらためて共有する事を決めたと報じている。民営化後の郵便事業の利益見通しについて政府が甘い試算をしていることに反論が出たという。そういえば9日の読売新聞にも同様の記事が出ていた。関係閣僚が試算の根拠などの説明が出来ず、自民党側から「どうなっているのか」と批判が出ていたので、竹中郵政民営化相が「講義」をして意思統一を図るという。あきれ果てた話だ。ここまで連日郵政民営化の騒ぎを繰り返してきて、民営化後の収支見通しという根本的な問題を誰もわかっていなかったというのだ。この一時がすべてを象徴している。何も理解しないままこの国の政策はどんどん作られていっているのだ。そして失敗を繰り返している。そのツケがどっと国民に回される。
◇◆ 牛肉問題で唐突に行われた首脳間の電話会談 ◆◇
昨晩のテレビがこの電話会談を一斉に伝えた。そして10日の各紙が同じくこの電話会談をとりあげた。どのメディアも同じような報道だ。つまりこれは一方的なブッシュ大統領の命令ではなく、あくまでも電話首脳会談だ、その証拠に6カ国協議も、中東問題も話し合ったと報じられている。しかしこれは嘘だ。わずか15分の電話会談で、しかも通訳をつけた電話会談で、そんなに話せるはずはない。これはブッシュ大統領が一方的にかけてきた牛肉輸入再開の圧力だ。18日から訪日するライス国務長官にOKの返事をしろとブッシュ大統領から小泉首相に命令が下されたのだ。報道では小泉首相は「早く再開したいが、いつできるとは言えない。この問題が日米関係を害する事がないよう努力したい」と答えたという。これは官僚が苦労して書いた文章だ。こんな言い方を小泉首相がブッシュ大統領にしているはずはない。「日米関係を害する事がないように・・・」というところがミソだ。それは「分かりました。再開を急ぎます」と答えたということだ。そんな返答をしたとは国民の手前口が裂けても言えない。そこで官僚が嘘にならないように作文をしてメディアに流しているのだ。それをメディアがそのまま報道しているのだ。
同様のプレス工作が中東問題でも見られた。すなわち10日の各紙は、今年の5月にイスラエルのシャロン首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長を日本政府が招待したといっせいに掲載した。これは外務省がプレスに宣伝したものだ。四面楚歌の外交の中で報道される機会が少なくなっていることを寂しがっている外務省が、無理に宣伝材料をつくって発表したものだ。
彼らを招待したところで日本に何ができるというのか。もし二人を同時に呼んで日本で協議をさせるのであれば立派なものだ。しかし別々に呼んでそれぞれの言い分を聞き流すだけだ。小泉首相と官邸で写真を撮らせ宣伝するだけだ。こんな見せかけの外交をいやというほど見てきた。させられて来た。もういい加減にしたらどうか。はるばる中東からやってくる彼らは生死をかけた駆け引きをしているのだ。援助をばら撒いて貢献振りをアピールするだけの外交を繰り返していると日本の外交は本当にバカにされる。不要になる。
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