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2月15日 05年31号 ◆ 米国の世界戦略と日本の勘違い
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◆ 米国の世界戦略と日本の勘違い
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◇◆ 米国の世界戦略と日本の勘違い ◆◇
日米関係さえ良好に維持していれば日本は安泰だ、だから何があっても米国との関係を損ねてはいけない。これが戦後の日本外交の一貫した基本方針であった。そして小泉首相になってからの米国追従ぶりは、みずから嘲笑気味に語るように、「尻尾がちぎれんばかりに」絶対的に米国の言いなりになっている。
しかし小泉首相は、そして外務官僚は、米国の本心をどこまで知っているのか。米国の国益重視の政策についてどこまで十分な情報を持ち、冷徹な分析を行っているのか。
元NHKの米国総局長やハーバード大学客員教授を歴任し、現在はハドソン研究所の主席研究員という肩書きの日高義樹という専門家がいる。その彼が再選後のブッシュ政権の戦略について最近立て続けに発信している。「2005年、ブッシュは何をやるのか」(徳間書店)、「アメリカ世界戦略図」(別冊宝島)がそれである。その彼が2月26日号の週刊現代で、「ブッシュは日米安保を骨抜きにする」と、彼の持論を展開している。そこで語られているのは我々がさんざん聞かされ、そのつもりにさせられてきた、「米国は日本を守ってくれるから、米国に従うしかない」という政府の認識とは、まるで異なる米国の正体である。
以下その主要点を列記する。
1. ブッシュが目指すものはポスト冷戦後の新たな国際秩序であり、それは「アメリカ一人勝ち」の舞台づくりである。「独立戦争」、「南北戦争」、「ファシズムとの戦い」、「共産主義との戦い」、そして「テロとの戦い」に見られるごとく、米国は常に敵と「戦う国」であり、アメリカ国民は戦う指導者を尊敬する。
ブッシュ政権の軍事優先一国主義の現れの一つが、国防総省の機能強化だ。従来は国務省(外交戦略)、国防総省(軍事)、CIA(情報・工作)の三権分立体制をとってきた。しかし今後はすべての役割を国防総省が握る事になる。日本に対する配慮を多少なりとも心がけてくれた国務省の地盤沈下で、アメリカの日本に対する態度は従来のものとは全く異なるものになる。
2. 中東におけるブッシュの敵は反米テロ、パレスチナ過激派である。そのためシリア、サウディアラビア、イランを次の標的とし、そのためイラクに第2のペンタゴンともいうべき軍事基地をつくって中東全体を睨む。
3. 6カ国協議が不調に終わったら、経済封鎖、軍事攻撃の順で北朝鮮を制圧する。アメリカの抑止力に中国は身動きが取れない。中台戦争はアメリカが抑止する
4. アメリカと一心同体のイギリスは欧州の要。アメリカは東欧を従属させドイツ・フランスと決別する。
5. ブッシュ大統領の世界戦略の一つは世界の石油を意のままにすることである。カスピ海の石油をめぐりロシアはアメリカの「朋友」となる。
6. ブッシュの「本音」は日米安保体制を通じた日本封じ込めだ。ブッシュ大統領は大統領選挙の直後、世界戦略についてイギリス、スウェーデン、フィリピン、タイの首脳と意見交換したが安保条約を結んでいる日本の小泉首相とは突っ込んだ意見交換などしなかった。日本の首相が誰であれ問題ではないのだ。2月2日に行われたブッシュの一般教書演説には「日本」という単語がただの一度も登場しなかった。日本の経済力は必要としているがアメリカに対抗する政治力は日本に求めていない。
7. 米国の極東戦略にとって今後もっとも重要になるのはグアム島だ。原潜も、海軍の特殊部隊「シールズ」も、第7艦隊も、沖縄の海兵隊も、テロとの戦いに備えてグアムに結集する。それでも自由に使える日本の米軍基地は返さない。緊急事態が起きたときの最前線基地として自由に使えるし、ゴルフ場や住宅もある。日本の安全保障や極東の安定の為ではなく、アメリカの利益の為に存続させる。
8. ブッシュ政権のエバンス商務長官は、「貿易赤字が増えたらドルを刷って渡せばよいだけのことだ」と発言している。アメリカがおそれているのは中国人民元と日本円を中心としたアジア経済圏だ。それを押さえ、二つの国に稼がせてアメリカに投資させる。日本と中国がアメリカと貿易を続ける限りアメリカは超然と出来る。フランスとドイツの凋落によりユーロはアメリカの脅威にはならない。
このようなアメリカの戦略が思い通りに実現するかどうかは世界情勢の推移にかかっている。しかし少なくともこれが米国の正体であることは知っておく必要がある。この米国の正体を知った上で小泉首相や外務官僚が無条件の米国追従を繰り返しているとすれば売国的である。もしこの米国の正体に気付くことなく「米国は日本にとって最良の同盟国だ」と信じているのならとんだお人好しだ。
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