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自衛隊法改正案きょう国会提出 手続き簡素化へ
MD、課題は迎撃・探知 ノドンに対応できず
北朝鮮の弾道ミサイルに対処するミサイル防衛(MD)で、迎撃手続きを簡素化する自衛隊法改正案が十五日、閣議決定され国会に提出される。ソフト面の課題は克服され、MDシステムの十八年度末からの配備に向け、自衛隊の装備調達も進み期待が高まる。だが、迎撃・探知能力などハード面では課題が残されている。
北朝鮮の弾道ミサイル「ノドン」は、二発のうち一発は半径二・五キロ内に着弾。射程は約千三百キロで、日本のほぼ全域に届く。防衛庁は当面、海自のイージス艦四隻を「MD艦」に改修し、空自は戦闘機などを迎撃する地対空ミサイル部隊として全国に配置する六個高射群のうち、三個を「MD部隊」に充てる。
迎撃は二段構え。イージス艦がスタンダードミサイル3(SM3)で大気圏外で撃ち落とし、失敗すれば、大気圏内に落下した段階で高射群がパトリオット3(PAC3)で迎撃する。SM3は「半径数百キロの防衛が可能で、日本海に二隻のイージス艦を配置すれば全国をカバーできる」(防衛庁幹部)。
一方、PAC3の迎撃範囲は半径約三十キロと狭いため、「首都圏や重要拠点の防護が中心」(空自幹部)。軍事評論家の江畑謙介氏は「北朝鮮の動向を注視し、二隻と限定せず、日本海にイージス艦を集中配備する態勢も検討すべきだ」と強調する。
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ノドンは約十分で日本に着弾する。防衛庁はSM3とPAC3の射程などから、迎撃可能な時間を「SM3は数分、PAC3は数十秒」と見積もる。「SM3の迎撃可能時間は、イージス艦を適切な海域に配置し、ミサイルの飛来方向も事前に探知しておくことが前提」(海自幹部)となる。
平成十年に日本列島を越え太平洋に着弾した「テポドン1号」が発射された際、海自のイージス艦は軌跡をレーダーで探知した。米側からミサイル発射の兆候があるとの情報がもたらされ、イージス艦が出動していたために探知できた。
だが、固定サイトから発射されるテポドンと違い、ノドンは車両に搭載される移動式ミサイルで、「事前に発射場所や兆候を特定することは格段に難しい」(防衛庁筋)。米国はミサイルの発射自体をいち早く探知するため、発射時に放出される赤外線を探知する「早期警戒衛星」で、上空から地表も監視している。
現状ではこの警戒衛星の情報が日本に提供されるのは、米軍の情報分析を経た上での四十分後となり、ノドンには対応できない。「生の情報を提供してもらえるよう米国と協定を締結するか、自前で警戒衛星を打ち上げることも検討すべきだ」(江畑氏)との指摘もある。
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日本は米国が開発してきたシステムを導入するため、米軍の発射試験に注目。一昨年十二月、ハワイ沖での米海軍の迎撃試験では、五回のSM3発射のうち四回成功した。PAC3も一昨年のイラク戦争で短距離弾道ミサイル二発を迎撃するなど、実用化にメドがついたという。
「米軍の試験はターゲット役のミサイルが想定どおりの軌道を描いている」(軍事アナリスト)として、実戦での迎撃精度を疑問視する声もある。実際のミサイルは弾頭から、おとりとなる金属片をばらまくなど、迎撃ミサイルの識別機能を無力化する可能性があるためだ。
だが、北朝鮮は現時点でおとりの機能を持たせた弾道ミサイルの保有は確認されておらず、江畑氏は「100%とはいえないが、北朝鮮を念頭にした迎撃能力は米軍の試験で証明されている」としている。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/15pol002.htm