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(回答先: レバノン前首相ハリーリー爆殺で万全策を講じていた欧州警備企業に衝撃 謎深まる [ML アラブの声] 投稿者 white 日時 2005 年 2 月 16 日 19:30:27)
http://www.kamiura.com/new.html
レバノン 「反シリア」 広がる 前首相葬儀 に市民数万人 (朝日 2月17日 朝刊)
レバノン前首相テロ 米、対シリア圧力強化 大使召還 イラク 情勢安定狙う (産経 2月17日 朝刊)
[概要]レバノンで暗殺されたハリリ前首相の葬儀が16日、首都ベイルートで行われ、数万人の市民が参加した。葬列の市民たちは「シリアは出て行け」と叫んだ。フランスのシラク大統領がこの葬儀に参列した。レバノンでは70年代からシリア軍が駐留して政治に介入し、存在感を示していた。そのためレバノン各派でも親シリアと反シリアに分かれ、反シリア感情を抱く市民も多い。(以上、朝日新聞より)
[概要]アメリカはハリリ前首相の爆弾テロ事件を受け、シリアのアメリカ大使を一時召還した。さらにシリアに経済制裁を強化する構えも見せている。米政府はシリアがイラクで活動するテロリストの潜伏先と見ており、シリアへの圧力を強めている。ブッシュ政権は暗殺されたハリリ前首相はシリア軍のレバノン駐留に反対しており、テロ事件の背後にシリア軍駐留問題があると見ている。しかしハリリ前副首相はサウジで建設業で成功した後にレバノンに帰り、シリアがレバノンの実効支配を確立した90年代(内戦終了後)に首相に就任しており、シリアのアサド大統領とのパイプは太い。またハリリ首相がシリア軍撤退を明確に求める発言をしたことはない。権謀術数が渦巻き、激動のレバノンで富を築き、生き延びてきたハリリ氏が、シリアに暗殺されたと単純に考えるのはナゾが多い。(以上、産経新聞)
[コメント]イラクに駐留する米軍にとって、シリアは喉から手が出るほど欲しい国 (地域)である。いつも言うように、地中海とイラクを陸路で結ぶことができるから だ。そのシリアの最大の弱点はシリア軍のレバノン駐留である。これは激しい内戦の続いたレバノンで、隣国のシリア軍が駐留して治安を安定させるという効果があった。しかし治安が安定してくれば、外国軍の強引なレバノン駐留というイメージが高まってくる。これが逆にシリアの弱点となるのである。
このような場合、暗躍するのはCIAである。爆弾テロ事件は、直接、CIAが手を 下さなくとも、レバノンの反シリア勢力を利用することもできる。そして米政府はシリアの米大使を召還して、爆弾テロの背後にシリアがいると印象を強くする。まあ、CIAの手口としては古典的な謀略術である。特にベイルートはレバノンやシリアのみか中東の橋頭堡として、以前からCIAが活動の重要拠点として都市である。
私は産経新聞の記者が書いた「単純に爆弾テロの陰にシリアというのは疑問」という説に近い。これは米軍に頼らないシリア占領を目指し、まずは橋頭堡のレバノンを押さえる米政府の動きと考えている。おそらくフランス政府(仏情報機関)も同じように考えているだろう。このテロ事件はアメリカのシリア征服の初動作戦という見方である。だからシラク大統領をハリリ氏の葬儀に派遣し、アメリカの暗躍をけん制しているのである。
シリア政府と暗殺されたハリリ前首相の関係だが、私はシリアが暗殺するほど関係が悪化していたとは思わない。内戦で建物が破壊されたレバノンで、シリア軍を駐留させて治安を回復するというのは、建設業で大儲けしたいと考えるハリリ氏にとって正常な思考である。警備員をタダで雇うようなものである。しかし米軍のイラク駐留でレバノン駐留は高く売れるようになった。そのような心の変化をCIAは利用したのではないか。また、アメリカに狙われているシリアは、ハリリ氏暗殺が行えるほど余裕がない。あまりにリスクが高すぎる。
私はこの爆弾テロはシリアがやっという見方は、あまりにも単純で危険な見方と指摘しておきたい。しかしレバノンでは反シリア熱が高まるのは間違いない。