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media@francophonie フランス語圏プレスの記事の紹介と翻訳
http://blog.livedoor.jp/media_francophonie/archives/13403954.html
2005年01月31日
イラク選挙、世界の反応
Les elections irakiennes provoquent une satisfaction internationale nuancee
国際社会の複雑な満足を引き起こしたイラク選挙
1月31日付け ル・モンド‐AFP
元記事はこちら
http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3218,36-396199,0.html
日曜日、注目されたイラク選挙の投票が終了しました。各紙とも大きく紙面を割いていますが、論説以外自社記事はほとんどなく通信社ベースのものが大半です。その中から各国の最初の反応をまとめたル・モンド−AFPの記事をご紹介します。
(翻訳はじめ)
フランス:民主主義へのはじめの一歩
1月31日月曜日、フランス外務大臣ミシェル・バルニエはイラクにおける選挙が「イラク国民にとっての勝利」であり、民主主義へむけての「最初の重要な一歩」であると語った。
ラジオ局ユーロップ1で外務大臣はこう発言した。「これはイラク国民にとっての勝利であり、最初の重要な一歩であります。この選挙は、私たちが望んでおり、そのために私たち−国際社会という意味ですが−が数ヶ月前から働いている、民主主義と政治的プロセスのために必要不可欠なものです」
また外相は「民主主義と選挙という手段によってしか、この悲劇からイラクを救い出すことはできません」と付け加えた。
「もうじき、すぐに、憲法の起草という別の歩みが始まります。この憲法は、イラクにおける各民族・宗教グループのすべての利益を公平に反映させるものでなくてはなりません。憲法が承認され、2005年にもう一度選挙が行われたら、ようやくあの名高い第1546決議に予定されている外国軍の撤退への期が熟したことになります。イラク国民が端的にその主権を回復するための決議です」と外相は付け加えた。
外相はまた「今後取り組まれる予定の政治的プロセスはまだまだ脆弱なものです」と語り、国連の第1546決議の効力について何度も言及した。
午前中、選挙管理委員会のある幹部は、日曜日の選挙の投票率が選挙人登録者総数の60〜75%であると発表したが、現在のところ最終的な数字はまだ手元にないと語った。
いっぽう、ミシェル・バルニエはフランス人ジャーナリストフロランス・オブナとそのガイドの失踪についても触れ、こう語った。「2人を見つけ出すために、やらなければならないこと、できることのすべてに、政府も関係官庁も取り組んでいます」
欧州連合:「スンニ派を含め」なければならない
月曜日、EUの議長国を務めるルクセンブルグの外務大臣ジャン・アッセルボルンは「イラク国民の勇気に頭が下がる思いです」と発言した。「イラク国民は、彼ら自身にとってこの選挙が法治国家を打ち建てるために決定的な一歩であることを示しました。非常に前向きな兆候だと思います」
しかしながらアッセルボルン外務大臣は、イラクの新憲法起草に向けてイラク政府がスンニ派を取り込むよう、欧州連合が「イラク政府を説得するためにできることをすべてやる」所存だと語った。
アッセルボルン外相は日曜日の選挙でスンニ派の投票率が非常に低かったことを指摘し、これが憲法起草のための暫定新国会における「非常に重大な問題点」であると語った。
ルクセンブルグ外相はブリュッセルで開かれたEU外相会議に到着した際、以上の見解を表明した。
米国:ジョージ・ブッシュへの「激励」
アメリカ大統領ジョージ・W・ブッシュは、選挙に対するイラク国民の態度に自ら「非常に勇気付けられた」と語ったと、国務長官コンドリーザ・ライスは報告した。
アメリカのテレビ局フォックスの番組の中で、ライス国務長官は「数時間前に大統領と話し合いました。大統領はイラク国民から信じられないほど勇気付けられたと感じています」と語った。
ニューヨーク・タイムズ紙は月曜日、選挙が「めざましい成功」であったと報じ、投票箱に投票用紙を入れるために「死の危険をともなうカオス状態に果敢に立ち向かった」イラク国民の勇気を称えた。
ウォールストリート・ジャーナルは、ブッシュ大統領の政策を批判する陣営にとって今回のイラク選挙の成功は「明らかな屈辱」であると報じた。いっぽうワシントン・ポストはこの選挙はイラク国民の「信念と勇気を示すもの」であり、「イラク戦争に大義があるかという問いに対する一つの答え」であると書いた。
同紙はまた、米国は「生まれたばかりの民主的政権が定着するチャンスを与える」ために、米国はイラク国内での軍事的介入を継続するべきだと指摘した。
USAトゥデイ紙もまた選挙の「成功」を称えたが、だからといって「米軍が早期に撤退できることを意味するものではない」と警告した。
アジア:米国の同盟国は楽観的、中国は批判
アジアの多くの国々は、月曜日、イラク選挙が民主主義への重要な進展を示すものだと評価したが、中国はこの選挙が各民族・宗教グループ間の暴力と緊張が一層高まる前触れではないかと懸念を表明した。
イラクに軍隊を派遣しているオーストラリア、日本、韓国などの米国の同盟国は、この選挙がイラクの平和と安定化に向けた一歩前進だと歓迎し、暴力的な脅威にも関わらず投票率が非常に高かったことを強調した。
しかしアメリカが主導権をとった軍事介入に反対していた中国は混乱状態が継続する懸念を表明し、ワシントンに米軍撤退の日付けを明示するように呼びかけた。
60%近くに達すると見られている投票率を引き合いに出した、オーストラリアのジョン・ハワード首相は、この選挙が「民主主義という大義のために共に努力した各国の勝利だ」と発言した。
ダヴォスの世界経済フォーラムに出席中のハワード首相は「この結果を受けて、国際社会におけるイラク問題に関する論争の全体が恒久的に変化するのではないかと私は考えています」と発言した。
ロシア:イラク国民は選挙の結果を受け入れなければならない
ロシア大統領ウラジミール・プーチンが、月曜日、イラク選挙が「よい方向へ向けての一歩」であると語ったと、各通信社は報じた。閣僚会議の席で、プーチン大統領は「非常に困難な状況の中でこの選挙は実施された。しかしこの選挙は前向きの出来事であった」と発言した。
その少し前、ロシア外務大省の官房長官アレクサンドル・ヤコヴェンコは、日曜日の選挙後もっとも重要なのは、イラク国民が選挙結果を受け入れることだと語った。
テレビ局NTVの番組の中で、ヤコヴェンコ官房長官は「選挙結果が認知されなければ、イラク国内における国家再建の道筋においてイラク社会の融和は保証されえない」と発言した。
ロシア各紙は月曜日、イラクの選挙が「史上最も血塗られた選挙」であると批判し、米国がイラクを意のままに動かすのに今以上の困難をきたすだろうと報じた。国営紙ロシスカヤ・ガゼータは「血まみれの選挙:投票は行われたが戦争は続く」という見出しを出し、野党系の新聞ニザヴィシマヤ・ガゼータは、この投票が「イラクを爆風で吹き飛ばす可能性もあった」と強調した。
いっぽう中道系のイズヴェスチヤは「反体制派が約束していた通りに、今回の選挙は史上最も血まみれの選挙となった。数十名が殺害された。これがイラク風民主主義の対価なのだ」と報じた。自由主義系新聞フレミヤ・ノヴォステイは、この選挙が「イラク史史上もっとも奇妙な選挙」だと書いた。
同紙は「カミカゼも選挙にやって来た。イラクは国会と、民主主義なき自由を手に入れた」と指摘した。
(翻訳おわり)