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猛犬に注意! グッシュ・シャローム論説 [TUP速報]
http://www.asyura2.com/0502/war67/msg/887.html
投稿者 white 日時 2005 年 2 月 28 日 22:28:52: QYBiAyr6jr5Ac

□猛犬に注意! グッシュ・シャローム論説 [TUP速報]

 http://groups.yahoo.co.jp/group/TUP-Bulletin/message/508

中東で最大の占領国2国がシリアに占領をやめろと要求しているという皮肉・・・
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「パレスチナ子どものキャンペーン」より、イスラエルの平和団体“Gush Shalom”
のウリ・アブネリによる最新論説をご紹介します。 レバノンのハリリ前首相暗殺や
イランへの威嚇など、アメリカとイスラエルが目論む次なる戦略に関し、さまざまな
憶測が飛び交う中、歴史と情勢を踏まえて俯瞰した説得力のある文章だと思います。

            パレスチナ子どものキャンペーン常務理事・大河内秀人
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19.2.05

  猛犬に注意!  
                         ウリ・アブネリ

ロットワイラー犬(気性の荒いドイツの大型番犬)を誇示するのは、あまり褒められ
たものではない。しかも飼い主が敵に対して犬を放すと脅しているとなれば。しかし
これが中東の現状だ。

 チェイニー副大統領は数週間前に、イランがもし核開発能力をこのまま発展させる
ならば、イスラエルはイランを攻撃するかもしれないと威嚇した。 今週になって、
ブッシュ大統領は、これを繰り返した。もし自分がイスラエルの指導者だったならば
、イランを脅威に感じるだろうと、明言したのである。米国はイスラエルの安全を脅
かす者に対してその防衛には米国が責任を負うと、ちょっと鈍い連中にも分からせる
ためだ。これは一連の明確な警告である。もしイランが米国の命令に従わないならば
(そして多分、たとえ従ったとしても)イスラエルは米国の支援の下イランを攻撃す
るだろう。ちょうど24年前にイラクの原子炉を攻撃したように。

同じ週、予想されなかった事態が発生した。シャロンが参謀総長のモシェ・ヤアロ
ンをお払い箱にしたのである。その後任はおそらくダン・ホルツ将軍だと見られてい
る。
 ホルツといえば、もちろんあの1981年のイラク原子炉攻撃に参加したパイロットで
ある。もしホルツがヤアロンの後釜に座るとなると、イスラエル国防軍の歴史上初め
て、空軍出身者が参謀総長に任命されたことになる。これは非常に興味深いことであ
る。今年、軍は地上での非常に難しい作戦を実行に移すことを要求されている。すな
わちガザからの入植地の撤退である。にもかかわらず空軍の将軍が参謀総長に任命さ
れるということは、軍は空中でもっと重要な作戦を計画しているというヒントと考え
られないだろうか。

 余談ではあるが、ヤアロンの解任に涙するものはいない。ヤアロンこそがこの3年
間、軍のおこした全ての悪行に責任があるからだ。13歳の少女にとどめを刺し、武装
メンバーを殺害するための軍事行動ではその隣人を盾として兵士の前を歩かせるとい
った類の全てである。しかし、ヤアロンの後任がホルツだとすれば、ひどい連中が解
任された後にはもっと性悪な後任がつけられるという、非常に悲観的な公式があると
しか思えない。

 ホルツとは誰だかわからない人のために一言付け加えると、ホルツ(ヘブライ語で
開拓者を意味する)は、空軍がハマスの指導者の住むアパートに1トン爆弾を落とし
、本人の他に9人の子どもを含む15人が殺された事件の後に物議をかもした張本人で
ある。住宅地に巨大な爆弾を落とした責任を問われたホルツは、「取るに足りない落
下」と答え、その後もよく眠っていると付け足した。同時に、我々「グシュ・シャロ
ーム」(イスラエルの平和団体)が戦争犯罪に反対していることを中傷しただけでな
く、反逆罪で裁判にかけるべきだとまで要求したのである。

余談はここまでにして、ブッシュ・チェイニー組と番犬に話を戻そう。 ブッシュ
が大統領にはじめて当選した時、ネオコンの連中は、アメリカ帝国の中東における支
配を拡大する以下のような一大計画を提示した。
第一に、イラクを征服して、その莫大な石油資源を支配し、カスピ海石油とサウジ
アラビアの結節点に米国の要塞を設けることである。 第二に、イランの現体制を破
り、イランを再びアメリカブロックに戻すこと。 第三に、シリアとレバノンも同様
である。ただしイランが先かシリアが先かはまだ決められない。

 イラクにおける米国の冒険主義の経験は、次の段階では無効になるといって間違い
ないだろう。イラク人は占領者を花で迎えたりはしない。イラク侵攻の口実は、例の
サダムの大量破壊兵器だったが、それが露骨なウソだったことが暴露されている。そ
して武装した暴動が続いている。最近の選挙を見ても、イラク国家の将来は危ういバ
ランスの上に成り立っているのが分かる。もしイラクが三つに分裂すれば、中東には
大きな地震波が生まれるだろう。

