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社説:
サマワの自衛隊 より重くなった政治の責任
イラクで30日、移行国民議会選挙が行われた。反米勢力などが選挙妨害のための武装闘争を活発化させてきただけに、選挙後のイラク情勢が大きく流動化する可能性も少なくない。
そうした中でサマワの陸上自衛隊の安全に対する懸念も増大している。1月11日には陸自の宿営地にロケット弾が着弾した。宿営地に向けてロケット砲や迫撃砲が発射されたのは9回目だ。幸い不発だったが、今回は初めて信管付きのロケット弾だった。
イスラム教シーア派の反米運動指導者であるムクタダ・サドル師派のサマワ事務所は、陸自のサマワ駐留を非難する声明を発表した。武装勢力とみられるグループが、イスラム系ウェブサイトに陸自が撤退しなければ「特殊なミサイル」で攻撃されるだろうと脅迫する声明を掲載した。
イラク復興特別措置法は9条で首相や防衛庁長官に隊員の安全を確保するよう義務付けている。防衛庁は必要性があれば迫撃砲の発射位置を特定する「対迫レーダー」を装備に加える方針だが、状況に応じて活動の休止をちゅうちょすべきではない。
政府は昨年12月9日に自衛隊のイラク派遣の基本計画を改定し、派遣期間を1年延長した。基本計画には、治安が悪化するなどした場合には「必要に応じて適切な措置を講じる」との文言を付け加えた。治安が悪化すれば、退避や撤退を検討しなければならない。
オランダ軍が3月中旬から撤退したあとのサマワの治安維持も重要な問題だ。1400人規模のオランダ軍に代わって英国軍600人が展開するというが、部隊の規模が縮小されるのに加え、オランダ軍より英国軍に対する住民感情が悪いのも不安である。
各種世論調査でなお自衛隊の撤退論が高いことも政府は重く受けとめるべきだ。これは政府の説明不足が一因ではないのか。
そもそも政府は基本計画を昨年の臨時国会閉会後に改定した。通常国会では必要に応じて政府が講じる「適切な措置」の中身などをもっと詰めなければならない。
現地での英国軍と陸自の情報交換をどのように進めるかなども大きな課題だ。先に来日したストロー英外相は「自衛隊の安全に対する日本国内の懸念は十分理解している」と述べたが、日英間では外交的にも緊密な連携が一層必要になるだろう。
サマワでは日本のODA(政府開発援助)で浄水施設がまもなく完成し、陸自は給水活動を大幅に縮小して公共施設の補修や医療支援活動を強化するが、より現地のニーズに沿った支援をしたい。
あれもこれも国会の場でもっと議論が必要である。
陸自派遣から1年が過ぎ、大野功統防衛庁長官はこのほど、第5次派遣部隊の編成命令を出した。大規模な津波被害を受けたインドネシアでも、すでに陸海空の3自衛隊が活動している。
海外での自衛隊の安全確保や国民への説明など、政治の責任が一段と重くなっている。
毎日新聞 2005年1月31日 0時13分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050131k0000m070106000c.html