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自由拡大のメッセージ まるで「宣教師政権」 (「毎日新聞」夕刊見出し)
雪の残る米連邦議事堂前でブッシュ大統領の就任演説を聞いて、「宣教師政権」という言葉が頭に浮かんだ。世界の隅々にまで米国の「自由」の理念を広め、圧政に終止符を打つという強烈なメッセージが、布教活動のイメージと重なったからだ。その目的のために軍事力の行使も辞さないと断言したブッシュ氏は、まるで「世界の大統領」を演じているように見えた。しかし、独善的とも言える「ブッシュ・ワールド」の論理が、国際社会を説得できるとは思えない。2期目も波乱含みになるだろう。そう感じざるを得なかった。【ワシントン河野俊史】
最高気温3度。21分に及んだ2期目の就任演説の中で、ブッシュ大統領は「自由」を表す「フリーダム」「リバティー」という単語を全部で36回も使った。「自由の火は世界の最も暗い片隅にまで届く」といった表現は、政権の特徴である善悪二元論を一段と鮮明にしたもので、一国の大統領の就任演説としては異例の内容だ。
「米国の民主主義と自由の拡大」は、もともとネオコン(ネオコンサーバティブ、新保守主義者)が掲げた理念だった。この日の演説は、1期目以上にそのトーンを強く打ち出した。「この政権にもうネオコンは必要ない。大統領自身の考え方がそうなのだから」という米国人の知人の言葉を思い出した。
海軍時代に横須賀基地に勤務したこともあるというバージニア州アーリントンのシェリー・サベージさん(50)は「最高よ。ほかの国の人々が自由になるお手伝いができれば、こんなにいいことはない」と絶賛した。
就任の宣誓は、昨年10月以降、甲状腺がんで職務を離れていたレンキスト連邦最高裁長官(80)が取り仕切った。退任は時間の問題と見られ、そうなればブッシュ大統領が新しい長官や裁判官を指名する。当然、「ブッシュ・ワールド」の価値観を共有する人物が選ばれるだろう。現職大統領はこの先の米国司法の流れまで決められるのだ。大統領の「権力」の大きさを改めて思う。
演説するブッシュ大統領からほんの7メートルほどの席には、昨秋の大統領選を争った民主党のケリー上院議員が座り、一部始終を見つめていた。前日の上院外交委員会で、ライス次期国務長官の承認に反対票を投じ、ブッシュ外交との「対決」を明らかにしたばかり。しかし、選挙結果が分けた明暗は限りない。
真っ二つに割れたといわれる米国社会。地方の町でも、交差点の「止まれ」(ストップ)の標識の下に「ブッシュ」と書き込まれているのを、よく目にする。そんなきしみの中での就任式。
会場近くの道路で「ブッシュは米国をならず者国家にした」と書かれたプラカードを手にしていたワシントンの大学教授、ダリル・ダムニングさん(57)は「美辞麗句を並べ立てた能弁な演説だった。でも、今の米国は自由世界のリーダーどころか、威張り散らして、弱い者いじめをしている。イラクに十分な兵士も送っていないのに、巨額の金を就任の祝賀行事につぎ込んでいる」と憤りをあらわにしていた。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/america/news/20050121k0000e030057000c.html