 こうしたことから、ブッシュはこれ以上冒険主義の危険を冒さないだろうというお
めでたい人もいる。しかしそれは間違った見方だ。 第一に彼のような幼稚で独り善
がりな人間は、決して失敗を認めない。冒険の一つが失敗しても、その結果は、もっ
と危ない冒険に駆り立てるだけである。 第二に、失敗によってイラクでは実に多く
の犠牲者が出て、また生活基盤が破壊された。しかしそんなことは作戦の立案者にと
ってはどうでも良いことなのである。第一の目的はそこに要塞を作ることであり、そ
れは達成された。イラク以外では、米国兵士はイラクから撤退すべきだという声はほ
とんど聞かれない。そして、今後どんなサボタージュがあったとしても、すでにイラ
ク石油は米国の支配下におかれた。ブッシュ一族のパートナーである石油王たちは満
足しているのである。

ヨーロッパとロシアはブッシュの行く手を遮ろうとしてきた。ブッシュはいまEUと
NATO諸国を公式訪問し、甘言と威嚇で、その冒険に協力するよう働きかけている。 
従って、番犬をけしかけるというブッシュとチェイニーの脅しを、我々は真剣に受け
止めなければならない。この方針で行くと決めたら、彼らはシャロンにサインを送り
、シャロンはその義務を果たすだろう。その見返りにパレスチナからもっとたくさん
の土地をむしり取ることを米国が許すならば。

それでは軍事行動はアヤトラ体制を崩壊させるだろうか? その点については疑問
に思う。大嫌いな体制であっても、外部からの攻撃、特に「十字軍とシオニスト」に
対峙すれば、イラン人たちは統一されるだろう。イランのように栄光の歴史を持つ誇
り高い国民を打ち破るのは容易ではない。

シリアは違う意味での標的である。イラクやイランと違いシリアには石油資源は
無い。しかしシリアがいなければ米国帝国は拡大できるし、シリアはイスラエルの障
害物である。
 1967年戦争で、イスラエルはゴラン高原を征服した。この場所はそれまで「シリア
高原」とイスラエル人に呼ばれていた。そこにあった多くのシリアの村は一掃され、
地上から姿を消し、その後にイスラエルの入植地が作られた。しかしシリア人たちは
決してこの土地を諦めたりしていない。1973年にはシリアは戦争によって取り戻そう
としたが、初期の大勝利にもかかわらず結局敗北した。それ以来、軍事力のバランス
はそれまで以上にイスラエルに有利となった。それゆえシリアは別の手段を講じるこ
とになった。その代理人を使ってイスラエルに脅しをかけているのである。ヒズボッ
ラーとパレスチナ急進組織のリーダーはダマスカスに住んでいる。
ゴラン高原の支配を永続化するために、イスラエルはシリアを打倒しなければなら
ない。そして驚くべきことにワシントンにいるネオコンも同じ目的を共有している。
そのための口実はシリア兵がレバノンに駐留していることである。

 歴史的にレバノンはシリアの一部であった。ダマスカスはフランス植民地主義が20
世紀初頭にレバノンを分離して国を作ったことを決して承認しているわけではない。
レバノンを従属国として認めているだけである。 シリア軍は1976年にレバノンに入
った。恐ろしい内戦の絶頂期だった。イスラム教徒とドルーズ派は、PLOの協力を得
ながらキリスト教徒地区の攻撃を続けた。シリア軍を呼んで、自らの安全を図ったの
はキリスト教徒であることを忘れてはならない。それ以来シリア軍はレバノンに駐留
している。レバノン人の多くが、シリア軍がいなくなると内戦が再発すると恐れてい
る。
 1982年、イスラエルはレバノンからシリア軍を追い払おうとした。これが軍部の第
一の目的であった。(パレスチナ人を放逐しようとしたシャロン(当時の国防相)とは
温度差があったのだ。)しかしレバノン侵攻は当初の目的を達成できなかった。最終
的ににイスラエルが放逐され、シリアは留まった。

 今週、レバノンのイスラム教徒のリーダーであるハリリ前首相がベイルートで暗殺
された。ハリリは最近になって「(対シリア)反対派」に参加した。犯人はまだ分か
っていない。米国の巨大なプロパガンダ装置とイスラエルのメディアはシリアが犯人
だと指差している。もし本当にそうだとしたら、最高に馬鹿げている。というのはこ
の事件は、明らかにレバノンの「反対派」に対する米国の影響力を強め、反シリア感
情の嵐を呼び起こしたからである。事件は「シリアの占領を終わらせよう」というス
ローガンを掲げた反シリアキャンペーンに利害関係がある者にとって、まさに最も都
合の良い時に起こった。

 それにしても、この要求には思わず笑ってしまう。主張しているのが誰あろう二大
占領者だからである。つまりイラクを占領している米国とパレスチナを占領している
イスラエル。しかしロットワイラー犬にも、その綱を放すぞと誇示している者にも、
ユーモアのセンスなど皆無なことだけは確かである。

(翻訳:パレスチナ子どものキャンペーン)

原文:http://www.gush-shalom.org/english/index.html

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