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2月1日付・読売社説(1)
[イラク選挙]「国民自ら踏み出した大きな一歩」
民主化プロセスに、イラク国民自らが、大きな一歩を踏み出したということだろう。
二重投票防止用の青インクをつけた指を掲げ、男性が叫んだという。「危険を顧みず投票したイラク人への名誉の勲章だ」
イラク暫定国民議会選挙は、予想を上回る高投票率を記録して終了した。予告通り、バグダッドなどの投票所で、武装勢力による自爆テロが発生し、三十数人が犠牲になった。だが、国民は、総じてひるまなかった。
現代イラクで初めてとなる自由選挙を通じ、イラク国民は、国家再建への意思を明確に示した。
国際的にも、米英のみならず、イラク戦争に反対し、戦後政策でも両国と一線を画してきた独仏が、選挙を高く評価した。イラク支援を巡る国際社会の協調の輪を、一層強固なものにする契機となってほしいものだ。
ただ、選挙は、最初に乗り越えるべき関門に過ぎない。現実は、手放しで喜べるような状況にない。
高投票率は、人口で多数を占めるイスラム教シーア派やクルド人が、選挙に積極的に参加した結果だ、と見られる。
逆に、スンニ派が多数を占める北・西部地域では、投票所に訪れる有権者は少なかった、という。旧政権残党やテロリストがこの地域を活動の主たる舞台としている上、スンニ派主要政党・宗教勢力がボイコットを呼びかけたためだ。
全国単一の比例代表選という方式も、イラクに元々存在する宗派・民族間の亀裂を一層深める方向に働いた、との指摘もある。投票率の落差を材料に、スンニ派などから、選挙の正統性を疑問視する声が高まることも予想される。
選挙結果は、予断は許さないが、人口の六割を占めるシーア派勢力の勝利が確実視されている。
暫定国民議会には、移行政府を樹立し八月半ばまでに憲法草案を起草することが求められている。だが、新しい議会と移行政府が最初に心がけるべきは、国民各層各派の融和である。
特に、政治の表舞台から排除されるのではないか、というスンニ派の不満と恐れを放置しておくべきではない。同派を組み込む形で政権作りを目指すことが、必要だ。それが、治安改善への有効な対策にもなり得る。
情勢安定化のためには、治安改善への努力はもちろん、目に見える復興を急ぐべきである。この両輪を進めることは、今年末までに本格政権を樹立する、という政治プロセスを軌道に乗せるためにも、極めて重要である。
(2005/2/1/02:36 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050131ig90.htm