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神浦元彰(軍事アナリスト)の「J−RCOM」
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450人、自衛隊の安全確保 豪、イラク南部に増派 小泉首相が要請 (朝日 2月22日 夕刊)
[概要]オーストラリアのハワード首相は22日、小泉首相の要請を受け、イラク南部に450人の機甲部隊や歩兵を増派する方針を発表した。サマワのムサンナ県では1400人を派遣しているオランダ軍が撤退し、その後に600人の英軍が治安維持の役割を引き継ぐことを表明している。ハワード首相はブレア英首相からも要請があったという。これを受けて細田官房長官は、「非常にありがたいことだ。日本政府としては歓迎し、高く評価する」と述べた。しかし英軍はオーストラリア軍の派遣予定を受け、600人の派遣を150人に派遣規模を縮小する方向で調整するという。
[コメント]英国ではイラク派遣への批判が高まっている。オランダ軍の撤退が決まった後、英国のフーン国防相は英下院で、「英軍が展開規模を拡大することはない」と答弁している。英軍のいる南部シーア派地域でも、地域の治安情勢が悪化し、撤退の時期さえ示せない政府に国民の不満が高まっているからだ。そこに英軍がオランダ軍の後を担うには無理があったようである。
そこで気になるのは、オーストラリア軍が英軍に代わり、なぜ手を挙げたかといういう点である。ここには東アジアや東南アジアにおける、対中国への対抗意識があると私は指摘する。東南アジアには中国経済の影響力が飛躍的に高まっている。オーストラリアとしては中国に東南アジアから排除される立場である。そして日本は東アジア共同体構想(ASEAN+3)のように、中国の経済進出を真正面に受け止める立場になった。そこで日本とオーストラリアが肩を組み、中国のアジア進出に対抗する下心がある。そのために連携を強める派遣である。むろん背後に、アメリカの意志が強く反映していることは言うまでもない。
これを機会に、東南アジアや東アジアで、自衛隊とオーストラリア軍の連携が強まることになる。在沖縄海兵隊の一部も、オーストラリアに移転するという。日米豪の軍事同盟が、アジア進出を狙う中国の防波堤にする気なのか。
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