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01/22 17:14 経済成長はもろ刃の剣 独裁続くトルクメン
「中央アジアの北朝鮮」と呼ばれる閉鎖的国家トルクメニスタン
が、豊富な天然ガスを武器に公式発表で年約20%の経済成長を続
けている。しかし外資流入で吹き込む〓(始めダブルミニュート)
自由の風〓(終わりダブルミニュート)は、ニヤゾフ大統領の独裁
体制にはもろ刃の剣だ。
「ようこそ。日本との関係を強化したい」。ニヤゾフ大統領は十
七日、首都アシガバートの大統領宮殿で、大使館開設のために訪れ
た逢沢一郎外務副大臣をにこやかに迎えた。
ソ連時代にトルクメン共和国共産党第一書記だった大統領は、ソ
連崩壊後、自らを「トルクメンバシ(トルクメニスタンの首領)」
として神格化した。公務員や企業家は皆、大統領の横顔のバッジを
着けている。
一時間半に及んだ大統領との会談を終えた逢沢副大臣は「まるで
大企業の最高経営責任者(CEO)だった」と語った。大統領は事
実、世界有数の埋蔵量を誇る天然ガスが生む富の配分をすべて一存
で決めている。
大統領宮殿の周辺は、噴水に囲まれた大理石づくりの官庁が林立
し、公務員アパートの建設が進む。大統領の故郷である郊外のキプ
チャク村には最近、日本円にして約百億円をかけて巨大なモスク(
イスラム教礼拝所)と、大統領一族を祭る霊廟(れいびょう)がで
きた。
だが、莫大(ばくだい)な資金が大統領と特権層の周辺に投入さ
れる一方で、国民の平均月収は約六千円に低迷。電気工の男性(2
3)は「家族や親類の助けでやっと生活できる。大統領の悪口を言
えば、十五日間の投獄だ。ロシアに移住したいが当局の許可が出な
い」と明かす。
言論や思想統制も厳しい。トルクメニスタンの「聖書」とされる
大統領の著書「ルフナマ(精神)」は、モスクや書店でコーランと
同等の扱いだ。市場での取材にも外務省の許可と同行が必要。雑踏
にまぎれた治安当局者を警戒して人々の口は固い。
しかし、市民が情報から全く隔絶されているわけではない。アパ
ートの窓にパラボラアンテナが並ぶ。ロシア語やトルコ語の衛星放
送を見るためだ。受信装置は平均月収の二倍半もするが、昨年の販
売台数は倍増した。
人権抑圧を理由に各国は公的支援には慎重だが、フランスからは
約二百人のビジネスマンらが乗り込み、天然ガスマネーが生むイン
フラ整備に参入。繊維産業へのトルコ企業の進出も著しい。アフガ
ニスタン経由でパキスタンにガスを輸出するパイプライン計画も実
現の見通しで、外国人と市民との接触は増える一方だ。
ニヤゾフ体制は、独裁維持のための経済発展と、経済発展のため
の市場開放、情報化という矛盾に直面しようとしている。(アシガ
バート共同=松島芳彦)
20050122 1714
[2005-01-22-17:14]