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2月13日 05年29号 ◆ 破れたり、小泉訪朝外交!
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◆ 破れたり、小泉訪朝外交!
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◇◆ 破れたり、小泉訪朝外交! ◆◇
北朝鮮外務省は10日、核問題を巡る6カ国協議への参加を無期限中断するとの声明を発した。そして米国の敵視政策に対抗するために核兵器を製造したと明言した。11日の各紙はいずれも一面トップの大見出しでこのニュースを報じ、その後もメディアがこの問題を報じ、論じ続けている。
北朝鮮のこの声明は衝撃的である。この声明を一番詳しく翻訳して紹介していたのは11日付産経新聞であった。これをよく読むと米国に対する挑戦状ではないかと思えるほど過激である。ブッシュ大統領の就任演説や年頭教書、ライス国務長官の発言などを引用し、「・・・米国が平和共存政策へ政策転換するのであれば核問題も解決されうると提案していたにもかかわらず、第二期ブッシュ政権になってもわが国を敵視し、それにも飽きたらずわが国を暴圧政権と決めつけ圧殺しようとしている。もはや6カ国協議を行う名分さえなくなったので6カ国協議への参加を無期限、中断する・・・」と明言したのだ。しかも「・・・自衛のために核兵器をつくった・・・」と核武装をはじめて公式に認めた。
米国が困難な選択を迫られることは間違いない。核兵器がテロに渡ることを最もおそれている米国は、イランと北朝鮮の核武装化を何があっても阻止したいと考えている。しかしイラクにてこずる第二期ブッシュ政権はこれらの国に直ちに強硬手段をとるわけにはいかない。とりあえず6カ国会議に引き戻すべく関係国の協力を呼びかけるしかない。しかし、平静を装ってはいるが、「自由と民主主義の全世界への拡大」を掲げて始動した第二期ブッシュ政権は顔に泥を塗られたのだ。北朝鮮の対応如何では米国の出方は硬化することはありうる。情勢はまったく不明である。
はっきりしている事は日本の外交が北朝鮮の外交の前に屈したということだ。北朝鮮外務省の声明はその殆どが米国向けのメッセージであるが日本についてもわずかに触れている。その日本に関する部分こそ日本外交の敗北を象徴している。「・・・米国に追従してわが共和国に対する敵視政策に執拗にしがみついている。すべて解決した『拉致問題』に言いがかりをつけ、偽遺骨問題まででっち上げて朝日平壌宣言を白紙化し国交正常化を行わないという日本と、どうして一同に会して会談できようか・・・」
このような声明を前にして、今日本は国を挙げての大論争が続いている。感情的にならずに冷静に対応すべきだと言うのはその通りだ。しかし冷静な対応すら誰も確たる考えを述べていない。日頃は相手の政策を批判しあう与党も野党もこの問題については対立した論争にならない。どうしていいのか誰もわからないのだ。
私は敢えて次の点を強調しておきたい。
まず指摘したいのは、2年半続いた小泉訪朝外交の嘘が今度こそ白日の下にさらされたということだ。北朝鮮が日朝平壌宣言に完全に違反していることは宣言文を読めば誰が見ても明らかだ。それにもかかわらず小泉首相が金正日総書記に文句を言わないのは言えないからだ。金正日総書記と裏取引をした小泉首相には「対話と圧力」というしか発する言葉がないのだ。小泉首相の意向に従うしかなかった外務官僚は外交を行う能力をとうに放棄しているのだ。小泉首相を弁護する塩川正十郎元衆議院議員に至っては、12日のテレビで「サッカーに負けたから腹いせにあんな声明を出したと思う」とやけくそ気味に語って皆からたしなめられていた。もう我々は日本外交の責任者を総交替して一から出直さなくてはならない時期に来ているということだ。
我々がなすべきことはなにか。それは核の放棄を北朝鮮に求める事ではない。拉致された日本国民の返還であることを北朝鮮に求めることなのだ。これほど人権を無視したものはない。これほど平和を脅かすものはない。このことを我々は世界に訴えるべきだ。国連の場に提起して世界の理解と協力を得ながら拉致被害者を救済する事だ。勿論その前提として日本は過去の誤りを謝罪し正当な補償のもとに国交正常化を実現する用意があることを明言しなければならない。拉致被害者の救済を求めるということは、言い換えれば日本は平和を愛し人命を尊重する国であることを北朝鮮や世界に示すことである。核兵器問題をことさらに取り上げて北朝鮮をいたずらに追い込む事ではない。この認識が小泉首相には決定的に欠けているのだ。
6カ国協議とは何か。あれは北朝鮮に核放棄を求める米国が中国を巻き込んで北朝鮮に圧力をかける場である。北朝鮮が望むのであれば日本は6カ国協議から外されたって構わないではないか。そもそも核問題について日本は何の影響力もない。すべて米国に任せるしかないのだ。そのかわり拉致問題だけは日本は北朝鮮に譲れない。核問題における6カ国協議の結果はどうであれ、拉致問題は日本と北朝鮮の問題であり両国間で話し合う問題だと公言すべきなのだ。
それにしても核兵器を独占し世界を軍事力で支配しようとする米国や、核大国の中国やロシアに北朝鮮の核廃棄を求める説得力がどこまであるというのか。日本こそ世界の核廃棄に向けて米国の率先した核廃棄を求めるべきではないか。そう発言して初めて日本は北朝鮮に対しても強い立場に立てるのではないのか。
最後にどうしても指摘しておきたいことがある。北朝鮮の脅威論が騒がれる中で日本の安全保障政策が急速に危険な方向に進んでいることである。2月19日にはワシントンで二年ぶりに日米両国の外務・防衛担当大臣による日米安保協議委員会(2プラス2)が開かれ、そこで米軍基地再編の基本方針となる「共通戦略目標」が共同声明として発表されると報じられている(12日読売新聞、13日産経新聞)。また米海軍のクラーク作戦部長は10日米上院軍事委員会の公聴会で、横須賀基地を母港とする空母キティホークを退役させた後は原子力空母の配備が必要になると発言したと報じられている(12日付産経新聞ほか)。国内では北朝鮮の脅威に対抗するために日本も核武装をすべきだなどという意見まで出始めた。北朝鮮声明をめぐる大騒動の中で、平和な日本が崩れつつある。引き返す事が出来ないほど軍事国家米国の言うなりの国になりつつある。今一度冷静に日本の将来を考える時だ。
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