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@伊で反米世論が沸騰、野党はイラク撤退要求の構え(読売新聞)
【ローマ=藤原善晴】イラクで武装勢力に拉致、解放されたイタリア人女性記者ジュリアナ・ズグレナさん(56)の乗った車が、米軍に銃撃され、伊情報局員が死亡した事件で、伊国内の反米世論が沸騰、ベルルスコーニ首相が窮地に立たされた。
ブッシュ米大統領との盟友関係を看板にしてきた首相は、イラク派遣部隊の駐留期間延長に関する国会審議、重要な地方選挙を前に、難しい対応を迫られている。
ローマでは7日、死亡した情報局員ニコラ・カリパリさんの国葬が行われ、首相やチャンピ大統領らが参列した。
民間調査機関の2月の世論調査では、イタリアのイラク派兵を「失敗」としたのが49%で「失敗ではない」の44%を上回っていた。世論はいま、米国に「真相究明」を強く要求。野党の一部は、事件を“追い風”に「撤退を明確に要求する」と宣言し、与党内からも「罪ある者を処罰すべきだ。米国に従属する印象を与えてはならない」(アレマノ農林相)との対米強硬論が出始めた。
首相にとって、米軍誤射事件は大誤算だった。
ズグレナさんは、国内日刊紙では最左派とされる「マニフェスト」の記者。犯人がマスコミに送ったビデオ映像でズグレナさんは「伊軍撤退」を訴えた。撤退世論の高まりを恐れた首相は、国軍情報当局による解放交渉を指示。成功直後、米軍誤射の報に接し、首相は激怒したという。
先月16日、上院は、イラク派遣部隊3000人の6月末までの派遣延長を承認。しかし下院の採決は3月中旬だ。首相にとって厳しい国会審議が予想される。
4月3、4日には、主要州知事らを選ぶ地方選挙がある。経済改革が進まないことから、首相率いる政党「フォルツァ・イタリア」の支持率はこのところ20%程度に低迷。与党・中道右派連合は昨年10月の下院補選(7議席)と、1月の上院補選(2議席)で野党に全議席を奪われた。ある与党議員は「もう負けられない。2006年に実施見通しの総選挙で政権を奪われかねない」と危惧(きぐ)する。
ブッシュ米大統領との盟友関係を政治宣伝に利用してきたベルルスコーニ首相は、簡単にイラク派兵をやめられない。ただ、現時点では、米国に強い態度を示さざるを得ない。
事件直後の4日、ローマ地方検察庁は「捜査への着手」を宣言。5日にはズグレナさんからの事情聴取を入院先で行った。地元紙報道では、銃撃した米兵を殺人容疑で尋問することを目指している。カステリ法相は同日、米国側に「発砲した兵士の氏名などの捜査情報提供」を求める書簡に署名し送付した。
(2005/3/7/23:38 読売新聞 )
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050307i214.htm