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(回答先: 中部4市で投票所開かず 治安懸念で(東京新聞) 投稿者 happyblue 日時 2005 年 1 月 31 日 02:43:06)
アラブ各国 シーア派躍進に強い警戒感
【カイロ=加納洋人】三十日に実施されたイラク国民議会選挙では、人口の約六割を占めるイスラム教シーア派勢力が選挙後の主導権を握る見通しが強い。スンニ派が多数派のアラブ世界では、肥沃(ひよく)な国土と豊富な石油資源をもつアラブ大国イラクでシーア派が躍進することへの警戒感は強く、周辺諸国は地域の勢力均衡に影響がでることを懸念している。
「内戦が勃発(ぼっぱつ)し、イラクが分裂しかねない」。エジプトのナズィーフ首相は選挙前、スンニ派が選挙から疎外されることで、今後さらにシーア派との対立が激化することへの懸念を表明した。
旧フセイン政権時代、スンニ派勢力は政府や軍の要職に就き、実権を握ってきただけに、「シーア派の思い通りにされてはたまらない」という思いが強く、選挙後の体制次第では、スンニ派の反発が強まる情勢だ。周辺国には、この宗派対立が自国に波及することへの警戒感も強い。アラブ各国では、スンニ派が人口の圧倒的多数を占めるか、少数派でも政治権力を握るスンニ派優位の政治体制にある。
バーレーンは、スンニ派の王族が人口の七割をシーア派で占める社会を統治している。スンニ派が多数派を占めるサウジアラビアも東部の油田地帯に多数のシーア派住民を抱えており、イラクがシーア派主導国家となれば、今度は自国のシーア派住民が刺激されて、権利拡大や自治などの要求を強めてくることへの警戒がある。
一方、ヨルダンのアブドラ国王は、シーア派イランがイラクを利用して、イランからレバノンまでの「シーア派三角地帯」を構築しようとしていると発言するなど、中東諸国の勢力均衡が崩れることへの懸念も強い。
今回の選挙で躍進が予想される連合会派「統一イラク同盟」を構成するシーア派二大政党、イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)とダアワ党は、旧フセイン政権時代に弾圧を受け、テヘランに亡命拠点を置くなどイランとの関係が深い。
両党の関係者は、「イラクでは、イラン型の宗教国家を目指さない」とたびたび言明しているが、同会派の躍進により長期的にはイランの影響力が強まることは避けられないとの見方も根強く残っている。
一方、今回の選挙では、将来的な独立も視野に入れ、イラク北部での自治権の拡大を目指すクルド人勢力の力の伸長も予想されており、この点でも周辺国は警戒感を強めている。
トルコは自国に多くのクルド人を抱えており、イラクのクルド人勢力が独立の動きを強めれば、トルコのクルド人住民の分離独立運動の火にも油を注ぐ結果となると警戒している。
イラクのクルド人勢力は、北部の油田地帯キルクークは歴史的にはクルド人地域だったとして、キルクークの支配権を主張しているが、トルコ政府高官は、クルド人へのキルクーク帰属を牽制(けんせい)する発言を繰り返している。
キルクークは旧フセイン政権時代の「アラブ化政策」で、クルド人が他地域に移住させられ、代わりに多数のシーア派住民が移住した地域だ。トルコは、油田地帯を手にしたクルド人勢力に巨額の資金が流れ込むことを警戒しており、クルド人勢力の動きは、自国にクルド系住民を抱えるイラン、シリアにとっても無関心ではありえない。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/31int003.htm