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[TUP-Bulletin] 速報470号 兵役拒否米兵のことば 050302
イラク従軍兵が語る従軍復帰を拒否した理由
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ビッグニュース! カミロ・メヒア氏釈放
昨日2月15日、カミロ・メヒア氏から、釈放されたといううれしい電話があった。
ご記憶の方もあろうが、7年以上従軍していたメヒア氏は、イラクで8ヶ月間戦闘に
参加したのち2週間の休暇で帰国した際、良心に従ってイラクには戻らないと決意し
た勇気ある兵士だ。メヒア氏は、良心的兵役拒否を申請し、アムネスティ・インター
ナショナルが良心の囚人として認定した。しかし、米軍は従軍義務不履行だとして、
オクラホマ州フォートシルで禁固1年の刑を言い渡した。
判決が出たのは、イラクのアブグレイブ刑務所でイラク人囚人を虐待したジェレミー
・シヴィッツ技術兵が1年間の禁固刑を言い渡されたのと同じ日の出来事だった。シ
ヴィッツ技術兵と同様の命令を受けたメヒア氏はこれを拒否している。メヒア氏の詳
細については、 http://freecamilo.org/ を参照されたい。
(佐光紀子/TUPメンバー)
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僕がイラクに派遣されたのは2003年4月のことだ。10月に2週間の休暇で故郷
に戻った。家に戻ることで、自分の考えを整理し、自分の良心の声に耳を傾ける機会
ができた。僕の戦争体験についてまわりからきかれ、それに答えることは、僕をあの
恐怖へ、そう、銃撃戦や待ち伏せ攻撃、そしてイラクの若者が 自分自身血の海の中
を肩をつかまれて引きずられていく光景や、罪もない人が僕たちのマシンガンで首を
吹き飛ばされた瞬間に、僕を引き戻した。 子どもを殺してしまったために精神が崩
壊してしまった兵士、ひざまずいて天に向かって両手を広げ、おそらくは、なぜ僕た
ちが彼の息子の亡骸を持っていってしまったのかと神に向かって声 をあげて嘆き、
尋ねている老人の姿。
自分の国を廃墟にされ、襲撃や占領軍の巡回や夜間取り締まりに自尊心をズタズタに
された人々は、どれほど苦しんでいることか。
おまけに、説明されていたイラク駐留の必要性は、みんな嘘だったことも分かった。
大量破壊兵器なんていうものは、何もありはしなかった。サダム・フセインとアルカ
イダにも、何の結びつきもなかった。僕たちはイラクの人たちの助けになっていたわ
けではなく、イラクの人たちは、僕らにいてほしくなかったんだ。僕たちは、テロの
再発防止に一役買っているわけでもなければ、アメリカを今までより安全にしている
わけでもない。イラクにいたまともな理由なんか、そして、人々を 撃ったり撃たれ
たりする理由なんか、一つとして見あたらなかった。
家に戻ることで、軍隊の義務と倫理的な義務の間に横たわる一線がはっきり見えるよ
うになった。この戦争は社会的倫理に反し、犯罪だと思っていたし、侵略戦争であり
帝国支配のための戦争だったのに、それに自分が荷担していたことに、僕は気がつい
た。自分の信念に基づいて行動することは、軍隊での自分の役割とどうしても折り合
わないことも分かった。それで、イラクには戻らないと決めたんだ。
武器を置くことで、僕は、人間としてもう一度主張することを選んだ。軍から脱走し
たこともなければ、従軍する人々を裏切ったこともない。国を裏切ったこともない。
ただ、僕は自分の信条に忠実だっただけだ。
不安と疑問だらけのまま方向を転換したのは、自分のためだけではない。僕に砲撃し
てきた人も含めた、戦場の向こういるにすぎないイラクの人々のためでもあったーー
戦場での唯一の敵は戦争そのものなのだから。同時にそれは、地雷と劣化ウラン弾の
犠牲になっているイラクの子ども達、そして、戦争の何千人という僕の知らない兵士
以外の人々のためでもあった。僕が獄中で過ごした時間なんて、イラクとアメリカの
人々が命とひきかえに払ってきたものにくらべたら、ほんのわずかにすぎない。人類
が戦争のために支払ってきた命の犠牲にくらべたら、僕の犠牲なんてわずかなものだ
。
