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植民地の経済的得失
昭和11(1936)年といえば2・26事件の年だ。皇道派青年将校が1400人余の部隊を率いて要人を殺害、永田町一帯を占拠した。
その年の11月、外務省調査部が「日清戦争ヨリ満州事変ニ至ル日本外交ノ経済的得失」という報告書を出した。国立公文書館アジア歴史資料センターとそのホームページで閲覧できる。
戦争で植民地を獲得したが、その収支はどうか考察している。結論を抜き書きしてみよう。
「(戦費などで)実に58億円の国幣を捨て21万の戦傷死者を犠牲にして20億円(の貿易上の利益など)を得た」
「日本の領土的膨張政策は経済的にはまったくお話にならぬ損失」
「58億円の費用を支出したものは一般納税者であり、20億円の利益を得たのは少数の商工業者であった」
満州(現中国東北部)経営についても、毎年4500万円の利益に対し防衛費などで年々2億3000万円の損失を重ねている、と持ち出しを明らかにした。事変が日ソ・日中戦争につながる懸念も指摘しており、行き届いたものだ。
この年は日本という国家が軍に乗っ取られた年だ。その年の軍国主義批判だから、外務省も案外骨っぽいところがあったわけだ。もっとも、マル秘文書だから省内幹部限りの回覧だったのかもしれない。とすれば、負け犬の遠ぼえ、証文の出し遅れの気味もある。
いずれにしても着眼がいい。いまの外務省もこんな研究をしているのだろうか。案外、「イラク派兵に至った対米ベッタリ外交の経済的得失」などという研究があったりして……。(論説室・潮田道夫)
毎日新聞 2005年1月28日 0時08分
http://www.mainichi-msn.co.jp/column/hassinbako/news/20050128k0000m070128000c.html