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1月28日付・読売社説(2)
[イラク選挙]「国家再建へ向け民意を示す機会」
投票自体が命がけ、と言っても、決して大げさではない。その意味でも、不完全な選挙と評されてもやむを得ない。だが、多数が参加することで、民主化へ向けた堅固な民意を示す機会にすることも可能だ。
イラク暫定国民議会選挙が三十日に迫った。二十八日からは、十四か国で、在外イラク人の投票が始まる。
今回の選挙は、イラク人が初めて自らの代表を選ぶ、という歴史的な意義を持つ。そればかりではない。選出された議会は、新イラクの憲法草案を起草するという重要な役割を担う。
選挙妨害を狙う勢力の跳梁(ちょうりょう)が、最大の障害である。選挙戦が始まってからも、フセイン政権の残党や国際テロ組織などによるものとされる自爆テロや銃撃が、後を絶たない。有権者の投票意思を委縮させようとする意図は明らかだ。
安全に配慮して、投票所の場所が公表されず、候補者名さえ、つい最近までほとんど明らかにされなかった。
選挙当日にも、投票所を標的とする攻撃が予想され、イラク軍・警察や多国籍軍約三十万人が、厳戒態勢を敷く。
そうした緊迫した情勢の下では酷かも知れないが、有権者が、投票所へ足を運ぶことが必要だ。投票率が高ければ高いほど、テロ組織などの意図をくじくことになる。選挙の正統性に疑義をはさむ余地も少なくなる。
イスラム教スンニ派の主要政党や宗教勢力が、選挙のボイコットを呼びかけているのも懸念材料だ。これまで長く保持してきた権力中枢から排除されるのではないか、との恐れが背景にある。
人口比が二割のスンニ派にとって、選挙で勝つことは至難の業だ。しかも、テロが吹き荒れているのは、主としてスンニ派が多数を占める地域である。投票したくてもできない同派住民も多い。このため、選挙をきっかけにした内戦の勃発(ぼっぱつ)を危惧(きぐ)し、延期を求める声もあった。
だが、延期すれば情勢が好転する、という保証はない。選挙が延期されたりすれば、選挙参加に積極的なシーア派やクルド民族までが、大きな不満を抱えることになる。日程通りの選挙実施が、妥当な選択だ。
選挙では、人口の六割を占めるシーア派の政党連合「統一イラク同盟」の勝利が有望視されている。どのような政権が誕生するのか予断は許さないが、新政権には、特にスンニ派の代表をできるだけ取り込む努力が求められる。内戦が始まるようなことになれば元も子もない。
復興支援などを通じた国際社会の後押しも、今後ますます重要になる。
(2005/1/28/02:15 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050127ig91.htm