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米軍再編 神奈川の市議アンケート
東京新聞が実施した神奈川県座間、相模原、大和、綾瀬市の各市議へのアンケートには、党派を超えて、基地と向き合う日常から切実な声が上がった。米軍再編の日米協議が月内にも本格化するとみられる中、沖縄県に次ぐ“基地負担の最前線”の声の背景を追った。 （横浜支局・米軍再編問題取材班）
アンケートでは六割の日米同盟肯定派と、四割の縮小・解消派に分かれた。肯定派は、中国や北朝鮮の動向を踏まえ、在日米軍の存在を容認する意見が多かった。縮小・解消派は、多国間の安全保障体制構築に努めるべきだとの主張や、米国の紛争介入に巻き込まれることを心配する意見がめだった。ただし肯定派、縮小・解消派を問わず、地元の基地への反対姿勢は共通していた。
四市の総人口は百五万人強。政令市の仙台市や北九州市を上回る。街の中に広がる基地は、街づくりを制約するだけでなく、騒音被害や事故の危険がつきまとう。米軍機の不時着や部品などの落下事故は絶えず、過去には県内で戦闘機などの墜落が六十件以上あり、一般市民から多くの死傷者を出した。
「再編で沖縄の負担軽減が焦点となっているが、過重な負担はこちらも同様だ」と相模原市の保守系市議。
さらに反対の声を強める背景の一つといえるのが、米軍側に破格の待遇を与えている日米地位協定に対する日常的な不満や不信感だ。
相模原市では一九九九年、米陸軍施設相模総合補給廠（しょう）で有害物質ポリ塩化ビフェニール（ＰＣＢ）廃棄物を保管していたことが問題化。二〇〇〇年に市や県が立ち入り調査を求めたが、協定の壁に阻まれ実現するまでに二年かかった。
大和、綾瀬市にまたがる厚木基地に配備されている空母艦載機の飛行訓練は、何度も騒音訴訟判決で「受忍限度を超える」と違法性が指摘されたが、飛行差し止めは認められたことがない。
ほかにも、回答者の意見には「自動車税などの優遇は問題」「基地の外の事故で日本の警察が調べられないのはおかしい」などの指摘があった。会派を問わず「いつまでも米国の属国のような位置づけはおかしい」といった記述も少なくなかった。
政府の情報提供の在り方についても、市議の間に不満が強いことがうかがえる。保守系大和市議は「すべて明らかにしては交渉が成立しなくなるのは理解できる」としながら「もっと国民の声を聞くシステムを構築して」と注文する。
再編問題に限らず、地位協定の運用を協議する日米合同委員会では地元の意見を反映させる場がないこともあり、相模原市の保守系市議は「地元を蚊帳の外に置いて、何でも勝手に国が決めて良いものではない」と不信感をあらわにした。
■地元住民の立場で改善考えよ
地位協定問題に詳しい国際法学者・本間浩法政大教授の話 アンケートの回答で地域の声を日米交渉に反映させる仕組みが必要との意見があったが、重要な指摘だ。外交も市民の声を足場にして交渉をすべきだ。地位協定について、他国と比べて不利ではない、との意見もあるが、ドイツのボン協定＝駐独ＮＡＴＯ（北大西洋条約機構）軍の地位協定＝は、軍施設返還の基準として住民利益の視点が盛り込まれている。日米協定には返還原則そのものがない。国は住民の立場から改善を考えなくてはならない。
■アンケートの概要
米軍再編など５つのテーマについて、５つの選択肢から回答を選び、理由を記述してもらった。また、自由意見の記述欄を設けた。質問の（４）は座間、相模原両市、（５）は大和、綾瀬両市の議員を対象とした。
（１）米軍再編の日米協議について、政府は自治体に十分に説明しているか
（２）日米同盟の今後のあり方 「現状維持」が４３．２％、「解消すべきだ」が２４．７％、「縮小すべきだ」が１５．４％、「どちらかといえば」を含む「強化すべきだ」は１５．３％。
（３）日米地位協定の問題を経験上感じたことがあるか
（４）キャンプ座間の米陸軍第一軍団司令部移転の賛否 「反対」が８９．８％、「どちらかといえば反対」が８．４％。
（５）厚木基地の夜間離着陸訓練（ＮＬＰ）問題をどうするか 「硫黄島での全面実施」が７１．０％、「その他」（米本土、新たな洋上施設建設など）が１８．４％、「国内の別の基地への移転」は一部、全部を合わせて１０．４％。
（注）少数回答は省略
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20050215/mng_____kakushin000.shtml
（＊新聞一面の記事はネットにはないので省略）
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。