大勢の人が僕を臆病者だといった。そうじゃない人たちは、僕を英雄だといった。そ
の間に本当の僕はいるんだと思う。僕を英雄だと言ってくれた人たちに、僕は英雄な
んて信じないけど、普通の人にもとてつもないことが出来ると信じていることを伝え
たい。
僕のことを臆病者ばわりした人たちに、僕は言いたい。間違っているのはあなた達だ
、と。そしてまた、自分では気づかずに、正しいことも言っているのだ。殺されるの
が怖くて僕が戦場に戻らなかったという考えは間違っている。怖かったのは確かだが
、僕がおそれていたのは、殺されるかもしれないことだけではなく、罪もない人たち
を殺すこと、生き残ることは殺すことという状況に自分自身を置くことだ。そこには
、肉体を救おうとして魂を失っていく不安、娘や僕を愛してくれる人たちの知ってい
る自分自身が失われていく不安、今までの自分じゃなくなっていく不安、自分がなり
たい人間ではなくなっていってしまう不安があった。ある朝目がさめたら、人間らし
い自分に見捨てられた自分がいるんじゃないかと、不安だった。
何の誇りも感じないが、僕が兵隊としての任務は全うしたことは確かだ。戦闘で歩兵
隊の指揮を取り、任務遂行に失敗したことはない。それでも、僕を臆病者呼ばわりす
るのは、ある意味で正しい。僕をそう呼ぶ人たちは、その正しさに気づいていないけ
れど。僕は臆病者だ。戦争に戻らなかったからではなく、最初の段階で、戦争に参加
していたという意味で。この戦いを拒否し、抵抗するのは、僕の道徳的な責任だった
。
その道徳的な責任が、「筋の通った行動をしろよ」と、僕に呼びかけたんだ。が、僕
は人間としての道徳的責任ではなく、兵隊としての義務を果たす道を選んだ。怖かっ
たからだ。ひどく不安だった。
政府や軍に立ち向かうようなことはしたくなかった。叱責や屈辱的な扱 いを受ける
のが怖かったんだ。僕が戦争に行ったのは、あのときの僕が臆病者だったからだ。そ
の意味で、僕は部下の兵士達に謝りたい。僕は、自分がなるべきリーダーではなかっ
た。
イラクの人々にも謝らなければならない。外出取り締まりや襲撃、そして殺害に対し
て心からお詫びします。彼らが心の中で僕を許してくれますように。
自分の自由を失うのではないかと不安だったことも、最初から戦争を拒否しなかっ
た理由の一つだ。服役中のいま、自由にもいろいろあるんだということ、そして、僕
はこうして閉じこめられているけれど、大切な意味で自分は自由だということが、分
かった。良心に従うのを恐れながら手にする自由の何がいいんだろう? 自分らしく
行動して生きていけない自由の何がいいんだろう?こうして牢屋に閉じこめられては
いるけれど、今までこれほどい ろいろな面で人間らしいと感じたことは、なかった
。僕は自由な人間として牢獄に座っている。
というのも、僕自身が、もっと次元の高い力、つまり、自分の良心の声に従っている
からだ。
独房にいる間に、ナチスドイツを拒否し、抵抗した結果処刑されたアルブレヒト・
ハンスホーファーの書いた詩を読む機会があった。この詩は、死を待つ間に書かれた
ものだ。
有罪
法の前の罪の重さは、私の肩にはこたえない
人民に対する私の義務は
ナチスに対する陰謀を企てることだったからだ
そうしなければ、それこそ犯罪者となっただろう
私は有罪だ、君が考える理由からではなく
自分の義務をすぐに果たさなかったから
悪いことは、名指しで、もっとはっきりと言うべきだったのに
糾弾するのを長くためらいすぎたから
今、心の中で自分自身を告発する
自分の良心をあまりにも長いあいだ裏切ってきた
自分自身をそして仲間を欺いてきたと
悪のたどる道は、最初から分かっていた
わたしの警告の声は低く、明快でもなかった
今、自分にもよく分かる、私の罪が何だったのか
沈黙を守り続けている人たち、自分の良心をごまかしている人たち、悪いことを悪い
と、もっとはっきり言わない人たち、そして、拒絶し抵抗するところまで十分にたど
りついていない仲間達に、「前に出ておいでよ」と言おう。「もっと自由に考えよう
」と。みんなで自由な頭と柔らかな心で、傷ついた人々をいやし、武器を手放し、戦
争を終わらせて人間としてもう一度主張しよう。
(全訳 佐光 紀子/TUP)
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